性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

年の瀬に「まな板」新調

2009年12月31日 05時44分33秒 | Weblog




さていよいよ、というか年末であります。
ようやく休暇モードになってきて
その中間に年末がある、というところであります。
でもまぁ、ちょこちょこと仕事の要件はあり、
そういうのを片付けながら、歳末の買い物を楽しんだりしております。
きのうも銀行の記帳の道すがら、
毎年行っている札幌中央市場の場外店舗へ。
ここでは年末になると、店の前にテントを張って
ハムのたたき売りをやっておりまして、
これを買うのが恒例になっております。
初めて遭遇したときには、「景気が悪くて、ボーナスが現物支給なんです(泣)」
という触れ込みのお店だったのですが、
さて実態はよくわかりません(笑)。
で、ロースハム580g1本と焼き豚200g1塊、ミートローフ250g、
ベーコン350g、ソーセージ2種類各10本入り、というセットが2000円。
いつもスーパーで購入している金額から考えると
夢のようなプライスであります。
でもまぁ、ものは試しと、「値切りのわたし」に変身いたしまして
交渉の結果、もうちょっとお安くゲットできました。
なんですが、まぁ、デフレを助長しているようですので、
金額は明示いたしません(笑)。
その後のカミさんの、尊敬のまなざし・うるんだような瞳が印象的でした(笑)。

というところですが、
実は買い物の本命は、写真のまな板であります。
無精していて、わが家のまな板はなかなか買い換えできておりませんでした。
ただし、寸法がキッチンシンクの奥行き45cmに合うのでなければならないので、
こういう市場で種類のたくさんあるところでなければ、
という次第だったのです。
まぁ、事前に見に行っていたので、スムーズに購入いたしました。
あんまりまな板の知識はありませんでしたが、
普通の木のまな板よりも、プラスチック製の方が長持ちするのではないか、
今度買うならそっちの方がいいのでは、と思っていましたが、
お店のご主人から言下に「そんなのダメ」って言われました。
結局プラスチックも変色し、傷むのは同じだそうで、
木の方が3年目安とすれば、1年程度でダメになるよ、
っていわれました。
値段で比べたら、どちらも同じような値段だったので、
かれにしてみたら、どっちを売っても同じか、むしろプラスチックを売った方が
回転率を考えるとかれの利益になるはずですから、
この言葉は信用できるものと思われました。
で、写真のまな板、ご購入であります。
ここでも「値切りのわたし」がムクムクと沸き上がって参りましたが、
「ダメ。見てごらん、一枚板の真物でしょ」
っていわれて、断面を見るとたしかにきれいな年輪。(写真下部)
「いまは、こういうのが少なくなってきて、貼り合わせの合板ものが増えているんだよ」
っていうことだそうで、真物はかえって値上がりしているんだそうです。
「まぁ、5円は負けてあげる、ご縁ということで(笑)」
っていう具合で、完敗であります(笑)。
しかし、そういう情報は多少とも建築業界にも通底しているので
そのように言われると、つい納得してしまいましたね。
で、本日から真新しいまな板で楽しく調理であります。
いやぁ、きれいなまな板はこころも清々しくなりますね。
やはりきれいな木目の白木は、まるでお寿司屋さんのカウンターのように
食材の美しさを際だたせてくれます。
これからも料理、頑張るぞ、という決意を新たにできたところです。

ことしも当ブログ、ご愛読いただきありがとうございます。
おかげさまで、ことしも年中無休で書き続けられました。
また来年も、ずっと無休で書き続けたいと念願しています。
どうぞ、みなさんの新年が幸せな年でありますようにお祈りいたします。
ではでは。







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雪のない場所

2009年12月30日 06時53分19秒 | Weblog




わたしは北海道岩見沢市の近郊で生まれ育ち、3才から札幌の町育ちなのですが、
そんなことからか、豪雪地帯の感覚が染みついている気がしています。
冬になると、否応なく真綿で締め付けられるような
閉塞感が襲ってくる感覚が強くあって、
そういった気分のようなものから、逃れたいという思いが強かったように思います。
そんなことなので、たとえば秋田の住宅には
何となくイメージとしてマザーを感じざるを得ない部分があります。
雪国の冬の暮らしの中で、
3代の女性たちの有り様を描いた絵画があって、
無常に恋いこがれるような気分に襲われた記憶もあります。
祖母・母・思春期の娘とあどけない娘というような作品でしたが、
冬の陰影感、雪を反射したそれが室内を照らし出しているような
光の感覚も好きで、見とれてしまっていたのですね。

