長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

はげしすぎる悪の美学 『帝都大戦』 序章

2010年09月26日 09時18分59秒 | ホラー映画関係
 おはようございます。そうだいです。昨日も寒かったなぁ! まいったまいった。天気は良くなってたんですけど、空気はすっかり秋でした。

 ぜんぜん脈絡のない話を突然に始めるのですが、最近私は、「悪役」というものについて考える機会が多いです。正義の味方とおんなじくらいに、ある物語を形作る上で欠かせない存在である悪役。でも、現実の世の中にどこからどう見ても真っ白な人がいないように、本当に真っ黒な人もなかなかいないように思えます。だからこそ、物語の中にしか現れない完全無欠のヒーローや極悪非道の悪役に魅力を感じるのかも知れませんね。ヒーローはそのまんま、その物語の主人公だったりもするので語られる機会も多いのでしょうが、そうなっちゃうと私は、ヒーローを引き立てることに徹した末に敗れ去っていく悪役の方をほめたくなっちゃうんですんですよ。絶対に不可欠な役割。まさしく必要悪。
 みなさん、有名な悪役のキャラクターというと、誰を思い浮かべるでしょうか? まず実在&ご存命の人物はさておき、フィクションの中に限定してみるとすると……
 ダースベイダー? まさに悪、世界的に有名なお方です。見た目も真っ黒というわかりやすさ。
 時代劇の悪代官? ある1人の人物でないのが残念ですが、誰でも連想できるくらいに強烈な印象がいいですね。
 フリーザ様? 悪いですねぇ! 数多くの悪役が登場する『ドラゴンボール』の中でも屈指のワルです。
 『燃えよドラゴン』のMrハン? ちょっとマイナーですけど、ふだんの笑顔がかえって悪さに磨きをかけてしまう恐ろしさ。鉄の義手という単純明快な武器もポイント高いです。
 シャア=アズナブル? まず一目見ただけですぐおぼえられる仮面がいいですね。復讐を胸に秘めて暗躍する計算高さも悪い! 時期によってコロコロ変わる立ち位置と外見がおしいか。
 ばいきんまんとドキンちゃん? 悪いですねぇ。正義のヒーローと永遠に戦わなければならないという残酷すぎる運命の無限ループを、2人はどうやって乗り越えてゆくのか。愛と哀しみのは~ひふ~へほ~!

 まぁあげればキリがないんですが、今回私が取り上げてみたいのは、現代に生きる伝奇小説家・荒俣宏が創造した戦後日本を代表する名悪役・加藤保憲(かとう やすのり)です。
 加藤保憲は、荒俣宏が1985年から発表をはじめたSF伝奇大河小説『帝都物語』の中に登場する魔人で、陰陽道に通じて魔術を使ったり自分自身が不死身になったりして東京壊滅を100年以上にわたってくわだて続けているというかなりの悪人です。なぜか東京に猛烈なこだわりを持っています。「加藤」っていう普通の名字と、やる悪事のデカさとのギャップが大きすぎて素晴らしい!
 今なお続編や外伝が執筆され続けているので、魔人加藤はまだまだ現役の悪役なわけなんですが、なんといっても彼が最も注目されていたのは1988年と翌89年に立て続けに映画化された時ではないでしょうか。長い長い『帝都物語』の中の、序盤をあつかった『帝都物語』(監督・実相寺昭雄)と、太平洋戦争末期での加藤の復活をあつかった『帝都大戦』(監督・一瀬隆重)の2つです。
 加藤保憲というキャラクター自体は、90年代と2000年代にもそれぞれ1本ずつ制作された映画にも登場しているんですが、加藤本人がなかなか登場しなかったり、妙にしゅっとした雰囲気だけで全然迫力のないトレンディな豊川悦司が演じていたり(『妖怪大戦争』!)と、あんまり見るところはありません。
 映画の加藤はやっぱり『帝都物語』と『帝都大戦』なんだなぁ。その理由は、どちらも10分くらい観ていれば子どもでもわかるはずです。
「加藤役の嶋田久作がこえぇ~。アーンド、かっこいい!」
 これら2つの映画の見所は、まさに過剰なくらいに嶋田久作さんの存在に集中しているといっても過言ではありません。特に『帝都大戦』が!! こわいよ~、大迫力だけは伝わってくるんだけど、他にはなんにもないよ~。
 観たことない人、どんなにすごいか知りたい? 知りたくなくても

 つづく
コメント
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