三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【オシドリコロニーの木漏れ日「住宅」撮影(笑)】

2018年07月31日 07時01分46秒 | Weblog
さて北海道もかなり温度上昇してきています。
だいたい、この7月最終週〜8月第1週というのが、北海道の夏本番。
北海道だけはほぼ平年の夏と同様の気候状況。
朝の散歩路で出会う写真のオシドリさんたちのコロニーも、
たくさんの親子たちで賑わってきております。
かれらオシドリたちは、波状的にヒナが生まれてきます。
いまは、最後のヒナたちもコロニーに加わる季節のようで、
まだ羽根が十分に育ちきっていない小鳥たちが、懸命に生き抜こうと
頑張って練習している姿が凜としていて、かわいく楽しい。
毎日のように観察していると、かれらも警戒心がゆるんでくるものか、
ごく近くまで寄ってきて、足下を回ったりする。
たぶんエサやりするひとがいるのでしょうね。
わたしはそういうことはしないのですが、
それでもこちらに警戒心をそれほど持たずに寄って来てくれ、
その気になれば、触れられるまでの距離で観察できるようになると、
野生動物たちの美しい体毛の柔らかさまで感覚できる。
同じ動物同士、なにかコミュニケーションが成立しているような錯覚も憶えます。
写真は、この時期だいたいかれらが「定住」ポイントにしている水辺。
木々が木漏れ陽空間を作って、静寂をもたらしている空間。
水鳥であるかれら、こういう場所が「癒やし」になっているのでしょう。
人間も樹上生活から出自した存在。
こういうコロニーにいると、イキモノ同士、
似たような感受性を共有している錯覚にとらわれてきます。
大体がこういう水辺の止まり木で安息しているようで、
分厚い体毛にくるまれて体力を涵養しているのがかれらの眠りなのでしょうか。
居間でくつろいでいる様子の住宅撮影であるかのような心理になる(笑)。

さて、昨日今日と建築関係者向けに事務所のお披露目。
また今日午後からは姫路からのお客様を迎えて情報交換会。
設計者の丸田絢子さんと対談企画では予約来場の方もそこそこの人数。
さらにあしたは、新住協の札幌での講演会で堀部安嗣&鎌田紀彦両氏が来道。
その後あさってには、南幌きた住まいるモデルを見学同行と
スケジュールが立て込んできております。
その上、坊主が東京から帰っても来る(笑)。
まさに賑やかな真夏がいっぺんに到来という感じであります。
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【多様な暖房熱源チャレンジ in 南幌モデル】

2018年07月30日 07時10分53秒 | Weblog



写真は「きた住まいる南幌」アクト工房+ATELIER O2の家。
こちらでは「せっかくのモデルなので挑戦的に」とでもいう感じで
いろいろオモシロいことに挑戦しています。
その様子は、まことに意気込みがストレートに感じられて清々しいばかり。
外観デザインの点でも「これまでATELIER O2にはなかったカタチで」
という、シンプルな中に驚きのあるプロポーション。
なんですが、真南に正対させた三角屋根には一部ポリカ仕様の部分がある。
なんだろうと疑問だったのですが、
聞いてみたら「太陽熱集熱装置」ということ。
もちろん主暖房はLPガス熱源での温水循環暖房で、
ほかにもいろいろ革新的なパイピングでの工夫をしている。
その「補助的暖房」という位置付けですが、
太陽熱をこの部分に仕込んだ「黒っぽい」集熱装置に取り込んで
その高温になった空気を換気装置に加温させているという。
屋根の傾斜はけっこうな傾斜を確保しているので、
冬場の積雪でもほぼ雪は落ちていく計算なので、
熱効率は高いはず、という計算での挑戦です。
装置的にはきわめて簡易なものなので、耐久性はきわめて高そう。
要はどれだけの熱回収に繋がるか、実績がどうであるかにかかっている。
1年間くらいのスパンでの熱効率実績検証を楽しみにしたいと思います。
ちなみにこちらの住宅では、北大・菊田准教授が計測中。

北海道では太陽光発電は冬場、あきらかに発電しない時期がある。
積雪時期ですが、こういった傾斜屋根が可能な地域では
もっとローテクな太陽の利用は合理的だと思われます。
最近の豪雨被害で、大規模発電装置群、よく「太陽光畑」といわれていた
装置群で被害が出ているようです。
とくに里山地区などで斜面の木々を伐採して雨水の保留機能を
喪失させた上、簡易な基礎造作で設置していたケースで
地滑り崩落が発生して、面積の3割程度が崩壊した事故があった。
そういう危険姓を回避する意味でも住宅の屋根面利用は有効ですが、
多様な太陽利用の形が追究されていく必要がある。
このような事例とか、太陽熱温水装置なども大いに活用していって欲しい。
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【高温多湿の夏、ようやく札幌にも】