そのような体験記憶を持っていると、
雪のない空間をどうやって作るのか、
そういうことに強い興味を覚えるものなのでしょうか。
札幌ドームができる、というニュースに接したとき、
なによりも冬でも雪がない大空間が北海道でもできるんだ、
っていうような素朴な感覚が強烈だったように思います。

写真は、自然の中にあるカフェのアプローチ。
雪の中でも足下が確かな地面を表している、
そんな単純なことですが、北国の人間環境を考えるとき、
こういう「迎え方」が、言葉ではない暖かいメッセージになっている気がするのです。
単純に道路までの足下に対する配慮をこの建物がしてくれている、
っていうことに過ぎないのですが
このように明確に雪が屋根に積もり、周囲に積もっていれば
その心遣いがうれしくなってくるのが自然。
ごく普通のことですが、
パブリック、というようなものを感じさせてくれるように思われます。
このあたりの感受性が、北海道人の性格のなにがしかを構成している部分はあると思います。
よく、ノウハウを簡単にひとに教えてしまう
というように言われる部分にもつながっているかも知れません。
しかし、開拓してひとびとが多く住めるようにする、という
基本的な共通認識という見方をすれば、よき特性とは言えるでしょう。
まぁ、競争原理の中の企業家根性論から言えば、甘いでしょうね。

本年もあと2日。
きのうで会社での仕事は一段落ということですが、
ブログは年中無休で書き続けますので(笑)、
またのご来場をお待ちしております。






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コンクリートと意匠性

2009年12月29日 06時04分09秒 | Weblog




先日行ってきたアルテピアッツァでの展示作品。
これは確か、白っぽいコンクリート製の作品だと思うのですが、
作者である彫刻家・安田侃さんの了解を取って(だろうと思うのですが)
このように被覆されていました。
一種の冬囲いというように考えれば、
全国にある「大名庭園」の樹木の雪囲い風景とダブって
これはこれで、面白みが発生するのではないかと思いました。
北海道では、冬場の気象条件が厳しすぎて
素地のままの状態では、劣化は避けられない。
野外に設置するのが趣旨の作品であれば、このようなことについて
相当議論された上で、このように被覆しているものと思います。
そう考えてみると、きっちりと作品にピッタリの被覆材がしつらえられていて
好感ももてるものと思います。

芸術作品においておや、であります。
やはり寒冷地住宅(建築)ではコンクリート素地表しは難しい。
どうしても素地表しにしたいと考えれば、
この作品のように冬期の被覆材を考えるべきだと思います。
やや違いがありますが、
明治期くらいの建築とおぼしき余市の漁家では、
漆喰壁の蔵に、冬期だけ被覆させる木造壁を工夫していました。
わたしから見ると、あの建築は日本伝統の建築が
北海道において生きていくために工夫した最良のデザインであったと思っています。
明治においておや、であります。

意匠性を優先させるのであれば、
このような延命装置を同時に考案すべきだと考えるのです。
そうではなく、「やりたいことをやる」という幼児的な発想を
そのまま認めることは、間違いではないのでしょうか。
設計として、一番基本になる「土地を読む」という意味で
その土地で、住宅建築を考えてはいけないのではないかと思うのですね。
環境に対する態度、というように敷延して考えれば
こういう事はきわめて大きな問題だと思っています。
こうした基本的な態度が通用しないひとも、残念ですが多いのも現実です。







