三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

古代のかまど・煙道と現代パッシブ換気住宅

2015年09月24日 06時26分13秒 | 住宅性能・設備


さて、シルバーウィークも終わって、ことしもラストランに近づきますね。
いろいろ出張や、仕事の追い込み、講演依頼など
引き続きますが、淡々と対処していきたいと思います。
本日は、住宅とは切っても切れない関係の装置としての台所。
本州地域とはやや遅れて、北海道では7世紀くらいから
住宅に「かまど」が据え付けられるようになるとされています。
で、不勉強で「かまど」のことをあんまり知らなかったので、
以下に、Wikipediaの記述を一部修正しながら、要旨抜粋引用。

~6世紀以降には竪穴式住居の北側や東側の壁面に設けられる
「カマド」がつくられるようになり、その構造は粘土をドーム状にもりあげ、
住居の内側に焚き口、「カマド」の天井部に煮沸具である土器に、
はめ込むようにして置かれる形になっている。
「カマド」の「ソデ」と呼ばれる部分には、石などが用いられ、
「カマド」中央部に置かれた土器をささえるための
支脚にも粘土質のものや長い形の石が用いられた。
奈良時代、平安時代には全国的に普及したかまどには、
屋外へ煙を排出するための煙道が発達していた。
しかし庶民の住居が竪穴式住居から
掘立柱建物に移行するにしたがい、煙道が失われた。
かまどは焚き口と鍋釜をしかける穴のみが設けられた構造となり、
薪の燃焼で生じた煙は焚口から屋内に排出され、
屋根裏を通って屋根に設けられた「煙出し」の穴から
屋外に吐き出されるようになった。
高温多湿な気候の日本において家屋を腐朽やシロアリから守るには、
かまどから屋内に煙を吐き出させ、屋根材や家屋を
「燻製」にして防腐効果を狙う必要があったためである。~引用終わり。

というような記述がありました。
北海道では一部違いがあったとされ、蒸し器である甑などが
本州地区では使われたのに、北海道の「檫文時代人」たちは、
蒸すことはせず、ひたすら煮る調理を行ったとされている。
また、この記述では煙は室内に充満させて
シロアリ被害から建築建材を守る、燻しの効果を狙っていたとされますが、
ほとんどそういうシロアリ被害対策の必要が無かった北海道では、
煙は外部に排出される工夫が見られたようです。
粘土を盛り上げてかまどを作ると同時に、
石を組み合わせながら「煙道」を構造造作して、その表皮に
粘土を塗って仕上げたモノだと思います。



こんなふうに外部に煙道を出していたようです。
檫文の時代が終わって、アイヌ文化の時代には、
本州地域と同様に、住宅は竪穴から平地住居になっていきますが、
本州地区の「蒸す」食文化を持たないアイヌ文化では、
基本の食生活道具として、鉄鍋が本州社会から輸入されて、
伝統的な直火で「焼く」調理と、この鉄鍋を自在鉤で降ろして
囲炉裏ですべての調理・食空間とする食文化に移行します。
この辺のアイヌ食文化の住宅装置選択移行に、強く興味を持っています。
というのは、現代の北海道住宅の特異な暖房装置として
「パッシブ換気」システムというのがあり、
それは新鮮外気を、断熱され加温装置も置かれた床下ピット空間に導入し、
そこから室内に熱をゆったりと充満させて、
汚染された空気を最終的に最上部から屋外に排出させる、
換気とも暖房とも言い切れないシステムの考え方があって、
その原理と、この時代の「かまど」の煙道装置が似通っていると
そういう印象を持ち続けているからなのです。
現代では、空気の通り道は安価な樹脂パイプが使用されるのですが、
この時代では、石や粘土を複雑に使って手作りしている。
さらに囲炉裏は、食空間でもあったことで通年焚かれていて
それもまた、「土壌蓄熱」装置として暖房利用されてきてもいた。
こういう古代人の暮らしの合理的な知恵に、
すっかり脱帽させられるものがあると思えてならないのです。





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ドイツパッシブハウス基準クリアの意味合い

2015年09月11日 06時26分57秒 | 住宅性能・設備


きのう新住協総会から、無事札幌に帰還致しました。
最終日になって、ようやく名古屋らしい暑さは多少戻っていましたが、
それまではどちらかというと、肌寒いような天候で終始していました。
さて、総会の最終日は全国の会員からの事例発表。
それぞれに興味深い内容の発表だったわけですが、
最後の、木の香の家・白鳥さんの発表が注目されました。
白鳥さんは新住協の理事でもあり、若い年代の会員を代表するような存在。
東北大学出身で経営的にも先導的な取り組みをされています。