2018年07月29日 07時35分50秒 | Weblog
けさ、いつもの早朝散歩。
いつになく高温で、北海道神宮駐車場まで利用しているクルマの
温度計を確認したら、朝6時の気温がなんと28度を示している。
それ以上に、湿気が高く感じられました。
戻ってから気象庁発表をスマホで確認したら、なんと湿度89%。
北海道はことし、ほかの地域の酷暑と比べて別天地の心地よさで推移していたのですが、
ようやく7月の末になって、みなさんの仲間入り。

陽射しは朝から強くて、この湿気は
強い太陽光に土壌面が加温されて、まずは湿度放出しているように感じる。
だから、独特の地域らしい「土の匂い」がそこにないまぜになっている。
こういう土壌の匂い、というヤツには北海道人は鈍感だと思うのですが、
やはりその土地、その土地であると思います。
その土地の印象のかなりの部分を占めているように思う。
こういった蒸暑の感覚、北海道人は無い物ねだりで、
たまらなく好きだというタイプの人が多い。
本州以南地域の人からすれば、ややすれ違う部分ですが、
暑いのはいくらでも、みたいな感情を持っています。
ただ、口先だけでちょっとでも暑さが続くととたんに音を上げる(笑)。

神宮前の広場では、夏休みの子どもたちが
ラジオ体操のためにたくさん集まってきていて
ふだんの高齢化ニッポンぶりが、ややにぎやかさを増しています。
こういう蒸暑の季節、ほんの一瞬なので、満喫させてもらいたいと思います。
でも、それでも今日の札幌の最高気温予想は30度にとどいていない。
まぁこの予想はハズレそうですが、どうでしょうか。
連日猛暑日が続くみなさんには、のどかな話題でしょうが、
暑い、ということに少しだけでも北国も参加させてほしいと思いますね。
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【3文字略称 漢字とアルファベットの認識差】

2018年07月28日 08時23分16秒 | Weblog
みなさんは、TPPとか、NPOとかのアルファベット3文字略語、
聞いてからアタマに意味が入っていくまでにどれくらいかかるでしょうか?

言語には大体、こういう簡略化表現というのは洋の東西を問わないようで、
日本語でも、新木造住宅研究協議会、略して「新住協」というように
簡略表現は一般的に多く使われている。
これは長い名称の中で、意味合いがもっとも強い部分を強調表示させることで
通常使用のときに便利になる機能ですね。
英語でも、当然こういう簡略化表現はあり、この場合も
「3文字」とするというのが一般的に採用されている。
わたしが生きてきて最初にこのアルファベット3文字では、
なんといっても、力道山のプロレスでの世界タイトル・NWAとかが強烈な印象(笑)。
「えぬだぶりゅえー、おお、すごい」っていう受け止め方を多くの日本人が持った。
肉体芸能の一種とも言えるプロレスがテレビを普及させたことは無論ですが、
あわせて戦後社会で日米友好に果たした伝播力はすごかったですね。
悪役もいるが、正義のNWA王者という崇高なのもいるリスペクト感はハンパなかった。
まぁ、どちらでも例外的に2文字や4文字というのもありますが、まぁおおむね3文字。
日本語の場合は、以前の「当用漢字」からの後継の「常用漢字」で2136字ある。
一方のアルファベットは、26文字だけ。
ここで「表意文字」と「表音」文字との決定的違いがでてくる。