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アジアの古民具

2009年12月28日 06時28分24秒 | Weblog




アジア諸国の古い家具って
独特の風合いがあって、人気が高まっているようですね。
経済力に違いがあるからか、
こうした国々のものは、日本円で考えたら格安なのも大きいポイント。
なんですが、より大きくは
最近のユーザー嗜好の中に、古いものの持つ癒しの力への傾向が見られます。
古民家への憧れというような部分から出てきたものでしょうか。
先日、日本の高度成長期ハウスメーカーシステムという流れを
唱導してきたような方とお話しする機会がありましたが、
戦後の高度成長期には、伝統的な住宅への価値観について
こういう嗜好とは、かなり違った価値観で来ていたのだなと感じさせられる部分がありました。
それは、日本人は真っ新な新築住宅というと、
白木の清々しい空間をイメージしていて、
たとえば無節の白木を尊ぶ、という意見がありました。
他人の手垢が付いていない、ということを喜ぶということですね。
まぁ、確かにそういうものがメインの流れであったとは言えると思います。
それが高度成長の中で、
無節の白木というものの希少価値が高まって高騰し、
それを表面に薄くスライスして合板とするものまで出現していた。

こういった考え方とは、この写真のような嗜好は
まったく対極的だと思います。
むしろ、新築なのにいきなり古く懐かしく感じる。
そういうことに価値観を感じるような動きが大きくなってきている。
一方で、相変わらず白っぽい空間も支持されてはいる。
まぁ、コストパフォーマンスからなのか、
「すっきりしたモダンデザイン」というような意味合いなのか。
ただし、こういう白っぽい空間嗜好も、高度成長期の
「白木の空間」というものとは違って、
むしろ、プラスチックに慣れ親しんだ世代の空間感覚に近いものとも思える。

まぁ、手垢というか、生活の痕跡そのものというような
こういう古民具に惹かれる流れというのは
かなりわかりやすい嗜好性として、定着してきている気がしますね。






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百済と天皇家

2009年12月27日 07時05分16秒 | Weblog




歴史の解釈というか、理解において
ずいぶんと国民の認識の違いがあるものと思われることが続いています。
最近では小沢民主党幹事長の一連の発言があるけれど、
あれをもって「不敬罪」だと書いている「週刊新潮」に至っては、
どうにも、まぁ、という感想を持たざるをえない。

以前、あるひとから真顔で、
「天皇は百済の国から来たと、公式に発言した」
というように言われて、「え、それ何? 本当に?」と
聞き返したところ「え、知らないの?」と問い返されてしまった。
そのことがどうも心に残っていて、
先日来、その根拠に近いことの事実を確認してみました。
そうすると、今上天皇が日韓共催となったサッカーワールドカップ開催への祝意を
記者会見で述べたくだりの中に
「続日本記」の記述には、平安期初頭の天皇・桓武は
百済の国からの渡来王族の子孫を母としているとあるので、
韓国にはゆかりを感じる、と話されたという事実があるということ。
どうもこのことが、「百済から来た・説」につながっているようなのですね。
歴史の理解がやはり相当におかしいのが今の日本の現実のようです。
事実は、天皇が話されたままであって、
そういった血筋も天皇家には入っているのは事実でしょう。
ただ、歴史的事実として百済からは大量の渡来民が来ていて、
その後、6世代を経た子孫の女性が後宮に入って天皇の子を身ごもった。
普通に考えれば、大陸からさまざまな先進技術をもたらした渡来民から
そうした身分を獲得する家系が出るのも必然でしょう。
そして自らの氏素性を明らかにするに際して、
民族としてのアイデンティティとして、百済王族の流れであると表明するのも
きわめて自然なことだと思います。
日本の歴史が進んでいく過程では
そもそも文字や、社会制度まで含めて
中国を中心とするアジア世界から「文明」を受容し続けてきたのが
きわめて重要な要素だと思います。
そういう意味では、天皇家に渡来人の血筋が入るのもごく自然。
そういうことを重大視したり、タブーにしたいと考える
勢力や考え方がこの国に深く根付いていることの方が奇異だと思います。
そもそも歴史の説としての「騎馬民族説」があり、
それが大きな流れを生んでいることも事実。
まだ、日本の「天皇家」というものの成立については
タブー視する権力機構(宮内庁など)の存在もあって
天皇陵とされている古墳の調査もやられていないのが実態なのですね。
これでは科学的に論じたいと思っても難しいのが現実。
古事記というものにしても、
口承として伝えられていたものをもとに遙かな後世に記述したもの。
その内容については、よくわからないことばかり。
天皇の実在すら疑わしいものが多い。
昭和天皇も、ある晩餐会の席で
「推古(592~628年在位)以前の日本の天皇の歴史はよく分からない部分が多い。」
と語ったといわれている。

