三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

あわの大福餅

2008年12月31日 08時39分26秒 | Weblog

前から一度、食べてみたかったものに、「あわ」とか「ひえ」があります。
コメが日本の南方から、弥生式農耕として広がっていく中で
自生していたあわ・ひえは、冷害の時にも実ってくれるものであり、
とくに寒冷地・北東北や北海道地域では、
基本的な炭水化物摂取源として、ひとの生存を支えてきたに相違ない。
であるのに、コメの食味の優位性に押されて、
やがて、食文化としてもほとんど日本人の暮らしに残っていない。
たぶん、それを食することが、
貧困の象徴のように見なされ、
上位観念としてのコメ食への憧れが圧倒的になっての結果なのでしょうね。

そんな思いがあって、
さて、貧しき民族の食の歴史を体感したいと、
そういう食品を探してみていました。
で、鎌倉の街の裏参道に写真のような食品を発見。
なぜ、鎌倉にこういう「食文化」が残っているのかはわかりませんが、
とにもかくにも、ひと味、所望してみた次第です。
すこし、あわのつぶつぶ感を残した作り方のようで、
うれしかったのですが、
もとより、アズキのあんの甘みが圧倒的で、
あわの味そのものを実感するまでには至りませんでした。
関東も、土地の広さもあって、
すべて水田にはできず、
こういう食品が残るほどに、あわの生産はあったのでしょうね。

あわは、いまは健康食として販売もされているようです。
宣伝文句では
あわはミネラルなどのバランスが良く、特に鉄分は精白米の6倍もあります。またマグネシウムとカリウムそろって豊富です。マグネシウムは白米の約5倍。カルシウムは約3倍含まれています。あわは適度な粘りとほんのりとした甘味があり上品な味わいです。お米に混ぜて炊くとクセがなく、ごはんにもっちり感がプラスできます。
国産雑穀は少量ずつ多地域から集められていますので、時期により色や粒形が異なります。この点をご了承下さい。賞味期限約10ヶ月。
というように紹介されています。
アイヌのひとたちの暮らしには
あわの脱穀のための臼が多く残されていて、
重要な食品であったことは明白です。
さて、どのように命をつないできたのか、
食の歴史を体感してみたいと考えています。

ことしも、きょうで大みそか。
年中無休でブログ更新が続行しています。
何カ所かでアップしていて、多いときは1000近い読者のみなさんはいるのですが、
さほど、コメントも返っては来ないブログです(笑)。
しかし、淡々と、来る年も書き続けていきたいと思います。
みなさん、よいお年をお迎えください。ではでは。



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旗地への導入装置

2008年12月30日 08時40分49秒 | Weblog



写真は、鎌倉の鶴岡八幡宮への裏参道に面していたそば屋さんです。
旧市街地らしく、この裏参道では間口が狭く、
奥行きが長い、いわゆる「町家」形式の土地割りになっている。
こういう土地割りでは、やむなく「旗地」といわれるタイプが登場する。
広めの敷地を確保しようとしたら、
どうしても間口を犠牲にして、
通りから離れた奥に敷地を確保することになる。
必然的に長い通路専用の細長い土地が出来上がる。
で、商売をやろうと考えたら、
どうやってひとを、「その気にさせて」引き込んでくるか、
が、勝負の分かれ目になる。
というような興味を持って、この敷地割りを見ていました。
まず、出入り口にはわざわざ、木の門を設けて、
床も結界を表すように、大谷石のような独特の風合いの石を敷き込む。
そこから、まっすぐに白茶けた土の踏み込まれた道。
素材はなんでしょうか、たぶん、吸湿性がよくてドロドロになりにくい
そんな種類の土なんだろうと想像される土でしょうね。
あんまり見ることのない種類だなぁとは思われました。
この石と土の色と風合いのコントラストがなかなかいい。
で、それを際だたせるように、
右側には低く刈り込まれた垣根植栽。
左側には、変化を付けるかのようにところどころ、高い植栽。
右側の壁は、隣地との境界の板塀。
まぁ、これもいろいろなデザインの組み上げ方で
目に印象的なように造作されている。
一方左側は、隣地の店舗の壁やらを表していて、
変化に富んでいる。
土と植栽の境界には丸太が使われていて、これも
「ん、あれ、なんだろう?」と思わせるには効果的。
門の上部には鄙びた電球照明がしつらえられて、
暗い背景の中で、効果的なあんどん効果。