今回、自宅建築に取り組まれるにあたり
ドイツパッシブハウスの基準に合致した住宅を計画されたのです。
写真は、その熱的なシミュレーションを検討したプロセス。
よく、東北のプロのみなさんがこの基準に挑戦されるのですが
みなさん一様に、そのハードルの高さを語られます。
この白鳥さんの検討プロセスでも、
当初の、生活デザイン上の基本的な要望を満たしたプランでは
暖房負荷12.5kWh/m2、暖房用灯油使用量272リットルが
ただただ防御的なプランにしてなんとか基準をクリアさせたプランで、
暖房負荷5.0kWh/m2、暖房用灯油使用量106リットルとなっている。
灯油換算で、年間162リットル削減ということにはなる。
しかし15,000円程度の年間コスト削減、それも太陽熱・光利用など
よりエコロジカルな他熱源選択をすれば簡単に回収可能なコストのために
それこそ死んだようなプランを受け入れるしかない。
まぁ結局、基準を満たすためには、南面以外の窓をなくした
単純なボックスにしていくしかなくなってしまう。
そうすると、基準を満たすためだけに、
その「認定を取る」ためだけの家づくりになってしまう。
そうした自己矛盾と思えるようなプロセスが、表現されていました。
プロセスではドイツ側の方から、基準達成は
「そもそも、岩手県北上では、ムリですね」という指摘もあったとか。
日本では温暖地域しか、達成は難しいのが実際。
そういうことなので、北海道の大多数のみなさんは挑戦しようともされない。
「意味ないでしょ」というのが多数意見。
鎌田先生の発言でも、求めている方向性自体にはまったく賛同だけれど、
そもそもドイツと日本の気候条件の違いや、
ソフト上の気候条件についての判断基準への疑問提起もありました。
多額の「認定費用」を取って、住宅性能を担保する「認証」を与えることで、
より防御的な基準数値にならざるを得ない実態も語られていました。
ドイツは全国一様に、気温条件的には日本の「温暖地」であり、
仮にパッシブハウス基準をスウェーデンに持って行って当てはめると
「無暖房」レベルでようやく基準に合致するともされていました。

さて、このテーマ、
「住宅性能」についての今後の大きなテーマになりそうです。
パッシブハウスは、方向性は正しいけれど、
その地域、生活やデザインに似合ったものの追求というのが、
やはり自然な流れになって行くのではないか。
「原理主義」のような方向性では、やがて行き詰まるのではないのでしょうか?

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新住協総会、そして北海道ガンバロー

2015年09月10日 08時04分48秒 | 住宅性能・設備


さて、きのうは名古屋の国際センターという会場で
新住協の総会でした。
昨年まで新住協(新木造技術研究協議会)はNPO法人でしたが、
今年の大会からは、一般社団法人に組織変更しての
はじめての総会であります。
新住協は、北海道の工務店の結集体と、東大を出られて
室蘭工業大学に赴任された鎌田紀彦先生との出会いが発端の組織。
全国ではじめて室蘭工大に「システム工学」を建築で研究する学部が発足し、
その先鞭を付ける意味で、先生が来道されたのです。
岩手盛岡の出身の鎌田先生が、この同じような積雪寒冷の北海道に来て
当時、北大の荒谷先生などが研究の端緒を開かれていた
寒冷地住宅の研究に立ち向かわれ、「高断熱高気密」の家づくりを
志を共有する北海道の工務店グループの協同を得て、
きわめて現場的に解決する道筋を探って行った。
この場合の「現場的」ということが、ものすごく大切な部分で、
工務店も、理論だけではついて行きようもなかったけれど、
鎌田先生は、具体的な施工プロセスを詳細に、それこそ「システム工学」の
視点から現場工程を観察して、そこから改善すべき問題点を抽出した。
だから、工務店の側も、「そうか、ここをこうすれば、間違いなく良くなる」と
深く納得することができた。
断熱材をタダ厚くしても、さっぱり効果が出なかった事実に対して
気密化施工の重要性を発見し、しかもその手順の細部に至るまで
実践可能な「技術」として工法開発していった。
たぶんこのプロセスは、やがてレジェンドになっていく事なのかも知れない。
しかし、わたしたちはまだいま、ここにいる。
まだまだ、この歩みは終わったわけではない。