わたし自身も、先述の天皇会見を報道では見ていなかったし、
たぶん、マスコミでは大きく扱わなかったに違いないのでしょう。
こういう事実が正しく伝わりにくい、ということのほうがおかしいのではと思います。
というようなことで、
本日は歴史なのか、状況へ発言なのか、ですね。
そろそろ年末年始時期に突入で、きのうも
買い出しに行ってきたものですから、このブログもふだんの話題から
ちょっと違う方向に行くかもしれません(笑)。






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屋根雪崩の美しさ

2009年12月26日 07時18分12秒 | Weblog




この時期になってくると、雪との日常的付き合いが
いろいろな局面を生み出すようになってくる。
もう札幌市街地周辺では、
「雪を自然に落とす」という発想の屋根がすっかり少なくなってきている。
北海道の雪は、本州地域の雪とは違って
寒さが厳しく、しかも湿度が少ない特徴があるので
屋根の傾斜や素材をしっかり計画すれば
きれいに滑落してくれる。
わたしが幼いころには、大雪のあと、暖気が来て
方々の住宅の屋根からの屋根なだれを楽しんで観察していた。
自然のちょっとした加減で、ごらんの写真のような
雪の割れ方をして、トタン屋根を次々に落下していく。
千変万化して、見ていて飽きることがない。
みごとに落ちていくと、一種のカタルシスがあって、
思わず「おぉお」と歓声を上げてしまう。

ただし、住宅性能と言うことで言えば、
このようにきれいに滑落するというのは少ない。
大体が軒先に氷柱が発生していて
それがダムのように堰き止め、
その堰き止め力を越えて雪の重さが大きくなって落下すると
その下を不幸にも通りかかったひとに被害を与える。
固く、成長して大きな氷柱つきですから、場合によっては死亡事件にもなる。
そのような不幸がつい最近まで繰り返されてきたのが北海道の家です。
まことに北海道の屋根というのは
自然と人間の知恵の格闘の産物なのですね。

写真は美唄のアルテピアッツァの体育館建築での様子。
十分に周辺土地があるので、気持ちよく
雪のかたまりが落ち続けていて
楽しい。きっと内地のひとにこういう光景を見せてあげたら
感動してくれるのではないか。
そのような観光資源化はできないものか、と夢想しておりました(笑)。
除雪の様子、といっても大型車両によるものですが、
それを観光客に見せたら大人気だったということがありましたが、
そういうノリも必要かも知れません。






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北の森の美しさを楽しむ

2009年12月25日 07時44分52秒 | Weblog





きのうの続きです。
美唄のアルテピアッツァのなかの山小屋のようなカフェです。
大変静かな施設で
薪ストーブが1台置いてあって、
静かな炎が迎えてくれる空間です。
彫刻家・安田侃さんの彫刻が森の中に置かれていて
その光景がここから遠望もできる。
冬でも、きれいに各彫刻までの通路は除雪で確保されており
楽しく見て回ることができる。
まぁ、冬路ですから気をつけないと足下は滑る。
中年夫婦が手を繋がざるを得ないので、仲良くできる(笑)。
それでも一度、転んでしまいました(笑)。
なんですが、
やっぱり窓からのごらんのような雪景色をじっと見ているのが
一番癒される時間を過ごせる気がします。
この辺の森は針葉樹が多くて
いかにも、北海道的な冬景色、雪景色であります。
スギやマツの木の葉が雪をたたえている様子は
独特にしずかな景観になるもので、
まことに見続けていて、飽きずに過ごせる。
あたたかなコーヒーを楽しみながら、静かな時間を過ごしておりました。