っていうような導入装置が工夫されていました。
正直に言って、
通り過ぎようとは思ったのですが、
一度、振り向いて、寄らずに行こうと思ったのですが、
やはり、そこはかとなく心が誘惑されて、
戻って、この道を踏みしめて中に入っていった次第。
門の前には、お品書きもあって、そば店であることはわかりました。
さて、繁盛しているのかなぁ、という興味ですね。
で、これがみごとな高級そば店としてにぎわっている。
まぁ、味はこの場合、興味の外でして、
建物をしげしげと観察させられました。
これもやはり、茶室があるなど、
結構な構えでして、ふむふむと納得させられました。

こういうところに、
時間を掛けて工夫を重ねてきた部分が感じられて、
いわば、日本の、というか「内地」の建築文化の奥行きを感じさせられるわけですね。
昼時、一本取られた思いをしながら、のど越しの良さを楽しんだ時間でした。



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外断熱の行方

2008年12月29日 06時47分11秒 | Weblog



写真は、ある「外断熱」系のビルダーさんの
より高性能タイプ住宅の壁断熱模型。
Q値が1.0を切る方向になってくると、
必然的に外(貼り)断熱の板状断熱材を厚くする方向から
空洞になっている壁の中にグラスウールを充填する方向へのチェンジが明確になってくる。
板状断熱材をこれまで以上に厚くすると、
第1にコストアップが大きくなることと、
同時に、壁材の保持がより厳しくなってくることが
こういう傾向を強めるのですね。
で、このビルダーさんの場合には、
もともと充填断熱についての技術知識を十分に持っていたので
なんの問題もなく対応できているのですが、
場合によっては、どうすべきか、方向性が見えなくなるビルダーさんもいる。
関東地域では、これまで次世代省エネ基準がQ値で2.7だったのが、
来年早々の改正で、1.9になるということ。
これまで「次世代対応」ということで謳っていたのが、
これまでと同じ対応では厳しくなってくるのですね。
実際に、こうした動きは顕在化していて、
「外断熱」ということで、高額な施工単価でも受注できるビルダーはいいけれど、
そうでもないビルダーさんは、なんとか施工単価を下げるために
充填断熱での高性能住宅ノウハウを
模索しはじめている現実があります。
そこに、この基準の改正があって、方向性が見えてくる可能性があります。
とくに景気の動向がここまで不透明になってくると
単価の下落は避けられないし、
一方では高性能化は、環境の観点からも大きく迫られてくるテーマ。

ことし年末に、FP工法のメーカーさんが行き詰まりましたが、
すぐに外壁材の全国メーカーさんが再建協賛スポンサーとして
名乗りを上げたのには、このような業界事情が内在していると思われます。
今後のマーケットの推移が注目されるところです。

さて、本日もまだ仕事が続いています。
まぁ、しょうがありませんね。
ことしは、まだまだ終わりません(笑)、頑張りましょう!ではでは。



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父母のこと

2008年12月28日 09時34分06秒 | Weblog



わたしは、父母をもう20年以上前に亡くしています。
長寿社会が実感される昨今ですが、
父母は比較的に早く、父67才、母73才で亡くしています。
ひとの寿命とは計りがたいものであり、
死生観をいろいろに考えさせてくれて、
父母の死は、人間全力で生きるしかない、というような思いを強く刻印された気がします。

