長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

私が選ぶいちばん怖いホラー映像 完結編

2010年09月19日 07時36分32秒 | ホラー映画関係
 おはようございます。そうだいです。
 いや~……夕べは、東京に行って夢のような体験をしてきました。しかも朝まで! 逢えたんです、あこがれのヒーローに。その手はほんとうに大きく、あたたかかった……
 要するに、先月にもタルコフスキー監督の特集上映で行ってきた、池袋の映画館・新文芸坐でのオールナイト上映会にまた行ってきたという話なんですが、まぁ素晴らしかったです。今回のお題はズバリ、
「ウルトラマン誕生45周年記念 『帰ってきたウルトラマン』庵野秀明セレクション10+1
  主人公・郷秀樹役の団時朗さんと庵野監督のトークショーもあるヨ」!!
 うん、行ってよかった、ホントに。いろんな出来事を報告したいのですが、ちょっと帰ってきたばっかりの今だとひっちゃかめっちゃかになってしまいそうな気がしますので、もう少し時間をおいて整理してからにしたいと思います。とにかく、えがたい思い出をいただいてきた一夜でした。

 さて、と……じゃあ今回は何をつぶやこうかな? あー、なんかあったような、途中のやつが。

 あぁ、あぁ! ビデオに録画した『アンビリバボー』の中にあった、今のところ私の中の恐怖ランキングぶっちぎりトップを10年もキープし続けているっていう、モストデンジャラスな映像って話だ! まだ終わってないんだった。
 前回にも言ったとおり、問題の映像は『奇跡体験!アンビリバボー 2時間恐怖スペシャル』で、番組スタッフが本腰を入れたはずのメイン特集「杉沢村伝説の正体を追え!」にはありませんでした。
 むしろ、残り時間をどうにかして埋めるためだけに用意されたような、とってつけた感さえあった内容の「怪奇探偵の事件ファイル」コーナーの中に、その超大型爆弾はひそんでいたのです。
 このコーナーは、たしか二000年に入ってから始まってそれなりの反響を呼んでいたもので、幽霊などの怪奇現象が関係していると噂されている事件や事故を、自称「怪奇探偵」のルポライター・小池壮彦(たけひこ)氏が記録や現地調査を通じて検証していく、というものでした。
 そう聞くと、原因不明の怪事件を実証的な手法で調査していくわけですから、『怪奇大作戦』や『Xファイル』を想起させるものがあるのですが……しょせんはバラエティ番組のワンコーナーであります。最終的には必ず「科学的には証明できなかった。やはりこの事件は、ホニャララで死んでいった人々の怨念が引き起こしていたのだろうか?」というオチになり、つまりは怪奇探偵が調べたからといって、特に事件や事故の原因がはっきりするわけじゃないというしめ方。役にたたねぇ! 貴様それでも探偵か!? 『八つ墓村』の金田一先生以下の使えない感です。
 余談ですが、バラエティ番組じゃなくて、著作で本領を発揮されているほうの小池氏の調査はかなりおもしろいです。TVの中ではサングラスに黒服という外見で、かなりあやしいおじさんなんですけど。本はおすすめできます。
 さあさあ、そんなペラペラした感じの「怪奇探偵」コーナーだったんですが、「2時間恐怖スペシャル」での回も、いつもの感じかと思いきや。
 その回は、千葉の九十九里浜や三重の海岸で発生した謎の海難事故の真相にせまるというものでした。特に天候が悪かったわけでもなく、波もおだやかだったのに、なぜかある特定の場所で海水浴を楽しんでいた人々が溺死していくという事故が多発。原因は幽霊なのか? 幽霊なんだろうなぁ、やっぱり。
「肝心の杉沢村もいまひとつだったからなぁ。まぁ、最後まで観といてやるか。どうせおんなじオチなんだろ? ブツブツ。」
 ところが……その通りのチープな進行だったのにも関わらず、ある点で突出して気合いの入れ方が違っていたんです、今回は。
 それは、再現VTRに出てくる役者さんの演技! まず、事故で死んだ人たちの「死に方」がハンパなかったのです。うつぶせになって波間にただよっているのはもちろん、波打ち際に仰向けになっていた人なんか、ザッパンザッパン波がかぶってくるのにまぶたを微動だにせず白目をむきつづけているという根性。久しぶりに、幽霊以前に被害者の死体を怖いと思っちゃった。つかみはOK。
男女関係なく、陽気な水着を着た死体が次々と映しだされていくビジュアルはそうとうこわい。
「な、なんかいつもと、撮影現場の気合いが違う……バラエティなのに、いったいどうしたというんだ!?」
 私もいつのまにか、姿勢がポテチ片手の腹ばいから正座になっていました。
 そしてついに、真打ち登場。
 コーナーの結論としては、三重県での大量海難事故の原因は、戦時中の空襲で焼死して海岸に埋葬されていった人々の怨念だということになったのですが、再現VTRの中で、泳いでいた人の背後にあらわれた、防空頭巾をかぶった女の子の幽霊役の子が、こえぇこえぇ!!
 たぶん小学生くらいだと思います。一重まぶたでドングリみたいな大きな眼をしていたので、普通にしてたらかなりかわいい和顔の少女のはずなんですが……こーわーいぃ!
 まず最初のカット。そのドングリみたいな眼がつりあがって、まさに「死んだ眼」になって生きている人の背中を見つめているんです、眼から上だけを海面から出して。
 この間、少女の霊にセリフはいっさいないのですが、その大きな眼が言いたいことを雄弁に物語っています。
「あの人、いきてる……いいなぁ。」
 続いて、背後にグサグサ刺さる視線を感じて振り返ろうとする生きてる人。しかし一瞬はやく、ザバっと海の中からとびあがってその人の背中におおいかぶさる幽霊少女。首を動かすというムダな動きはせず、黒目だけがギュルギュル動いて生きてる人を凝視する少女。したたる水滴、青白い顔。表情はほとんど変わらないものの、ちょっとだけ笑ったようにゆがむ口元。にぶく光る白目の部分が、とても生きてるとは思えない質感があって、怖い。
「あーそ-ぼぉ……」
 恐怖のあまり、意識を失ってしまう生きてる人。

 それだけなんです。5カット、20秒ぐらい。かなり簡単な流れで、特にお金のかかった特殊効果やらなんやらがあるわけではありません。
 なのに! なのに! どんなにお金をかけたCGよりも、どんなに知恵をしぼったカットわりの映像よりも、ここでの少女のアクションは怖いんです。ダントツで。
 おそらく、「なんであんたが生きていて私が死んでいるんだ。悔しい!」とか、「殺してやる!」といった意思さえも感じられない、本当に何を考えているのか理解できない存在になっていたことが、恐怖の最大の原因だったのではないでしょうか。意思が通じない恐怖。それはまさに、生きている人と死んでいる人とのあいだにある、どうしようもないへだたりから生じる恐怖に似ています。本当の恐怖とは、襲いかかる敵意もなく簡単に襲われる側のそばに突然やってくるものなのかも。無邪気にアリに水をかけて溺死させてしまう子どものように……

 お見せできないのが大変に申し訳ないんですが、ほんとに怖いんですよ、あの女の子! 今、どこでどうしてるのかなぁ。会って一言あいさつがしたい! 人生最大の恐怖をありがとう!と。そして、ふだんの生活ではあんまりああいう表情はしないほうがいいよ!とも。
 
 

 
 
コメント (13)
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