性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

住宅診断「カルテ」はなぜ作られないのか?

2014年10月31日 05時43分25秒 | Weblog


きのうは住宅金融支援機構の本社屋内のホールで開催された
第1回住まいのリフォームコンクール発表会の取材。
主催は(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが主催するもの。
わたしも立ち上げ時期に関与した「北海道R住宅」が、
新設された「ビジネスモデル武門」で「企画賞」として表彰されることになって
その内容を紹介する誌面の取材であります。

わたしも住宅リフォームということには
雑誌創刊時から関わってきている人間ですが、
はじめてこういったニッポンの中枢での議論の流れを聞く機会でした。
なんですが、そういう意味ではきわめて残念感のあるものでした。
とくにこれまでの流れの「作品部門」というのが了解不明。
そもそもリフォームコンクールという趣旨自体が明確ではない。
さまざまに取り組まれるリフォームの工事案件は
それぞれに趣旨と目的があって行われているものであって
その意味では、ある「解」に至っていることは当たり前。
もしそれらに優劣を付けるのであれば、
その「評価基準」は明示されなければおかしいと思うのですが、
一向に、そのような趣旨説明は行われない。
おぼろげには、いまの国の「住宅施策」の方向性のようなものが
断片的には窺えるけれど、
たとえば耐震性向上とか、省エネ性向上とか、地場産材活用とか
そういったフレーズが垣間見える、という程度。
結果として、プレゼンテーションの技法や情緒性レベルのことが
審査対象になってしまっている。
まぁムリからぬところではあるけれど、
なんとも、脱力感を感じさせられるところであります。

そういう旧態依然としたなかで、
新設された「ビジネスモデル部門」という試みは意義は高いと思えました。
北海道R住宅をはじめとして、受賞された3者によるパネルディスカッションは
ようやくにして、リフォームの本質論が垣間見えた。
そこでは社会の中で住宅リフォームが意味があるというアイデンティティに
それぞれに取り組んできた様子が表現されていました。
とくに東京の下町地区で2000件に及ぶ住宅について
年2回は住民のみなさんと住まいについて個別相談対応しながら
その価値の維持向上に日々努められている
丸山工務店さんの事例はすばらしいと思いました。
その発表の中で、その住民の建物を地域に住む工務店として
「住医」のように往診診察する姿勢を
継続してきている様子が発表されていました。
まさにあるべき姿であり、その通りだと思った次第。

本当に国がリフォーム産業を活性化させたいと思ったら、
本来なすべきことは、既存住宅についての明確な「カルテ」つくりであるべきです。
わたしたち北海道R住宅では、これまでの地域の官民学の総力を挙げた
「暖かく快適な住環境」という共通認識が、
そうした「カルテ」設計の基本にしっかりと据えられていた。
だから、建築工事にあたる人間ではない第3者、という厳密性まで担保して
「カルテ」をみんなで作って行ったのです。
そのことに蓋然性・妥当性があったからこそ、
さまざまな波紋を生み出し、社会的なアイデンティティを構築できていった。
このような「カルテ」に基づいて、
個別の建築事業者は、その住宅の再生延命に必要な作戦を立て、
具体的な、ユーザーにもすぐに理解出来る費用対効果も明示して
事業エリアの活性化を志向していくべきなのです。
そういう方向性でこそはじめて、ベンチャー的な存在も現れ出てくる。
そのような取材実感を持った次第であります。