そんな父母のことを、そのときに書き残しておかなければ、
と考えて、時間を見ながら、大筋だけ書いておいたものがあります。
母親の葬儀から、3ヶ月以内に書いて
親類縁者に、ホッチキス止めのコピー出版ですが、手渡しておいたのです。
ただ、当時はパソコンをまだ使っていなくて、
ワープロで入力していたので、デジタルデータが残されていない。
っていうか、ワープロの「DOS変換」が七面倒くさくて、
断念してしまっていたのでした。
それで、著者であるわたしの手元にも、その簡易製本のものしかない。
いつか、デジタルデータに入力しなければ、と思いつつ、
そういう時間が取れず、延び延びになっているものです。

で、一計を案じて、
冬休みになった坊主に、「アルバイト」の依頼。
さすがに商売人の息子。
お金と聞いて、目がキリッとしました(笑)。
「お、やった!」というこちらのうれしさを顔には出さないように努力して
値段の交渉。
まぁ、あまり高額には出来ないので、
A5判全60ページほどのもの、ページあたり100円ということに。
親としては、文章というものをきちんと読むための修練とも考えた作戦なのですが、
なんとか、自分から強く望んでの着手となりました。
おあつらえ向きに、わたしの文章には漢字表現も多いので、
「これを使って、確認しなさいね」と、漢和辞典も手渡す。
ニンマリ、2重奏。
というような下心・疑惑ありあり、の作戦ですが、
取り組みはじめてくれております。
入力って、これはこれで、いろいろ考えなければ出来ない仕事なので、
わたしにとっては、一石五鳥くらいの計算になります(笑)。
で、きのう、仕事から帰ってくると
「父さん、ふつう、同志よりも同士のほうが一般的だよね」
「ふむふむ、そうだな」
「1ページ目のところ、同士っていうように入力しといたから・・・」
っていう展開で、わたしの原稿に直しも入れてくれている(!)。
「そうか、ありがとう。その通りだよ(笑)」
「でも思った以上に大変だから、時間ちょっとかかりそうだワ」
「ウン、なるべく早く、でいいから」
というような状況になっております。

そんな、わたしと息子の様子ですが、
やはりおじいちゃん・おばあちゃんがいい機縁になってくれております。
深く、親に感謝している次第(笑)。

<写真は函館平野からの眺め。山の一部が、積雪でまるでビルのように見えていました>


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外壁の芸術

2008年12月27日 08時35分30秒 | Weblog



いやはや、この冬一番という大嵐がやってきましたね。
一昨日夜から、ずっと2日間くらい、
猛烈な状態が続いておりました。朝早くから雪対策です。
石油ボイラーによるロードヒーティングを敷設している
会社の方の駐車場はやむなくスイッチオン。
しかし、積雪がすでに15cmほどは進んでいたので、
4WD車で圧雪させたりして、気長に融雪を待とうとしておりましたが、
なんと夕方になって気付くと、電源コンセントが脱落していたこと、判明・・・・。
まぁ、日中の積雪はそうは多くなかったので、まぁいいか、と。
きのうの降り方は完全に「ブリザード」状態でして、
昼間、車のライトを付けて車道に出ても5m先が見えない状態。
降る、というよりは「吹きすさぶ」という状態でしたね。
しかし、そのほかにも歩道部分の除雪作業もしなければなりません。
取り急ぎ、応急的に通路を確保させて、
あとは出てきたスタッフに任せることにして、今度は自宅。
一応、ロードヒーティング設備はあるのだけれど、
やっぱり、ここ2~3年前くらいから、反省して手作業除雪のみにしています。
ということで、広大なスペースの除雪作業。

そういう作業が断続しておりましたが、
日中は、今年最後の出社日なのでなにくれと忙しい。
この大雪を押してアポイント時間前に来てくださった来客の方に聞くと
市内の幹線道路で、倒木被害で渋滞も発生しているとか。
そのほか、電線の被害もあって停電も多発したようです。
まぁ、冬らしくていい、とも言えますが、
本当に厳しい状況の今年を反映した最終日でした。