日本語の場合には、略される文字、1文字1文字に
かなり「意味」が含まれているので、脳みその中での反応部位が広い。
その広い反応部位が3つ集まるので、直感的に理解しやすい。
ところが、26しかないアルファベットでは文字自体では脳みそに領域形成されていない。
たぶん英語文化では、日本語の1文字に相当しているのが「単語」なのでしょう。
その単語が脳内でビジュアル化されて、その接頭のアルファベットが認識される。
もちろん日本語でも単語は多様だけれど、漢字単語はおおむね数文字。
一方で英語単語は、相当に長いものが多い。
比較研究はわからないけれど、日本語で単語は2−5文字が一般的で
英語ではふつう3−10文字くらいではないだろうか。
そういうことで、英語単語という翻訳コンニャクが一段階必要なので
アルファベット3文字理解のためにはむしろ、簡略化せず英単語を覚える方が早いかも。
いま、マーケティング研究ということでWEB領域でよく使われる
こういう3文字概念をたくさんアタマに入れようとしています。
写真はデスクの壁に貼ったメモ。
本を読んでいて混乱するのは、日本語で書かれた文章のなかにアルファベット3文字が
ごくふつう的に混入されていることでしょうか。
むしろ本の初めの方では省略した単語全部を表記させた方が、わかりやすい。
単語自体は憶えるしかないし、日本人は受容能力は高い。
この手の本がとっつきにくいのは、こういうことではないかと、
なかばイライラしながら、壁にこうやって書き出して憶えようとしておりますが、
どうしても、プロレスNWAのようにはアタマに入ってきません(泣)。
空手チョップでやっつけてやりたい!
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【気候変動≪人間による環境変動では?】

2018年07月27日 05時49分59秒 | Weblog


写真は前真之東大准教授の沖縄住宅の講演での1シーン。
この沖縄現地調査でも基本は住宅内部の研究が多かったのですが、
中城・中村家住宅などでは中庭の敷石、縁側空間(雨端〜あまはじ)、室内の
温度のグラデーションを解析されていて、
その説明的な赤外線画像として、一般的街区、街の温熱実態を見せていた。
あらためてこのように見せられて、今日の都市環境の問題が浮き彫りだった。

世界的な気候変動のなかで、今年は北半球が記録的な猛暑とのこと。
先般の記録的豪雨被害といい、個別住宅での対応範囲を超える
いわば都市計画レベルでの気候変動対応という気付きを与えているように思われる。
豪雨被害では、とくに広島での「真砂土」と岩石による地盤被害の実態がみえた。
直径数メートルという巨石が先導してくる豪雨という未曾有の被災。
中国地方の「大蛇」伝説というのは、こういった土壌地盤のことが、
わかりやすい民話のカタチで遺されてきたものであるのかもと頭をよぎった。
各地の豪雨被害では、本来樹木で保水されてきた斜面傾斜地が、
人為的開発の結果、土砂崩れを誘発したという事例報告もあった。
このことは、国土利用についての人為が臨界点を超えてしまって、
自然のバランスを大きく壊してしまっている現状からのしっぺ返しなのかも。
そして追い打ちを掛けるような一気の酷暑、蒸暑の到来。
やはりこういう気候変動に、わたしたちの文明都市は十分に対応し切れていない。
赤外線画像を見れば、白がアスファルト路面を覆ってしまっている。
こういう路面からの「輻射」は相当のモノだと思います。
写真を見ただけでクラクラしてくるような状況が伝わってくる。
色温度の設定では、白は40度超の設定なので、ご覧のように、路盤面から
下から、猛烈な輻射熱が人間に襲いかかっている様子がわかる。
可視画像で確認すると、この写真全体に緑がまったくないこともわかる。
この写真は一般的な「住宅地」を撮影したものですが、
こういう住宅地に木が1本も見えないというのも、よく考えたら気候変動以上に
人間環境が大きく「変動」してしまっていることを表現している。
こういった居住環境を現代人はよいと思ってきたから、
こういった環境を一生懸命に作ってきたのだろうと思います。
「木なんて、いちいち管理の手間が掛かるから、
時間効率最優先の現代生活では、ムリ」とでも、可視光線画像は
主張しているかのようだと思います。
もちろん現代生活的利便性は、基本的にはクルマと車道という
移動の自由の拡大によってもたらされた基本的自由であることは自明。
しかし結果として、なにか非人間的な部分は大きい。
こういった「居住環境」をわたしたち世代は次世代に渡していくことになる。
どういう都市居住環境が持続可能であるのか、
その最適解は、もうちょっと考えていかなければならないのでは?
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【平泉藤原氏の建築・くらしの手掘り】