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自然が見せる花鳥風月

2014年10月30日 05時12分00秒 | Weblog


みなさんは散歩、冬の間はどうされますか?
わたしは昨年までは大体、この時期くらいまでで
早朝散歩は断念しておりました。
朝、日の出が遅くなってくるので、出勤に出かける時間が押してきて
1時間も時間を取ることが難しくなることが大きかった。
でもそれは、家族、子どもの世話をしなければならない、
そういう時間を確保することが大きな阻害要因でもありました。
ことし、坊主が家を離れたので
夫婦ふたり暮らしになって、家事の分担割合が減ってきた。
比較的、「個人的に」使える時間が増えてきた。
もう一方で、ことしは紅葉黄葉がたいへん美しくて
こころに訴えかけてくる自然のうつろいが
まことに印象的だということがあります。
写真は、2~3日前の散歩道
札幌円山公園の一隅の様子ですが、
数日前までは舗装道路にも一面に積層していた落ち葉が
北風に吹かれて寄せ集められて、芝生面に蝟集していた様子です。
こういった晩秋のやや寂寥を思わせるたたずまいもすばらしい。
色彩のページェントが終わろうとする瞬間の光彩がみごと。
でも、この先には、白と黒茶のグラデーションの美しさの世界もやってくる。
衣の世界でも住宅同様、「断熱・気密化」技術が進んでいるので
全身断熱気密のダウンジャケットをまとっていけば
寒さからは自由が、ある程度、獲得できている。
やはり日々、日本民族として「北に拡張した花鳥風月の世界」を感受したい。
そう考えて、可能な限り外歩きを続けたいと思っています。
そういえば、日本画家の第一人者で北海道にアトリエも持たれている
後藤純男さんは、冬の花鳥風月を描きたいということで、
真冬の旭川ー北見の間の大雪ダム周辺のブリザードの吹きすさむ中
身をさらして画業のインスピレーションを得ているといわれます。
危険ではあるけれど、花鳥風月というのはそういうものかと
頓悟させられる思いを持ちました。
そんな芸術家とは違いますから、まぁ、ささやかなことですが、
もう少し、冬の入り口くらいまで、散歩、継続させたいと思います。
まぁそのうち「散歩」ではなく、
「外歩き」程度にトーンダウンにはなるでしょうが(笑)。
ただその場合でも、靴だけは季節に合わせたモノが不可欠でしょうね。
いまでも、霜が降りた道路では滑りやすくてあぶない。
この辺は重装備にならざるを得ない。
この「重装備化」が、心理的な面倒くささの最大要因なんですが・・・。
そのうち、真冬の真っ白な猛吹雪の写真、ただの真っ白風景(笑)を
アップするかも知れません。悪しからず(笑)。

さて、そう言いつつ、
本日から2日間東京出張でして、早朝出発に付き、
本日は散歩出来ません(泣)。
でも東京でも散歩はできますので。
そういう楽しみもある。
ではでは、行ってきます。


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白内障の検査・手術へ

2014年10月29日 05時48分20秒 | Weblog


年齢から来るのか、それともパソコン疲労から来るのか
よくわからないけれど、やっぱり視力の衰えは確実であります。
ここ最近、2年前くらいから、老眼が進んで、
パソコンを使うときには絶対にメガネが欠かせなくなってきた。
執筆編集などの作業では当たり前ですが、極端に視力を使う。
長時間作業していると、疲れ目が出て、肩こりや背筋痛なども催す。
そんなことから、ときどき眼科を受診します。
最近も診てもらってきて、「軽度の白内障」という診断もいただいています。
左側の方は、真ん中付近に出ていて、見づらさが強いよう。
それでも「初期」なんだそうで、ひと安心。
で、いろいろ先輩のみなさんから背中を押され続けていて
ようやく踏ん切りがついて、手術を受けようと思っております。

で、札幌市内での施術例がいちばん多いのは
どうやら札幌市立病院ということで
かかりつけの眼科医さんに紹介状を書いてもらいました。
最近は大型の病院では、このように町医者さんからの
「紹介状」がなければ初診も診られないということだそうです。
紹介状を書いていただいてから、
その旨を札幌市立病院に電話連絡して、
眼科の先生にアポイントメントを取って、
それから診断してもらうということになるのだそうです。
月曜日に連絡して、来週に診ていただくことに致しました。
その診断結果にもよるのでしょうが
両目の手術を受けようと考えております。
たいへん事例の多い手術だということで、まぁ安心できるのですが、
やっぱり不安はあります。
しかし、なんのために手術を受けるかというと、
目的はなんといっても、長く仕事を続けていくためであります。
「カラダは資本」というコトバがありますが、まさにその通りだと。
この、ありがたく親からいただいた資本を、十全に活かしきるために
自分に再投資するような気持ちであります。
たぶん、老後の生き方にも関わってくると思う次第。
自分自身を積極的に使って、なにかに役立っていきたいという気持ち。
おとなしくしている以外、あんまり頑張りようはないのですが(笑)
前に向かって歩んでいきたいと思います。