さて、きのうはクリスマスイブでしたが
中年男9人で、お酒が入りながらの「反省会」。
なんですが、お酒が調子よく入って、収拾の付かないような活発な発言が交差。
今後の方向性をめぐって、遠慮のない激論が続きました。
ことしもあとわずかですが、
最後の仕事の仕上げも進行しており、
同時に年明け早々からのスタートの方向付けなど、
なにかと時間が少ない中で忙しい毎日が続きます。
さて、もう一踏ん張りですね。






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雪のなかで美しい家

2009年12月24日 06時15分20秒 | Weblog




先日、伝統木造工法の住宅のデザインで著名な建築家の講演を聴いていました。
屋根の形状が複雑に組み合わされている
いわば自由な屋根のデザインで構成された作品を見ていたのですが、
どうにもそういう感覚に違和感を抱き続けていました。
なんなんだろうか、という感覚。

きのうは久しぶりにカミさんと、美唄のアルテピアッツァに行って参りました。
北海道はこの数日間、けっこうな雪の降り方で
大好きな喫茶店はどうなっているか、
まだ、営業しているのか、不安でしたが、
そこからの雪景色を見てみたい、ということで
近接の日帰り温泉施設訪問も兼ねて
出かけた次第です。
で、写真のような光景に出会うことができました。
そうなんですね、雪の中で美しい、という感覚が
先日の講演からは、まったく感じられなかったのですね。
基本的に、雪との調和を考えれば、
造形的には北国では屋根はシンプルになるのが自然なんです。
北の自然を感じる森の中で
まるで祈りを捧げるような素朴な切妻を基本にしている。
下屋があるくらいで、なるべくシンプルにたたずむ、というのが
雪に対する態度としては正しいのではないでしょうか?

そして雪がきれいに落ちていくためには
軒先に氷柱ができてくるような
断熱気密に配慮していない住宅では、まことに見苦しいことになる。
屋根から雪は落ちてくれず、軒先には大きな氷柱ができ
複雑な屋根では、あちこち、見るに堪えない状況になる。
こういうことへの理解がない、と言わざるを得ない。
北海道の住宅が日本のDNAを離れて、
よりインターナショナルな方向に向かったのは
やはりこういう雪(と寒さ)への態度、という部分の対応が大きい。
木造構法は十分に理解できるけれど、デザインは理解できない部分がある。
そういうデザインの、それなりの良さは認めるけれど、
やはり汎用性のものとはいえない。
いわんや、これが素晴らしいんだ、というように共感は持てない。

針葉樹を中心とした背景の森のなかで
美しく凛として、
どんな自然条件にも耐えてあり続けようとする
この写真のような建物に抱かれていると、
やはり、これがわたしたちの本然の冬の美なのだと
深く思い至らざるを得ないのですね。







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えんま様巡り

2009年12月23日 06時56分55秒 | Weblog



日本の庶民信仰の中で
「ウソをついたら、地獄で閻魔様に舌を抜かれるぞ」
という具体的なイメージって、かなり大きなものがある。
幼いころに、大人たちから言われたことが記憶にかなり残っている。
そういったイメージって、さて、どこから来て頭のなかに点着するのか?
どうもよくわからない部分がある。
「えんま」という言葉自体、かなり恐ろしげな言葉の響きはある。
しかし、それは大人たちの口調の中にある旋律感から来るものなのか、
実際にその影像を目に描きながらイメージをつくって来たのでは
ないのではないかと思われます。

そんな思いをずっと抱いていて、
こういう庶民信仰の対象を眺めるのが面白く感じる。
幼いころのおどろおどろしいイメージはすっかり薄れて
まぁ、こっちがこどもたちにそのイメージを伝える役割になってきて
むしろそういう楽しみに替わってきたと言うことか。
写真は、江戸深川法乗院というお寺の閻魔堂の閻魔様。
北海道では、どういうえんまがいるのか、
わたしの記憶では登別には、さすがに「地獄谷」らしく
一匹、閻魔がおりまして、
毎夜、一定時間には電気がスイッチオンして
立ち上がり、目が点滅して踊るような仕草を見せてくれております(笑)。
まぁ、そこそこ迫力はあるのですが、
どうもこどもたちもすっかり楽しげで、笑いながら見ている。
これでは、閻魔らしくない。