2018年07月26日 07時48分27秒 | Weblog



いまから1200年前くらいの平泉の発掘調査、進んできていますね。
平安末期の時代。引き続く鎌倉時代に向かって
律令国家的な支配構造が崩壊していって、
武家階層が実権を握っていくプロセスが各地で分権的に進展した。
奥州藤原氏というのは、血統的には日本中央の支配権力構造の中で
中核的位置を占めていた藤原氏との同族関係をテコにして
奥州の政治、経済。軍事的独立性を確立させていた。
とくに経済面では全国で源平騒乱というカタチで
勃興しつつある軍事需要に対して、最大の軍事物資としてウマを生産し、
鉱物資源としては、旺盛な平氏政権による対中貿易の拡大の決済手段として
この奥州産の金が貴重な存在となっていったのでしょう。
これらのすべてにおいて奥州藤原氏は地方独立政権であり、
その後の鎌倉幕府という政権が
もっとも「ライバル視」した政権だったことは疑いない。
そうでなければ、頼朝自身が遠征して津波のような大軍を動員した
根拠が見えなくなると思われます。

ただやはり、関東と比較して人口集積自体は遅れていた。
関東がどんどんと新田開発されていって「家人」という律令制外の
「私有民」人口が拡大していったのに対して、
経済的には農業と言うよりも、ウマとか金とかの非農業的生産物が
その経済基盤であって、多くの人口を養う産業構造ではなかった。
そういう私有民の親方としての「武士」階層の
旺盛な土地私有欲望を最高に喚起する政治スローガンを掲げた
頼朝政権の優位性によって平泉は灰燼に帰した。
多くの記録でその首都、平泉は焼失したことが示されています。
現代、世界遺産登録を契機にして、旺盛に発掘調査され、
さまざまな状況があきらかにされてきている。
都市・平泉での建築やくらしの状況が可視化されてきています。

図とイラスト、写真は平泉の柳の御所発掘展示より。
建物の壁の下地木舞などが焼失現場から発掘されてきている。
こういった建築を見ればこの居館は間違いなく日本中央の文化を
そのまま受容した文化だったことはあきらかですね。
藤原という名前を自らの意志で名乗った一族として
そういったアイデンティティを、東北地域の人々にはアナウンスしたのでしょう。
食文化もまた京都風の、ニッポン的食文化ですが、
これらの食器などを見ると、後の世のアイヌとの交易の場での
「供応」が日常的にされていたように思われる。
この時代、北からの交易物、とくにアイヌの生活域からもたらされる
アザラシの皮革とか、タカの羽根のような威信材が
この場所で交易されていたように思われます。
平氏政権の中国貿易と、この平泉政権の軍事物資、希少交易物が
この時代の人々の関心を独占していたのでしょうね。

【架橋ポリだけでの暖房システム】
で、活発な論議がされています。興味のある方はFacebookをご覧ください。
https://www.facebook.com/keigo.miki.7
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【高温蒸暑条件下での冷房結露水の行方】

2018年07月25日 06時09分08秒 | Weblog
写真は今回出張で宿泊した秋田のホテルの玄関自動ドアの様子。
いままっ盛りの盛夏ということで、連日35度超の酷暑が続いている各地では
こういった結露の様子がごく一般的なのだろうと思います。
北海道ではこの夏はけっこうさわやかな涼感気候が続いており、
たまにこういった光景を見て、やや驚いた次第です。
どうも本州以南ではこちらのような状況が続いているのだろうと。

で、目にも明らかな「結露」状況であります。
北海道・寒冷地で「結露」といえば外気温が低下して、室内側の
湿度が外気と接する外壁側や窓ガラスなどの部位で、
露点を超えて、水分として結果するようになり、
それがやがて室内のカビなどを誘発する原因になって被害をもたらす。
季節要因としては冬に発生するというのが常識なのですが、
写真で見る限り、明確な「夏型結露」が発生している。
北海道では寒さのせいで結露が発生するけれど、
蒸暑気候の本州地域では、こういう冷房必須の時期にも発生する。
外気温が夜になっても30度近い場合、
室内を冷房していくと、露点を超えてしまうのですね。
で、このような結露水は、室内にどのように被害を蓄積していくのか、
やはり一番考えられるのは、ジメジメした空気環境や衣類などに
カビを発生させるのは容易に想像できる。
やはり冷房の温度設定は、この露点を良く考えて、
ほどほどの温度設定にしなければならないでしょう。
しかし露点温度というのは、気象庁も発表してはくれない。
この露点温度は、真夏になってくると20度とか、25度を超えるというのも
常態としてあるのだということです。
こちらの写真はホテルなので特殊なケースではある。
「来客がいっぺんに快適感を味わえるように」ガンガン冷房温度を下げている。
そういった条件下での夏型結露ですが、
住宅レベルでも、内外温度差と露点温度の変化によって
長期的には、注意が必要になってくるのだろうと思われます。
たぶん住宅のというより以上に、人間の健康面でのことが危惧される。