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ついにタイヤ交換の季節に

2014年10月28日 05時07分23秒 | Weblog

さていよいよカレンダーも残り少なくなってきて
あとは追い込みの2カ月であります。
スケジュールの調整がいろいろあって、整理整頓にあれこれ。
というような週初め、遠出することが多いスタッフの車両は
大急ぎでスタッドレスタイヤに交換しました。
本日は道内、平地でも積雪が予想されているということですが、
どうなんでしょうか。
初雪にはまだ冷え込みがきびしくなっていない。
いまの感じでは相当に重い雪がくるように思いますね。
わたしのクルマも連休明けには遠出する予定。
ということで今週中には、って、30-31日は東京出張予定なので
きょうあすにはタイヤ交換をしておかなければならない。
いろいろ気ぜわしくなってきます。

なんですが、北国人、こういう季節感が本当は大好き(笑)。
別に怖いもの見たさ、というわけではないんですが、
どうせ雪の季節は確実に来るので、
それならば用意万端整えて、「お迎え」するような感覚に近い。
雪が降ってくるその瞬間の静けさの感覚っていうのがあって、
雪は遮音性も当然持っているので、
サイレントな雰囲気が襲ってくるわけ。
その瞬間の変位、感覚のスウィッチというのが楽しいのです。
なのである意味、ワクワク感に近い。
その瞬間の共有体験が、身体言語で迫ってくるのですね。
幼い頃からの初雪に対しての身体記憶がみんなあって、
ことしはどんなふうにくるのか、と待ち構えている。

ただ、わたしの感覚ですが、
札幌は初雪はまだ先のような気がしますが・・・。
どうなのかなぁ、ワクワク。



と書いた後、さきほど、散歩から帰還。
で、やはり初雪を確認しました。
とはいっても、森の中でパラパラだったので、
はたして気象台、初雪と発表するかどうか、微妙であります(笑)。
上の方が雪時雨のような三角山山頂方向であります。

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住宅リノベ「コミュニティ再デザイン」の視点

2014年10月27日 05時40分54秒 | Weblog


さて、金曜日の取材2件に続いて
急遽入ってきたのが土曜日25日の「リノベーションセミナー」。
この「リノベーション」という概念措定、
これまでの「住宅リフォーム」に対して対置的なスタンスを取っているので
どうにも取っつきが挑戦的に感じられて、
そのいい面ももちろんわかるけれど、一方で
「なんかよくわからない」という反応も引き起こしてきていると思います。
ただ、リフォームというコトバよりも好感度は高いかも。
まぁ日本的には住宅リフォームという一般語化した領域の中で
もうちょっと志向性を持ったプレーヤーの
この事業領域への参加が始まって、
そのかれらが、あるコンセプトを主張しているということか。

実はこの住宅リノベという動きについては
わたし自身もそのプロデュース的な役を仰せつかっていた
「北海道R住宅」の立ち上げ段階から、
「東京で、わたしたちの取り組みに対して注目しているグループがある」
というように情報が来ていて
北海道でのわたしたちは、「戸建て住宅」という領域を
主なスタンスとしたのに対してあちらではマンションのリニューアル、再生が
狙いであるとふうな情報を得ていました。
そんなことを聞いて、確かにマーケティング的には正解と思っていました。
こういった動きについて、国交省も大いに注目して
国の施策にいろいろと盛り込んできている実態があります。
で、わたし自身はこうした東京での動きとの接点もなく
自ら働きかける、というような立場でもないので
疎遠ではあったのですが、休日の土曜日午前中開催なので
ようやく接点が出来るということで、聞いてきた次第。
で、わたしも不勉強ではじめてその名前を聞いた大島芳彦さんという
「カンブリア宮殿」で取り上げられた話題の住宅設計者の講演がありました。
講演が開始する前には、下川町エコハウス設計者の櫻井百子さんも来られて
事前の情報収集も出来た次第であります(笑)。
まぁわたしが記載するよりも
多くのみなさんがかれの活動についてはよくご存知でしょうが
その「リノベ」手法は、コミュニティについての
あるいは人間関係についての再デザインというようなアプローチ。
高度高密度集中地域である首都圏地域では
人間関係ということについても、積層規模がハンパなく、
それに対して、ひたすらハイリターン期待の資本主義的アプローチが
続いてきたけれど、そのように人間関係無視ではなく、
いわば発掘的にそれを紡ぎ出して、
「リノベ」のコアアイデンティティに昇華させている。
まことに意表を突かれた思いが致しました。
そうか、そのようなアプローチがあったのか、と目を開く思い。
さて・・・、というところであります。