っていうような閻魔イメージを抱いておりまして、
もっと迫力満点の、いかにも地獄の底での裁断者としての絶対的恐怖感を
ぜひ心の底から震え上がるような造形を常に期待しているのです(笑)。
ところが、この深川の閻魔様もどうも、なんともやさしげで、
イマイチ迫力がございません。
まぁ、江戸期までの庶民の映像体験からすれば、
こういう造形でも、そこそこの恐怖感にはなったのかなぁ。
どうも、わたしのなかには、雷オヤジというか
父権の象徴のような存在として、
閻魔様をイメージしている部分があって、
そういう力強さは、今の時代、オヤジ権力の衰退いちじるしい中、
期待はできないのかも知れませんね。
むしろ、恐ろしげな母親のほうが、子どもたちにはイメージが湧くのかも知れない
などと、妄想は違う方に展開してくるようです(笑)。
これからも、機会があれば、全国の閻魔様、
体感させていただきたいと思っております(笑)。






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木造構法の耐久性

2009年12月22日 06時26分20秒 | Weblog



北海道では、いわゆる「伝統木造工法」で建てられた建物というのは
皆無に等しい、という序のお話しのセミナーに行ってきました。
NPO法人の「北の民家の会」が主催したセミナーで
いわゆる「構法」について、実験なども交えた開示がありました。
日本の建築基準では、っていうか、
建築の学者さんたちは、伝統的な木造構造について
まったく基本的な学習・実験を行っていないようで
その蓄積もなく、どうも横道的なところで金物補強を金科玉条としている感があります。
先日大きな話題になった、長期憂慮住宅3階建て実大耐震実験で
日本をリードする学者先生たちが「これでないとダメだ」と言っていた
建物が、震度6程度の実験でみごとに倒壊して
むしろ、地震力を逃がすように設計していた伝統的木造に近いほうが
部分的崩壊にとどまっていたというのは記憶に新しいところです。

どうも、日本のいまの状況をそのまま表している感じがいたします。
建築の世界で言えば、
姉歯による構造偽装問題を契機として、
その「建築確認申請」の犯罪的通り抜けを許した建築行政側を免責することに
血道を上げて、ひたすら行政的事務手続きを煩雑化させて
できるだけ、民間に責任を転嫁して、負担を強いる、
っていうような構図がずっと続いているのが現状です。
そういうことが行政発の建築不況を現実化させているのですが、
今回の耐震実験結果についても、行政の免責は真っ先に優先されるのではないかと思われます。
そして、そういう行政に対してお墨付きを与え続けてきた大学などの
「有識者」という存在のありようも、大問題なのではないかと思うのです。
もっとも身近な例で言えば、小泉政権での竹中大臣の問題。
政府系金融機関を次々と民営化させながら、
その一方で「民営だけど、管轄からいえば国営」というような
商工中金のような存在まで生んでしまっている。
端的に言えば、野放図な官僚機構の「焼け太り」ばかりが目に付く。
民営化はしたけれど、民間金融機関がいま、貸しはがしなどしたら
例の亀井大臣主導の法律で厳しく監視されるのに、
こういう存在はアンタッチャブルになっている。
どれだけ貸しはがしをしようが、金融庁の指導監督が及ばないのだそうです。
まぁ、言ってみれば「官」のモラルハザードと機能不全だけを残したのが
かれ、竹中がやってきた「構造改革」の果実だと思うのです。
それは結果的にはアメリカへの資金流失ということだったのかも知れません。

大きく話がそれました(笑)。
写真は、伝統木造の引っ張り強度実験の様子です。
実験では、国が推奨する工法モデルは17kgの力で破断していましたが、
そのほかの伝統工法では、普通50kg以上の耐力を示していました。
極端に言えば、勉強はできなくても(失礼)現実を知っている存在が認められず、
現実を知らなくても口先で説明が上手な存在が優先されているのが、
いまの日本の現状なのかも知れません。
そんなのは、絶対に間違っている!




追伸
文中、「長期優良住宅」と表記すべきところを、「長期憂慮住宅」と誤記してしまいました。
が、これはこれで素晴らしい表現だと思いますので、
あえて訂正はしないことにしました(笑)。どうぞよろしく。





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