この時期に本州地域を旅すると、
エアコンと都市アスファルト・コンクリートの熱往来について
いろいろ気付かされることも多くあります。
エアコンってようするに「熱交換」なので、室内で冷房すると言うことは、
一方で外気に熱を放出していることになる。
その熱が都市のコンクリート環境に「蓄熱」されて輻射を倍増させる。
このような都市的熱サイクルに対して、緑がそれを緩和させてきたのでしょうが、
そういう緩和装置の総量が相対的にレベル低下して
「暑さを倍加」させている、そんな印象を持っております。
ニッポンの蒸暑について、もっと社会システムとして対応を考えていく必要がある、
北の国からの一時的訪問者・エトランゼとしていつも感じている次第です。
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【遺跡建築の設計復元という知的作業】

2018年07月24日 07時19分06秒 | Weblog


さてきのう、仙台に寄って数箇所訪問後、札幌まで帰還しました。
訪問先は岩手県中部、宮城県北部だったので、
わたしの考古趣味から平泉の「柳の御所」遺跡のその後の様子を見学。
一度、この遺跡からの発掘が話題になったときに
訪問見学しましたが、それからでも相当時間が経っている。
発掘調査は歴年の予算範囲ですこしづつ進展するので
ほおっておくと、進み具合が急だったりして油断できないのですね。
ただ、記憶が鮮明でもなかったので、再度チェックしておりました。

この「柳の御所」遺跡は頼朝の奥州制圧の津波のような軍事行動で
ほぼ灰燼に帰した奥州藤原氏の中心的統治機構、建築群史跡。
前回見学したときには、威信財建築として「四面庇建築」痕跡が発見された、
という段階で見学していたのですが、
今回見学では、その「四面庇」建築のCGによる復元模型、動画が作成されていて
その説明には、「復元設計趣旨」が明示されていました。
以下、その部分の抜き書きであります。
〜●建物復元の考え方
2棟の建物の内部で行われていた「儀式」を想定しながら検討を進めた。
1 中心施設は儀式をする場所であること。
2 平泉館では貴族的、武家的な儀式の両方が行われていたと想定できる。
3 遺構からの分析や類似建築との比較の結果をふまえつつ、設計を進めた。
●建物の性格の想定
・東の建物  
広場に面して南北に長い建物なので、多くの人が対面できる作りであることから、
武家的な儀式に使われたと想定。
・西の建物
池と西庭に接している建物であることから、接客空間として使われた建物と想定。〜
というようなことで、たぶん歴史関係の知見と、古建築的知見が
それぞれの立場から推量を持ち寄って、こうした復元設計になったのでしょう。
わたしが見学していなかった間にこの平泉は世界遺産になったので、
より多くの学術的知見が集約されたものと推測します。
こうした研究成果の一端は印刷資料にもまとめられていて
きのう訪問したら、ことし1月に行われた文化フォーラムの資料をいただけました。
また、こうした設計趣旨に基づいて模型が作られ、それをさらにビジュアル化した
CG映像も連続的に上映されていました。

ふ〜む、確かに池に面した建物で貴族たちを応接するというのは、
まことに合理的な分析だと思わされるし、
また、平安末期の「政治」というものが「儀式」のやり方、それ自体での
ショー的な性格を持っていただろうというのも、膝を打たされました。
考古資料の蓄積、その分析から平泉権力機構の総体に迫る、
現代の想像力の展開をたいへん面白く見学させていただきました。
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【架橋ポリだけでの暖房システム】