ということで、今朝、ふたたび除雪作業。
まぁ、ようやくにして、嵐は去った様子で、
写真を撮影しようか、というゆとりも出てきた次第です(笑)。
今朝のわが家の外壁の様子です。
角波鉄板を使っている部分は、とくに面白い雪の付着の仕方。
まるで、遅れてきた絵描きサンタさんが
置きみやげにしていったような、すさまじい、というか
自然の造形というか、
なんとも楽しい絵が、あちこちの家に描かれております。
でもやっぱり、サイディングの住宅はこういうなかでも味気ない。
自然な素材の持つ、凹凸や陰影が自然条件を映し出しているのに対して
なんとも無機質な表情で、つらっとしていて、
とりとめも、印象もない・・・、むむむ。
その土地の自然の移ろいを、感受させる要素というのは、
やっぱり不可欠のような気がしますが、さてどうでしょうかね。


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金融危機・経済収縮

2008年12月26日 06時06分55秒 | Weblog



いやぁ、経済は土砂降りに似た状況に突入ですね。
2兆円からの利益を計上していたトヨタが一気に赤字に転落するって、
あまりな暗転ぶりに言葉もありません。
これまで輸出に活路を見いだし、
収縮する国内市場から、海外市場にシフトしてきた日本製造業が
海外の市場収縮で、一気にダメージを受けている。
当座は収縮した市場規模の中で、どうやって収益を出せるのか、
そして、経済の底がどこで打つのか、探る展開になるのでしょう。

そういうなかで、住宅関係も大きな波が押し寄せてきています。
アメリカでは、車を買うにも信用が収縮して
ローンが成立しない、という状況が常態化しているのだとか。
日本でも、住宅ローンが民間金融機関でなかなか伸びない。
相当に審査がきびしくなっていて、
購入意欲はあっても、銀行が及び腰になっている。
竹中さんの主導のもとにおこなわれた、政府機関の直接貸出が局限されたことの
もっとも悪いシナリオが、いま進行している。
政府が経済のテコ入れをしたくても、
その手足になる公的な金融機関が、「統廃合」されて、
いまや直接金融できる機関がなくなってしまっているのに近い。
国民生活金融公庫が、日本政策金融なんとかに変わって、
これまでの直接金融機関は、そこだけに統廃合されている。
これまでは、こうした政府系金融機関がいくつもあって
場合によっては複数から資金提供があり得た。
一元化されて、じゃぁ、貸出枠が増えているかというと
そんなことはないようなので、結果としては政府系資金が極端に細っている。
こんな状況なので、経済が暗転して景気が後退し、
急いで民間に資金を回したくても
その手段がなくなっているというのが現状なのでしょうね。
まことに、「小さな政府」はその通り機能している・・・。

そんななかで、住宅金融支援機構、まぁ、名前が変わったので
わかりにくくなりましたが、
元の、住宅金融公庫ですね。
公庫が直接融資を復活させる方向になってきているようです。
近日中に、アナウンスが出ると言うこと。
確実な筋からの情報ながら、今のところ、伝聞情報。
早く確認したいと思っております。

公庫が間接金融一本に変化してから、
住宅の性能面でも、いわゆる「公庫仕様書」も民間金融機関では理解できているかどうか、
いろいろ問題が出てきている状況だったので、
まぁ、百害あって一利なしではないのか、といわれていた。
首都圏などでは、マンション販売事業者が
自社の経営は黒字決算なのに、顧客のローンが着かない、
運転資金が金融機関からの貸し渋りで円滑にいかない、
っていうような状況から、行き詰まるケースが増えてきている。
金融の信用収縮が負の連鎖の起点になって
経済の運営を完全におかしくさせている。
こういう状況の中で、住宅金融公庫(と旧名に復活した方がやはりいい)の
直接融資は、やはり心理的にも大きな効果を生むと思います。
冷え切ってしまった住宅投資の復元にも
大きな効果を期待したいところですね。
本日は、大雪・大嵐・雷のなかでのブログ更新、
テーマも、なんかふさわしいものとなりましたねぇ・・・、ではでは。
<写真は東京ビジネス街出勤時の様子>