北海道が発祥となって生み出されてきたこの革新は
次のプロセスへの踊り場で、いま、立ち止まっているかに見える。
きのうの総会でも、いま、高断熱高気密の工法革新の現場は、
本州地域の方に、その先端部分は差し掛かっているのかも知れない。
そしてそれは、北海道がその契機を生み出したことではあると思う。
懇親会の中締めで、北海道の工務店を代表して武部建設さんが
いみじくも、発言していたけれど、
いま「北海道ガンバロー」という雄叫びが必要なのかも知れない。
それがどのような「目指すべき地点」であるのか、まだ不明に見えるけれど
よりよい家づくり、人間環境の創造に向けて
立ち向かって行く必要があるのだと思う。
・・・多少、酔ってしまった夜でした。



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新住協総会、前日名古屋入りはしたけど・・・

2015年09月09日 06時27分19秒 | 住宅性能・設備

これを予期して早めに名古屋に来たわけではないのですが、
どうも台風の直撃のようであります。
きょうから新住協の全国大会が名古屋を会場にして始まります。
ことしは「前夜祭」が行われないということを、
飛行期チケット予約の時にはわかっていなくて、
例年のように、それにも参加しようと、前日入りしたわけなのであります。
ということで、名古屋に来たのですが、きのうからすでに雨模様。
札幌からなので、あんまり天気のことは無頓着だったのですが
こっちにきてからどうやら台風が近づいているのだとわかった次第。
まことにうかつでありますね。
で、WEBなどで調べて見ていたら、
これはどうやら、その総会の開始時間がまるで直撃されるようなのです。
いまは市内中心部のホテルにいるわけですが、
雨脚は一向に静まる気配もなく、
むしろどんどんと激しくなってきている。
総会の会場まで歩いて10分ほどのホテルなのですが、
そこまでたどりつくにも、持参した旅行用の傘では
やや心もとないような、強く執拗な雨の降りようです。
テレビでは、東海地方各地で土砂災害などの報道もある。



どうやら飛行機は今日の午前中は札幌便、欠航と発表されている。
そういう意味では前日入りは正解とも言えるのですが、
全国から集まってくるみなさんが、無事に到着できるのかどうか、
とくに北海道からきょう到着で予定していた方たちは、
たぶん、時間には到着、無理なのかも知れません。
9月初めの名古屋と言うことで、暑さには覚悟はしてきたのですが、
まったく拍子抜けするほどの涼しさ、というよりも
むしろ肌寒いとでも言った方がいいくらいであります。
着る服も、まさか長袖はいらないだろうと判断して
半袖しか持ってこなかったので、これではちょっと外を歩くのに寒いほど。
南北に長い日本列島、いろいろな条件の変化は見通すべきでしょうが
今回は、そこまでは見通しておりませんでした。
というような状況でありますが、
なんとか、全国のみなさんと情報交流に励んでいきたいと思います。

しかしまぁ、この状況では、ホテルから出歩くのも
相当に難儀しそうであります。
市内中心部なので、タクシーもとても捕まえられそうになさそう。
ということで、やや弱音気味の朝を迎えた次第であります。
みなさんの地方でも、十分お気を付けください。

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岩手宮城大地震と建物被害

2008年06月15日 06時54分49秒 | 住宅性能・設備


今回の地震で被害に遭われたみなさんに、お見舞い申し上げます。

きのうは1日、地震の様子が気がかりでした。
新潟の建築会社さんからは丁重なお見舞いのメールまで頂いていました。
おかげさまで、青森に向かっていたスタッフが
途中、東北道 北上金ヶ崎PAで休憩中、震源地に近い場所で遭遇したのですが
大きな揺れは感じましたが、特段の影響はなく
その後、無事青森県で取材を遂行している状況です。
また、福島県で取材していたスタッフたちは、夕方仙台事務所に帰り着き、
事務所内部も大きな被害はない、ということでした。
当方としては、大きな影響はなく、ホッと一安心できたところです。
しかし、地震の様子のすさまじさにはただただ、びっくりします。
まるで、隕石が衝突したような広範囲の地滑り状況には
まさに自然災害の猛威を感じる次第です。
そういうなか、今回の地震では今のところ、建物への被害は限定的と報じられています。