北海道R住宅では、持ち得なかったスタンスではあるのですが、
いわば「一般解」としてはどうか、というのが率直な感想。
しかし、ある意味で熟成させながら、考え続けていきたいと思っています。
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健康・省エネシンポジウムinさっぽろ

2014年10月26日 05時52分24秒 | Weblog
さて、先週金曜日には表題のイベントも開催されました。
とくに慶応大学の伊香賀教授や、福岡女子大学の吉村教授の
建築と医学、両方の研究者からの報告発表は有意義でした。
高齢化社会は進展していますが、
同時に財政状況も深刻化している、これは両輪の出来事。
そういった状況の中で、社会全体として
問題解決には、コラボレーションが欠かせなくなってきている。
これまでのような縦割り社会では、
それぞれの立場の進化のためにどんどん財政支出が増えざるを得ない。
しかし国民が負担しうる財政にはおのずと限界がある。
それを食い止めるには、これまでのアプローチだけでは難しい。
なんといっても医療費はこのまま伸びていったら
絶対に国民負担は天井を突き抜けることは明白。
一方で国民の健康増進は不可欠な基本権でもある。
なんとか住宅の性能向上が、健康増進をサポートできれば、
こういったパラドックスの解決方策として意義が高い。
そんな問題意識もあって、
この動きには賛同している次第であります。



ということで、
この日のシンポジウム、パネル討論会に
当社スタッフ、って言ってもカミさんですが、参加いたしました。
以前にも一度、別の機会でパネル討論会の「司会」の大役を受けたことがあり
そのときの彼女の心労ぶりを知っているので
まさにハラハラだったのですが、
しかし、今回は一パネリストとしての参加なので、比較的に気軽。
なお、司会進行の上原さんにもよろしくお願いして
時間の関係で会場を後にした次第であります。
あとで聞いたら、無事、終えられたそうで、ひと安心。
なんでも、懇親会では写真の伊香賀先生も
奥さんの誕生日に当たっていたと言うことで、
今回の札幌出張には奥さんも同伴で来られたそうです(笑)。
医学の進歩も、住宅の性能向上も
なによりもそこに暮らす人間生活のシアワセを実現する手段。
そんな印象を抱いたシンポジウムでありました。

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環境性とデザイン性、わかりやすい建築論

2014年10月25日 05時11分39秒 | Weblog


きのう金曜日は予定が重なってしまいました。
当社スタッフが、健康住宅会議の方でパネラーとして出るのも心配だけれど、
もう一方で、日本建築学会北海道支部の「北海道建築賞」の発表会も。
ということで、はじめに健康住宅会議の方に顔を出してスタッフを激励して、
参加のみなさんにあいさつしてきてから、
北海道建築賞の方に行ってきました。
17:40くらいに健康住宅会議会場ホテルを後にして、
そこから約3kmくらいの北大構内・遠友学舎に移動して
ちょっと離れた駐車場にクルマを入れて、ちょっと遅刻で18:05ころ到着。
滑り込みセーフでありました。



北海道建築賞、本賞は該当作品なしでしたが、
「奨励賞」として、大杉崇さんの自邸「イヌエンジュの家」と
海藤裕司さんの「伊達市総合体育館 あかつき」が選定されました。
大杉崇さんの自邸「イヌエンジュの家」では、
既存の街並み、近隣居住者の生活シーンのなかに
そのあと入っていくもののスタンスとして、どうあるべきか、
という視点がはじめに語られていました。
近隣に暮らしていた人たちとどのような「関係性」を構築したら良いか、
そのひとびとの暮らしようを尊重しながら、なお、敷地の条件を活かして
よい建築に至ろうとする志向性。
そして、解に至る検討過程から、ユニークな計画が意図されていく。
手法については、まことにパッシブそのもの。
結果として紡ぎ出された住宅建築は、きわめて不定型な形状になったけれど、
ある一貫した志を感じさせて美しい。
海藤裕司さんの「伊達市総合体育館 あかつき」では、
体育館施設と、頻発する災害、有珠山の噴火などからの避難所という
まことに現代的なテーマを建築としてしっかり受け止めて
しかもその実現過程で、エネルギーコスト削減のための
真摯な取り組みを可能な限り実践していました。
そうでありながら、環境の中でのデザイン性も同時に追求した。
しかしあくまでも、デザインは環境要因に対する
いわば、パッシブな対応を丹念に積み上げる中から
ある志向性の表現のようなかたちで実現すべきものと考えている。
その姿勢に大いに共感できました。