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窓のデザイン

2008年12月25日 06時55分51秒 | Weblog



写真は帯広市内で見た住宅の様子。
ツーバイフォーの壁に丸い穴を開けている窓です。
左手の四角い窓のように
「外の風景を切り取る」という感じはなく、
さりとて「外から光を導入する」という用に似合っているとも言えない。
内部からも、外部からも、そのデザイン性を楽しむという
用途にもっとも近いのではないかと思われます。

最近の若い年代のひとが作る住宅で
このような志向性の窓の開け方が出てきていると感じています。
住宅はもっとも根源的な意味で
そこに暮らす人たちを映し出す一種の表現物とも言えますから、
生活の価値観の中で、このような部分も必然ではあるかも知れません。
現代の住宅は、現代人が暮らすものですから、
現代の暮らしというものが、
このような「遊び」感覚を持っていることも表している。
機能性というよりも、遊び感覚に近い。
ただし、作る側から見れば、
こういう窓を材料にした表現ではあると思う。
このような方向性を持った家は何軒か見てきています。
こういう窓による空間の変化とか、印象が、
ひとつの生活背景表現物を構成している、という感覚。

窓の形や、光の入り方、その変化など
表現方法と考えたら、いろいろな表現に膨らんでいく可能性はあります。
ただし、建築の手間などは確実に増えるので
性能要件から見れば、マイナスにしかならない。
まぁ、昔の家でも高級住宅では円窓がよく作られていたので、
ずっと簡便に壁に窓を開けることが可能になった時代なのですから、
そう大きなマイナスと考える必要はないのかも知れませんね。

ただし、このように窓を造作するのであれば、
「表現物」としてのひとからの鑑賞眼とは
真っ正面から立ち向かっていく必要はあると思います。
ひとつの表現として、審美的な観点からの評価を受けることを覚悟する必要はある。
自由に開けられると言うことは、
同時にそういった一種の責任からは逃れられなくなると思います。

っていうことですが、
こういう傾向がさて、今後どのように進んでいくものかどうか、
ウォッチしていく必要はあるでしょうね。



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窓のデザイン

2008年12月25日 06時55分51秒 | Weblog



写真は帯広市内で見た住宅の様子。
ツーバイフォーの壁に丸い穴を開けている窓です。
左手の四角い窓のように
「外の風景を切り取る」という感じはなく、
さりとて「外から光を導入する」という用に似合っているとも言えない。
内部からも、外部からも、そのデザイン性を楽しむという
用途にもっとも近いのではないかと思われます。

最近の若い年代のひとが作る住宅で
このような志向性の窓の開け方が出てきていると感じています。
住宅はもっとも根源的な意味で
そこに暮らす人たちを映し出す一種の表現物とも言えますから、
生活の価値観の中で、このような部分も必然ではあるかも知れません。
現代の住宅は、現代人が暮らすものですから、
現代の暮らしというものが、
このような「遊び」感覚を持っていることも表している。
機能性というよりも、遊び感覚に近い。
ただし、作る側から見れば、
こういう窓を材料にした表現ではあると思う。
このような方向性を持った家は何軒か見てきています。
こういう窓による空間の変化とか、印象が、
ひとつの生活背景表現物を構成している、という感覚。

窓の形や、光の入り方、その変化など
表現方法と考えたら、いろいろな表現に膨らんでいく可能性はあります。
ただし、建築の手間などは確実に増えるので
性能要件から見れば、マイナスにしかならない。
まぁ、昔の家でも高級住宅では円窓がよく作られていたので、
ずっと簡便に壁に窓を開けることが可能になった時代なのですから、
そう大きなマイナスと考える必要はないのかも知れませんね。

ただし、このように窓を造作するのであれば、
「表現物」としてのひとからの鑑賞眼とは
真っ正面から立ち向かっていく必要はあると思います。
ひとつの表現として、審美的な観点からの評価を受けることを覚悟する必要はある。
自由に開けられると言うことは、
同時にそういった一種の責任からは逃れられなくなると思います。