短い揺れ周期、雪に強い構造…地震の建物被害目立たず
 岩手・宮城内陸地震は、阪神大震災に匹敵する揺れの強さにもかかわらず、14日午後10時現在、判明している建物の全半壊は13棟にとどまり、昨年7月の新潟県中越沖地震(6940棟)などに比べはるかに少ない。専門家らは、建物被害につながりにくい地震波の特徴や、地震に強い東北地方の住宅構造を指摘している。
 建築基準法は震度6強でも倒壊しないような建物の強度を求めている。国の推計では、この耐震基準を満たす住宅は2003年時点で全国平均が75%。宮城、岩手両県はそれぞれ74%(03年)、65%(07年)で全国平均を下回る。震源に近い岩手県奥州市も65%だったが、壁のひびやブロック塀の倒壊など軽微な被害が中心だった。
 建物被害が少なかった理由について、境有紀・筑波大准教授(地震防災工学)は、今回の地震の地震波が、建物に被害を与えにくい特徴を持っていた可能性を指摘している。
 境准教授の解析の結果、今回の地震では揺れの周期が1秒以下と極めて短かった。中低層の一般的な建物に被害を与えるのは周期が1~2秒の「キラーパルス」と呼ばれる地震波だが、今回は強く見られなかった。中越沖地震や能登半島地震ではキラーパルスが強かったという。
 一方、国土交通省の担当者は〈1〉雪が積もりにくい鉄板製の屋根が多く、かわらなどに比べて建物が軽い〈2〉寒さ対策として窓や扉など開口部が小さい――など、東北地方独特の建物の構造が影響した可能性を指摘する。和田章・東京工業大教授(建築構造・耐震工学)も「現地を見ないと分からないが、積雪時を考慮した設計は、雪のない春夏は壊れにくいと言える」と話す。
(2008年6月14日23時42分 読売新聞)

ということのようですね。
北海道での地震でも、地震の強さに比較して
建物への直接的な被害はそう大きくはないケースが多い。
よく、凍結深度の深さが頑丈な基礎となって耐震性にも寄与しているのではないか、
という声も聞くことができます。
積雪への対策として軽い屋根にしていること、
寒さ対策として、開口部面積が小さく、壁量が大きいこと、
それに基礎の造りが比較的に堅牢性が高いことなど、
複合的な要因とも思われます。
まだ、余震はしばらく続きそうです。
みなさん、十分に気をつけてください。
<写真は岩手県の古民家軸組と壁の様子>

NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
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世帯あたりエネルギー消費比較

2008年06月01日 09時56分38秒 | 住宅性能・設備

ウチの誌面で連載エッセイをお願いしている
北海学園大学・佐々木博明先生の講演のひとこま。
日本の各県別の世帯人数と、世帯のエネルギー消費の様子を表現した図。
いろいろな意味合いがあって面白く拝見しました。
住宅のエネルギーですから、暖房要素が加わる北国が大きいのは当然として、
それに「世帯人数」を掛け合わせて考える概念ですね。
省エネで考えれば、大家族で住む方が理にかなってはいる。
一方では、少人数化というのは現代都市的生活の趨勢。
従って、この図では縦方向に南北差が表現されて、
横方向には「都市化度」のような傾向が現れる、といえる。
と思っていたのですが、どうもそういいきれない。
もう一つ、家族数を決定づけているのは、その地域の「高齢化度」も
影響が大きいと言えるかも知れません。

で、北海道はこの図で
ひと地域だけ、ちょっとグループに属さない位置に出てきている。
東北地域は寒い地域だけれど、家族数は多く、
理にかなった感じが傾向としてそのまま表れている。
東北よりももっと寒冷地だけれど、
エネルギー消費では、ほとんど同じくらいのレベル。
でも家族数は5分の4くらいの比率。
ちょっと特異なんですね。
東京が家族数で平均が2をちょっと超える程度で
全国でも最小になっているというのはわかる。
でも、家族数の少なさが2位というのが
北海道や鹿児島、高知、というような順だと言うことになると
やはり「都市化度」ではなく、高齢化度を表しているのではないか。
いいかえれば、「過疎度」というようにも言えるかも知れない。

この表にはないけれど、
札幌は北海道でも飛び抜けて家族数が少ない地域。
で、北海道全域も家族数が少ないということになると、
北海道では、都市化と、札幌以外の地域の高齢化が加速度的に進んでいる、
というようなことを表現しているのかも知れない。

どうもこのあたり、産業としての住宅、その性能という用件を超えて
社会的な問題が全国一、北海道では進行しているのではないか、と思えます。
住宅の性能レベルで言えば、年平均気温の分布による傾斜を
北海道の住宅は上回っている、というように考えることができます。
産業としては北海道の住宅は優秀だけれど、
その社会的基盤は、あまり力強くない、ということを
この図は、教えてくれている気がします。
こういう問題、誰がどのように切り込んでいくべきなのか、
難しいテーマだなぁ、という実感を持ってみておりました。
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白いグラスウール