この「北海道建築賞」、やはりわたしもホームグラウンド。
交わされる言葉がまことにわかりやすい。
奇をてらった難解なフレーズは一切出ない。
むしろ淡々と、与えられた敷地条件を克明に読み取って
環境性の中で、どう建築していくべきなのかが率直に、明瞭に語られていました。
いわゆる「環境建築」ということが、自明のものとして
若い世代の北海道の設計者に根付いているのだと実感される。
その着眼点と、解に至る方法論ともに異議を感じない。
そして出来上がった空間性表現について、
そのコスト面も含めて、率直に批評を求める姿勢もすばらしい。
都のちまたは、国立競技場計画問題で揺れている昨今、
対比的で、まことに清々しい思いでした。

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地方創成「1兆円の恩恵」という報道姿勢

2014年10月24日 07時08分22秒 | Weblog


きのう、知人がFacebookで、10月22日の地方新聞「北海道新聞」の
1面記事について「暗い、あまりにも取材姿勢が暗い」というように
論評されていて、興味を持って読んでみた次第。
記事はいま官邸記者を務めている記者が、政権が進めている
「地方創成」政策と道内地域の現状について触れたもの。
道新の記者さんの報道姿勢はトップのタイトルの
「1兆円の恩恵」という部分に象徴的に表れています。
この考え方では経済運営がわかっていない、ダメだと思います。
こうした見方しか出来ない「官邸記者」には、
ひとびとが生き甲斐のあるくらしを営んでいくために、
「日々の仕事」をどう作るのかという政治経済の要諦の論点・問題の
立て方ができず、まるでそれが「社会正義」であるかのように、
最終的にお金の問題だと習慣意識的にすりかえ、
福祉ばらまきという方向に論点を取り違えるのがオチ。

記事では、「いろいろ地方活性化をやってみたけどダメだった」
というような自治体の首長さんの取材だけしている。
そうした取材姿勢では、中央政府のやり方が悪いというような結論しか
誘導できない。取材される側もそんなことを記事に書いてもらう期待は
たぶんしていないと思う。
中央政権の政策が悪いという結論への「思い込み」が先にあって、
それを誘導するために記事を書いているのか、という疑問を持つ。
それはまだいいとして、じゃぁ、地方新聞メディアとして、
どうやったら北海道の地域興しが可能なのか、
そういった意見、考え方を発掘するようなスタンスが見られない。 
中央のやり方に小児病的に不平不満を言うことをずっと続け、
それを北海道民に刷り込み続けるのかと、
自分で胸に手を当てて考えて欲しい。
こういう「政権のやり方が悪いから・・・告発する」みたいな、
結局自助努力のない、誰のためにもならないスタンスに
なぜしがみつくのか? 経済のためにそもそも
どういう権力行使があるべきなのかという視点がみごとに欠けている。
本来がひとびとの「自助努力」を引き出すものであるべき経済、
「経世済民」の問題を、権力政治の左右論争、福祉政策のような問題に
すりかえてしまうのは、
「進歩派」メディアの共通のステレオタイプ反応です。
いま現在の経済状況の中で努力している一般人からみると、
あまりにも遊離した考え方と思える次第です。
そういう「告発」の結果で「補助金」などがたとえ得られたとしても、
地域の衰退という現実には、なんの前向きな意味もない。
地域の元気をむしろ喪失させるのではないでしょうか。

