長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

雨の日はエロの思い出を 『月刊COMIC Zip』以後

2010年09月29日 05時04分08秒 | マンガとか
 高校時代の下校時の黄金郷エル・ドラドオ発見のことを話す前に、昨日語り忘れたことをちょっとだけ。
 なーんかエロいものはないかと悶々とした日々を送っていた私なんですが(「悶々」の「悶」って字、大好き!)、そういえば、たまに衛星放送の深夜映画枠でエロいやつを放送していたのは、見逃せない大きな獲物でしたね。深夜1時とか2時とかにスタートというハンパないド深夜だったので、『EXテレビ』とか『トゥナイト』をやっている11時台には起きている可能性のあった家族もさすがに眠りについている時間です。「映画だし。エロいの観たいからとかじゃないし!」という自分の罪悪感への言い訳もききました。
 その時期に観たエロい映画の中でも特に、のちのちの自分の趣向や性向に甚大な影響を与えたと私が確信しているものに、『処女の生き血』(あのアンディ=ウォーホルがプロデュースしたホラー映画)と『ベティ・ブルー』(ジャンジャック=ベネックス監督)があります。
 まぁ、中学生の男子には刺激が強すぎるね! どちらも大好きで、いつかちゃんと語る機会をつくると思うので今は詳しくは触れませんが、『処女の生き血』のおかげでホラー映画、特に吸血鬼が好きになり、『ベティ・ブルー』のおかげでエキセントリックでキツめの女性とパーツとしての「くちびる」が好きになってしまいました。ベアトリス=ダール万歳! ただし同時に、「イタリア人といいフランス人といい……ヨーロッパの性事情はいったいどうなってるんだ。そんなに遊んでばっかりで、国家として成立してんのか!?」という余計な心配もいだいてしまいました。あこがれたねぇ~。
 とにかくこういった、不定期に入手できるクジラ漁みたいな大収穫もあったわけなんですが(それだけで1ヶ月は生きのびられる)、安定して確保できる定期的な食糧(おかず)のニーズも高まっていたおりに高校進学。市街地を1人で気がねなく移動できる時間ができたもんなんだから、さぁ大変です。


長老「皆の衆! 今までのように、その時に見つけた動物を狩って食うだけでは急な飢饉に対応できん。そこで、ここから自転車で45分かけていく道の途上にあるどこかから、定期的に手に入れられるというイネのモミを取って来るんじゃ。さすれば、この村はいつでも食糧が手に入る、飢えのない黄金の大地となるであろう。」

子ども「お兄ちゃん、がんばれー。」

長老「そうじゃ、この村の命運は勇者たるおぬしのセレクト眼にかかっておる。立派なイネを取って来るんじゃぞい。」

子ども「あっ、オババが、予言のオババがなにかを言いたがってる。こんなこと何年ぶりかなぁ!」

長老「なんと! これはおそらく吉兆じゃ。勇者、オババの言葉を聞いてゆけ。」

オババ「……大沼デパートの近くにある、舟山書店へゆけ。あそこは一般の本もあつかっているわりにそういう感じの本も豊富であるゆえ、しきいも低くカモフラージュも容易であろう……」


 ありがとう、オババ! そんな感謝の心を胸に、確か高校1年生の冬だったと思うんですが、私はついに生まれて初めて、自らの強い意志で書店からエロい本を購入してきたのです。いやぁ、その時の帰り道ほど、安全運転を心がけた時はありませんでした。このモミをしっかりと村に持って帰らねば……!
 そして、その時に私が選択した食糧(おかず)、それこそが、エロマンガ雑誌の『月刊COMIC Zip』(発行・フランス書院 1995~2003年)だったのです!
 これはねぇ……のちのちの私の人生に多大な影響を与えてくれました。やっぱ最初は肝心だわ。
 マンガじゃなくて写真誌を買うという手もあるし、官能小説という道もある。マンガ雑誌の中でも別の雑誌を買う可能性だってあったんですが、私はロクに立ち読みもせずに、最初に目に入った『Zip』をひっつかんでレジに持っていってしまいました。確か当時は包装も立ち読み防止テープもされていなかったはずなのですが、立ち読みする余裕がなかったのです。こんなところを万が一でもクラスメイトに見られたらおしまいだ……一刻も早くこの場を立ち去らねば!という一心です。人間の方向性なんてものは、こういう偶然的な出会いによって決められていくんですね。
 その夜、勉強と称してこもった部屋の中でついにひもとかれた禁断の果実! そのお味は……
 まぁ、エル・ドラドオでしたね。ガンダーラでしたね。桃源郷でしたね。桃、ももォ~! リリーのもものかんづめェ~!
 青春でした。こんな本を持ってしまい、今に自分は性欲で頭がおかしくなるに違いない。開けてはならないパンドーラの箱を開けてしまった! そんなことを本気で思って悩んでいたんですよ。大げさだねぇ。350円ぐらいの本がパンドーラの箱だからね。それこそが青春というものか。
 この『COMIC Zip』は、他のエロマンガ雑誌と比べてかなり前衛的な執筆陣と内容だったような記憶があります。日常ものもありましたが、どっちかというとファンタジーものが多かったような気が。
 いかにもかわいいアニメ絵といった感じの蘭宮涼(らみや りょう)の表紙イラストにだまされるなかれ。内容はかなりハードなものもチラホラ混ざっています。主人公の美少女がアレからアレまでかんなりヒドい目に遭わされる綾野麗作品。エルフとかが登場するファンタジックな世界なのに、今じゃ出版できなさそうな相当にハードな内容が展開する影虎作品。いやらしさよりも精巧な描線の美しさに感心してしまう果愁麻沙美作品。男女を問わず登場人物全員にそそがれる作者の愛が伝わってくる画風のあるまじろう(現・安藤慈朗)作品。いかにも女性っぽい柔らかいタッチの世界で性別不明の美少年・美少女たちが文字通り入り乱れる悪瑞派武羅雨(あずは むらさめ 読めるかァ!!)作品、などなど……
 普通のマンガ界同様、浮き沈みの激しいエロマンガ界です。あれからおよそ15年。もはや生死すらもつかめない方のほうが多いのですが、私は絶対に忘れません。
 特にアナタ! 上連雀三平(別名・小野敏洋)先生!
 あんたの連載作『***ジャスティス』は確かに大傑作だったよ(こんなブログ『長岡京エイリアン』でも守りたい一線はあるので、タイトルのうちの最初の3文字は自主規制させていただきます。記号の形を見てご想像ください。)。「愛の名のもとでは人間みな平等」という素晴らしいテーマを描ききった至高の作品ではありましたよ。でも、平等だからといって、普通の男女から男男、女女、女装した男と女、はては母子、姉弟、フタ男、フタ女、フタフタまでフル総当たり戦させるのはいかがなものか!? おかげで私も危脳丸の気質を得てしまったような……いや、そんなことはないよ! たぶん……
 ともあれ、あの時の私が必死で持ち帰ったモミ『COMIC Zip』は、村にある田んぼ一面に、極彩色のグミキャンディを咲かせてくれたのでした。あぁ、感謝感謝。

 余談ですが、私のエロマンガ雑誌とのつき合いは、大学進学で独り暮らしを始めた時期にぱったりと終わってしまいました。どうやら、「買ったあとに自転車で急いで家に持ち帰って、家族に見つからないようにしてこっそり見る」も含めての楽しみだったみたい。スリルがなくなっちゃったんですね。
 いや~、人間って、ほんっとに、不思議なもんですねぇ。それじゃまた、次回にお会いしましょう!(便利なしめかた)


 
コメント
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