三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

藤田嗣治と安藤忠雄の秋田県立美術館

2015年03月15日 04時28分22秒 | Weblog

さてきのうは、秋田での任務完了。
なんですが、午前中若干時間が空いていたので、
宿泊先のすぐ近くにある、秋田県立美術館に敬意を表して見学。
平成25年にオープンして以来、なかなかタイミングも合わず
恥ずかしながら、初めての見学であります。
まぁ建築っていうのは、いろいろな接し方があるでしょうから、
建築ファン的にワクワクしながら、
すぐにでも誘引されてみるのもありでしょうし、
ジワジワと、周辺的な回り道過程を踏みながら、
徐々にその実際に迫っていくというような
アプローチもあるのではないかと、勝手に思っております(笑)。
秋田県立美術館というのは、旧館があって、
こちらの新館に機能を移転しつつある、ということなのでしょうか?
HPを見ると、旧館はすでにクローズしているそうです。
新館は、街の再開発の役割も担っているのか、
秋田の街のシンボルの久保田城の外堀にかけられた橋に
正面で対面するような配置になっています。
写真は安藤さんの作品らしく水盤とコンクリート庇で区切られた
開口から、この橋から外堀全景を切り取って見せているもの。
ここをメインの眺望として、
美術館建築は成立させているように思われます。
美術に親しんだほどよい疲労感を解放するような
秋田の街が用意する文化的にもとっておきの景観だと思います。

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で、もう一方の見せ場は、
入ってすぐの階段ですね。
コンクリートの簡素で巨大な壁面空間に
まるで怪獣のようなオブジェとしての螺旋階段が対置されている。
展示される美術作品の背景として機能させるというより、
むしろ積極的に建築として自己主張していると思わされる。
展示美術品の核である、
藤田嗣治が、昭和12年当時の秋田を描いた大壁画「秋田の行事」と
コラボレートすることを意識しているかのようです。
水盤の「水庭」の表情にいやされるエンディングと
対比的なこの螺旋階段とが、わかりやすく建築を感じさせてくれますね。

なんですが、
美術館としては、大作の大壁画「秋田の行事」だけが
印象に残って、展示作品数もちょっと絞りすぎのような
やや、残念感も持たされた次第であります。
どうなんでしょうか、出し惜しみしているのかなぁ・・・、
もうちょっとたくさんの美術作品を見てみたいなぁと思ったのは
わたしだけでしょうか?
さらに言えば、藤田嗣治にしろ安藤忠雄にしろ、
どちらも秋田にとっては、異邦人の作品がメインを飾っていて
どうなのかなぁという素朴な印象も持った次第です。



コメント
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