最近の地方自治体の動きの中で岩手県紫波町が推進する
「オガールタウン」プロジェクトでは、
高断熱高気密、エコロジーの考え方でのまちづくり運営を行っており、
わたし自身取材して注目しています。
すばらしいことにそれへの「補助金」を期待していません。
たぶん、そういった方向で「まちづくり」を経営的に考える地域が
残っていくのでしょうね。
地域運営にも「経済運営」の視点が不可欠になってきている。
そのような時代には、右だ左だ、というような価値観は迷惑でしかない。
そういう非生産的な価値観論争は意味がない。
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散歩道の晩秋

2014年10月23日 05時48分11秒 | Weblog


小学校の時に、秋の遠足があって
そのときに感じたことで絵を描きなさいという授業があった。
なんてステキな授業なんだ、と感動して
色鮮やかな紅葉の山々を「感じた」ままに描いた。
気持ちよかった。
そうしたら、先生からエラく褒められて、気恥ずかしかったけれどうれしかった。
やっぱり人間という、地球が生み出した生命は
地球が持っている美しさに畏敬するしかないのでしょう。
北海道というのは、日本のなかでも
いちばん四季変化が明瞭な地域だということですが、
地球サイズで見ても、北半球有数の地域なのだそうで、
四季折々、まことに豊かな色彩がこの自然環境からもたらされる。
刻一刻と変化を見せる秋の色彩の移ろいは
その極致のような美しさをひとの感受性に叩き込んでいきますね。
この季節の後には、白と黒茶のグラデーションの世界がやってくる。
そんな季節の美を楽しめれば、
あんまり他の欲はなくてもいいんじゃないか(笑)、
とも思えますが、まぁ人間、食べていかなければならないし、
しょがないですね。

写真はきのう、散歩道で朝日を真正面に受けた近隣の山。
かたちのまんまで「三角山」といいます。
なんともその命名の単純さにあきれるのですが、
隣には「円山」というのもあるので、
まことにわかりやすい(笑)。
これに「四角」があれば万事うまくいって、大変いいのですが・・・、
日本民族新開地の北海道には、こういうストレートさがある。
朝日を浴びて、全山が萌えている。
この山の光景がもう数日の命で、葉が落ちて
色が消えてしまう世界になるのです。
散歩道では、リスたちの動きが普段にも増して活発。
冬を前に越冬用の食糧確保に余念がない様子です。
さっぱり、被写体になってくれそうなノンビリした連中はいません。
そういう光景もまた、自然の摂理を教えてくれています。
冬に向かってすべてがまっしぐらの北海道であります。




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Replan東北vol.46 2014秋冬号 発売

2014年10月22日 04時29分48秒 | Weblog


さてきのうご案内できなかったReplan東北最新号発売のお知らせです。
ことしは「青森版」という地域特集を別冊として発行できましたが、
おかげさまで大好評をいただいています。
また、年末進行であらたな挑戦もはじめております。
大震災からの復興というテーマも3年を過ぎて、
被災地でも本格的に住宅建築が始まろうとしています。
「性能とデザイン」という住宅の基本情報をフラットな視点でユーザーに
わかりやすく、楽しく感受していただけるように情報編集していきます。

【特集】敷地のことも考えて 平屋VS高屋
最近人気の「平屋」と、上へ上へと面積を広げた「3階建て=高屋」。
建物の高さがまったく異なる2タイプですが、敷地の特徴を丹念に読み解き、
魅力的な部分は最大限に生かす一方で、一般的に弱点とされることについては、
それを感じさせない工夫や、逆手に取ったアイデアがあります。
低くすることで叶うこともあれば、高くすることで叶うこともある。
諦めていたことが実現する可能性を大いに感じさせてくれるでしょう。

○case1.地面とつながる平屋
○case2.庭を内包する平屋
○case3.スキップフロア
○case4.3階建て

Contents
●巻頭特集/ 敷地のことも考えて 平屋VS高屋
●エリア特集 福島の住まい
●炎を囲む暮らし
●連載 いごこちの科学〈東京大学準教授・前 真之〉
●住まいのカタチ〈新築実例集〉
●NPO 住宅 110番
●TOHOKU ARCHITECT
 宮城県「向陽台の家」 前川 尚治
 福島県「つながりの家(自邸)」 前原 尚貴

10月21日から東北の書店・コンビニ(首都圏は特約店)で発売しています。
ReplanWEBからもご購入いただけます。

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