2008年05月27日 06時35分02秒 | 住宅性能・設備

先日の新住協総会で展示されていたもの。
グラスウールというのはだいたいが黄色だったり、赤だったりの
色がついているものが多い。
あれはなんでなんだろうと、考えることはなかったのですが、
こういうふうに展示されて初めてなぜかと考えてしまいますよね。
そのへんはメーカーさんもたぶん同じような感覚なんだろうと思いますが、
白いグラスウールというシロモノ(笑)。
実物としてみたのは初めてであります。
以前にも、別のメーカーから白いのが出たことがあったのですが、
そのときのものとは作り方が違って、以前は着色料を加えていたのが、
今回はそうではない、という説明でした。

で、どういう用途なんでしょうか、と聞いても
どうも心許ない説明でした。
まぁ、試しに作ってみたと言うことなのか?
ということでしたので、
以前に取材で見かけた事例で、ポリカーボネートでこの白い断熱材をサンドイッチして、
いわば、「半透明な壁」を作っていた例をお話しいたしました。
こういうケースだと、断熱材が入っている場所は半透明な壁で、
入っていないところは、半透明な「窓」という違いです、
というように設計者から説明を受けた話をお話ししました。
逆に、たいへん面白がって聞いてくれていました。
ポリカーボネートを外壁材料にしよう、というのは
かなりの冒険心がなければならないところですが、
その家は設計者の自邸だったので、やってみたかったということでした。
ところがその後、白い断熱材が販売されなくなって、
そういう挑戦は頓挫しているようだったのです。
そんなところに、こういう素材が再び出荷されると言うことなので、
さて、どんな使い方をみなさんするものかどうか、
ちょっと興味を覚えた次第なんです。

また、ああした挑戦が行われるか、
少し、状況をウォッチしていきたいと考えています。

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初夏のスキーリゾートにて

2008年05月24日 05時39分57秒 | 住宅性能・設備

昨日は新住協の総会が行われました。
会場は盛岡市から、50kmほど離れたスキー場、安比高原。
わたし、冬場は家でおとなしくしている(笑)ほうなので、
この手のリゾートには縁のないものと自己認識しておりますが、
そういうものにとって、得難い体験であります。
周囲の自然はまさにこれ以上ないくらいの極上のものですが、
それと対比的に人工的、というか、幾何学的な形態のホテル。
大変シンプルで、潔い造形感覚です。
著名建築家のデザインと聞きましたが、
総会は、缶詰めでの講演や討論などが続くので、
ほとんど、じっくり建築を楽しむ時間は取れません(涙)。
けさも、これから早めに出なければならず、残念です。
という次第ですが、
散歩がてら、周囲を歩いてこの建築群を写真に納めたいと思っています。

それにしても、この交通の不便な地に
全国から200名を超すみなさんが集まってきています。
住宅の市場状況はけっして芳しくないなか、
一方でユーザーからはホンモノの性能へのニーズも起こってきているようです。
とくに、関東以南地域から、多くの新規入会が続いたり、
一般ユーザーからの問い合わせが続いている状況なんだとか。
そういった状況を活かして、ぜひ性能による住宅業界の革新を
新住協が巻き起こしていって欲しいものだと念願します。
技術的な話題としては、「蓄熱」という部分が大きなスポットを
浴びてきている状況。
それに関連して、土間や基礎の作り方が大きなポイントになってくるということ。
そういったポイントが、実証的な数値に置き換えられて検討されるので、
大変明確になって、わかりやすく面白いと思いました。
そのほかにも話題が豊富で、後でゆっくりまとめる必要があります。
さて、きょうは早めに出て、東京で用件を済ませながら、
原稿をまとめる必要があります。
がんばらねば、であります。ではでは。