2018年07月23日 06時13分35秒 | Weblog
写真は「きた住まいる南幌」の山本亜耕+アシスト企画の家、
床下空間を点検口から見下ろした写真です。

この南幌の家々では、概してこういう暖房「設備」仕様がみられる。
というか、ある時期から輻射暖房パネルが省略されて
この架橋ポリ管内部を温水循環させて、そのパイプ配線だけで
この場合だと「床下空間加温装置」として機能させるケースが増えてきた。
わたし的にはたぶん、北海道の設計者・宮島豊さんから
こういったきわめて省略した設備仕様のケースを10年以上前くらいに
見せられて、ほお、と思っていた記憶があります。
「これでいいの?」
「うんまぁ、これでいいんですよ」
というような了解対話だったように思います。
それ以来、わたし自身は建築工事の専門家ではないので、
このことを既知のこととして受け入れてきていますが、
今回の南幌の家々では、ほぼすべての住宅でこういった「仕様」が
採用されているように思います。
北海道の作り手たちに特徴的な傾向としての
よりローテク方向への合理主義、過酷なコストと性能検証の結果、
輻射パネルはキャンセルされるケースが増えているように思う。
極端なケースでは、こうした架橋ポリ配管だけで、
それを集中させれば「暖房器」というな認識もあるように感じる。
この写真のケースでは、画面上が基礎立ち上がり外周ですが、
熱的にはこの外周側の土間床コンクリートに対して
この架橋ポリから熱移動していって、効率的に土間空間の熱上昇を
企図していて、その効果は実証されてきている。
今回のケースでは北大・菊田准教授関与のケースでも
こういった手法がごく自然に活用されていました。
どちらかというと、本州以南地域ではエアコンの暖冷房が増え、
北海道ではさすがにエアコンよりも、
こういった温水循環方式のよりローテク、ローコスト化が志向されている、
そんな風な取材での印象を持ってきています。

きのうは秋田での講演発表。
まぁいろいろ予期せぬ事態だったのですが、わたし的には
西方里見さんにわたしの発表を聞いていただき、
「今度、三木さん、このテーマで徹底的に飲んで話し合いましょ(笑)」
という秋田人らしい提案を受けておりました。
秋田の人が「徹底的」という表現をするレベルはハンパない恐怖(笑)。
でもまぁ、いまのわたしの興味テーマでの同行の士発掘の旅でした。
今後とも「住宅はどう進化してきたか」
という巨大テーマで多くの知見を共有しつつ、地道に探究したいと
そんな決意を強く持った次第です。
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【秋田で本日講演 in 他誌さん主催イベント】

2018年07月22日 06時18分43秒 | Weblog
わたしはどうも好奇心が人一倍強いタイプのようで(笑)
面白そうなことがあると、つい強い興味を抱いてしまう。
ここ十年くらい前から「人類史」通史みたいなことに強く惹かれているのは
わたしのブログを見ていただくと明瞭なのですが、
ちょうどNHK「人類誕生」を興味深く観ていて、
現生人類ホモサピエンスの出アフリカから全地球への進出動機、
そのきっかけみたいなことに興味が集中しています。
これまでの人類史では、これについて明確な回答はなかったと思いますが、
今回のこの科学番組では「好奇心」ということにスポットを当てていた。
現生人類が地上に現れた時期、20万年前くらいに、
大きな寒冷化気候変動があって、それまでの生息域・中部アフリカが
乾燥化が極端に進行して、個体数激減の危機に瀕した。
現代人類はDNA的に非常に均質とされますが、
それはこの時期の人口減少で10,000個体くらいまで激減したことが
その原因であるとされていました。
なんとか逃げて南に向かったご先祖さまが、アフリカ大陸で稀有な
貝類の宝庫の海浜地域まで至り、それまでの食習慣にはまったくなかった、
この貝類を食料として生き延びた、とされていたのです。
そのキーワードとして、好奇心というテーマが浮かび上がっていた。
未知のものに挑戦しなければ生き延びられないという過酷な環境の中で
やむなく食べ始めたら、そこからパラダイムシフトが起こった。
で、80,000年前くらいから、現生人類は世界進出を開始した。
たぶん、「海に沿って未知なるものを探していけば、
飢えることはないだろう」という集団知が背中を押したに違いない。
この拡散行動を支えた心理は、好奇心だったというように示唆していた。

わが身に照らして、激しく同意させられる(笑)。
今回の秋田講演は、わたしのこの現生人類的ツボを強く刺激された結果。
というのは、お申し出を受けたのが住宅雑誌としては競合関係にある
秋田のJUUさんという雑誌企業からの申し出だった。
写真のようなイベントがあって、その講師としてわたしにオファーがあった。
う〜〜む、どうしようであります(笑)。
でもまぁわたしも建築知識ビルダーズさんや、
新建築住宅特集さんなどとは情報交流関係もある。
ちょうど日曜日で仕事がオフでもあるし、年寄りには特段の予定はない。
ということと、やはり「競合誌さんがなんでわたしに」という
好奇心が刺激される部分が大きかったのですね。
そんなことですので、主催者の方とお目に掛かるのもはじめて。
どんな未知との遭遇があるか、不安と好奇心につつまれて、
いまようやく、プレゼンデータが完成したところであります。
ふ〜、あとは気力でお話しを一気呵成にマシンガンであります。
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