っていうことですが、
こういう傾向がさて、今後どのように進んでいくものかどうか、
ウォッチしていく必要はあるでしょうね。



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デザイン炊飯かまど_2

2008年12月24日 07時29分15秒 | Weblog



どうも、かまどという台所装置を見ると
つい、目が点になっていく。
写真は昨年取材した宮城県の古民家再生の住宅で見たもの。
これも実に立派なんですよね。
床に近い部分は、まるで家具のように重厚な木で仕上げられている。
かまど自体は土で塗り固められて造作されたようです。

この家は、仙台伊達藩の大きな輸出(といっても江戸への)品であった、
寒冷地木材、杉や松といった針葉樹構造材を管理していた家柄。
そうした家格が維持され、いまに至るも
そういう家業を意識しながら暮らしている、というあたり、
北海道から取材に来ると、絶句してしまう部分なのですが、
そういう家の伝統のようなものから
使われている素材は、立派な材がふんだんに使われておりました。

そんな家格に見合うような「かまど」という
意識もきっとあったのでしょうね。
江戸期から続いている家ですが、
このかまどは明治の頃のものだそうです。
明治とは言っても、こういう技術の世界では継続性が高かったでしょうから、
江戸期から、このようなデザイン性を強調した
まるで、システムキッチンのような仕上げが意識的に存在していたのだろうと思います。
このように考えると、網野善彦さんの書かれる常民史のような世界の
暮らしの道具の歴史的変遷というものも見えてくる。

生活道具の中で、
命をつなぐという意味で、もっとも精神性が込められそうなのも
やはりかまどということになるのだと思います。
お米を炊く、というのは精神を込める、というようなこころの動きがあると思うのです。
この写真のかまども、今回の再生工事がきっかけで、
きれいに磨き込んでみたのだそうですが、
それまではただ黒いだけの飯炊き装置そのものだったのが、
このように仕上げてみたら、一級工芸品的な輝きを見せて、
施主さん自身もびっくりしたと言うことなのだそうです(笑)。
なかなか、奥行きの深そうな世界がかいま見えますね。



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龍の天井画

2008年12月23日 08時51分11秒 | Weblog



写真は、関東鎌倉の建長寺の一堂の天井画。
昔の都市の成り立ちとか、機能とか、
いろいろ興味が募ってきています。
都市と権力、宗教施設の関係など、いろいろ調べているところ。
鎌倉というのは、関東の武士団が王朝の首都、京都に対して
まったく独立した政権を樹立して造営した武家の首都。
で、前九年・後三年戦役から藤原氏による平泉都市建設を
間近に見て、それに深く影響を受けて
頼朝はこの鎌倉の建設を進めた。
その権力後継である北条氏に至っては、
奥州の北方圏交易の利権によって、その権力基盤を固めたと言われている。
どうも、藤原氏平泉の光景は、鎌倉に基本的に受け継がれてきていると思える。
権力を握ると、
鎮護国家思想として、仏教なり、神社なり、
宗教施設の祭祀を司る、というのが洋の東西を問わず、一般的。
そう考えると、藤原氏平泉のあの荘厳無双な宗教設備は
どれだけの気宇壮大な権力規模だったのか、
想定するにあまりあると思えてきてなりません。

で、だいたいこういう都市建設では
龍が何匹か、描かれるのが一般的に多い(笑)。
というか、東洋的な風水思想の発露として、
都市の発展を願って、龍が何本か、空に登っていく地、という考えがある。
鎌倉という都市を建設する都市計画のなかで、
中心的仏教施設と考えられたこの建長寺は
行ってみてびっくりするほどの広大な寺域を誇っている。
まさに都市計画の中で、中枢的な意味合いを持っていたと思われる。
そういう表現が龍なのだ、とも言えるのでしょうね。

龍は想像上の生き物だけれど、
であるだけに、なんとも楽しい想像力が発露している。
俵屋宗達の国宝・風神雷神図のように、
現代のマンガ表現につながってくるような、楽しさがいっぱい。
ニッポン人の想像の世界って、
どこか通底していると感じられる部分があって、
面白がっている次第です。



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