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水と建物のデザイン

2008年05月20日 16時05分25秒 | 住宅性能・設備

写真は恵庭カントリークラブというゴルフ場のクラブハウスの様子。
コテコテのアメリカンデザインで、豪華絢爛という
きわめて装飾的な建物だったので、ついシャッターを押していたなかの一枚です。
ゴルフ場としての事業計画は、当初のものはまったく破綻して、
経営的には行き詰まり、倒産して、その後、経営母体が転売を繰り返してきているというもの。
なんですが、ここまで豪華絢爛というものなので、
「もったいない」ということなのか、
こういう写真のような状態が維持されているのです。
はじめの計画では、北海道で一番のゴルフ社交場を目指していたそうなので、
立地的にも、北海道地元のメンバーと言うよりも
広く全国的なメンバー構成を考えて、豪華施設を作ったのでしょう。
ゴルフ不況が叫ばれて久しいのですが、
いまでも、けっこうなプレーフィーを取るということ。
まぁ、わたしどもはシーズントップで正式オープン前だったので
超格安で入場できた次第なんですけれど(笑)。
しかし、こういう噴水装置まである人工池なので、
維持管理費用だけでも相当にかかる。
すごいものだなぁと、他人事ながらびっくりさせられていたのです。

こういう池とか、水を建築的に活かす、というのは
大変ポピュラーで、世界標準的な考え方ですね。
飛鳥朝時代、蝦夷のための宮廷の外交的「迎賓施設」に、
こういうプール装置がしつらえられていた、という記録も残っていて、
その復元土木の写真も見たことがあります。
金閣や、平等院鳳凰堂、平泉の庭園など、
日本の建築でも、たいへん事例が多い。
海外の住宅地でも、高級層を狙う場合には
多くの場合、池や湖を囲むように造成する。
わかりやすくて、そういう水辺に近いほど価格が高く設定されている。
水の果たす背景的な役割、
外観を引き立たせる、建物内部視線からは、もっともシンプルで不変な
「自然の感受装置」という意味合いが込められるのですね。

しかし、このゴルフ場クラブハウス、
確かに建築的にはよい建物であり、その佇まいも味があるのですが、
こういう素晴らしいものでありながら、果たして残っていくものかどうか、
どうも疑問に感じます。
いわゆる、地元性というようなものは感じられない。
やはりバブリー、という印象の方が強烈すぎて、
「愛着を持って、存続させていく」というふうには感じられない。
なにかが違うように思いますね。
絵的には美しいけれど、どうも親近感とは違う感覚が襲ってくる。
デザイン的にわたしたちのDNAとは異質なので、
無意識のうちに、これは自分たち自身とは関係ない、というように思いこむのか。
いや、単純に一般庶民的なひがみなのでしょうかね(笑)。
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換気の考え方

2008年04月30日 06時25分38秒 | 住宅性能・設備

きょうは北海道庁で200年住宅についての会議があります。
北海道が定めている「北方型住宅サポートシステム」について、
国交省が進めている200年住宅事業に登録しようというワケです。
今回の国交省の動きって、非常に足の速い動きで、
たぶん、全国の自治体では北海道を除いては急に対応するいとまがないと思われます。
なので、事業者側としては一部大手ハウスメーカーに
対応可能性は絞られるのではないかと推測されます。
北海道の場合、独自に寒冷地住宅の省エネという地道な活動を続けてきているので、
いままでの積み重ねの「北方型住宅」を基礎にして対応できるわけですね。
で、その北方型住宅の要件に上げられていたなかに
Q値レベルについて、1.3、ただし1種熱交換換気を除く性能値、
という基準が示されていました。
熱交換換気はそれを利用すると数値上、
コンマ3程度性能値が向上するので、
建築本体のみで、通常の3種換気を利用することを前提にして
公共の側としては対応する、という表現だと思われます。
熱交換換気は本格的に日本に導入されてから日も浅く、
いろいろな実証実験途上、という考えからの対処なのだなと思われます。
そうした意味では、実質的にはQ1.0がひとつのレベル値になっているともいえます。

写真は北総研の「個別換気装置」。
事務所部分では、常時人間がいて作業している。
なんといっても建物全体の気積が大きすぎて、
機械換気をしようとすると、巨大な装置が必要になるため、
建物全体の基本的な換気は自然の温度上昇を利用したパッシブ換気を利用している。
というような条件の中で、
ごらんのような誰でも開閉できる換気窓を作って、
一番信頼できるセンサーとして、人間の判断を利用して、
人力で個別に換気してもらおうという考え方の装置なのです。
住宅レベルでは機械による24時間換気が機能するでしょうが、
こういう大きな建物では難しいのですね。
その意味では、200年の寿命を考えるというような今回の
国交省の考え方からすれば、たしかに機械にだけ寄りかかるような
スタンスって言うのは避ける方が賢明とは言えるでしょう。

どんな機械も結局はメンテナンスが必須である、
っていう考え方からすれば、こういうほうが合理的とも言える。
ひとつの明快な考え方かなぁとも思える次第です。
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