長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

いさぎよくじめじめしたオープニング 『仮面ライダーBLACK』

2010年09月30日 15時41分10秒 | 特撮あたり
 どーっしゃっぶぅりぃーいんの、あんめぇのぉなっかーあぁあ、わったっしっはっなぁーいぃたぁーああーん!
 どうもこんにちは、そうだいです。今日も大雨。もういやんなっちゃう! そりゃあなた、アッコさんの名曲も唄いたくなりますよ。
 じめじめしてますねぇ、暗いですねぇ、ユーウツですねぇ! でも、これも日本のひとつの風景なんです。秋の長雨がなければ、そのあとのあざやかな紅葉もないし、身を切るように澄んだ空気の冬も、その次に来る春も夏も楽しめなくなっちゃうのですよ。雨の日々もあじわって過ごさないといけませんな。外出するたんびに服が濡れるのはヤだけど。
 雨といえば、最近よくyoutubeで、子どもの頃にやっていた特撮ドラマやアニメのオープニング映像を観るのですが、雨がかなりうまく作品のイメージとつながっているオープニングがありました。当時は普通に「なーんか辛気くさい始まりかただな。」と思ってあんまりよくは見ていなかったんですが、今観てみると味わいぶかいんだよなぁ!
 それが、私が小学生だった時にやっていた『仮面ライダーBLACK』(1987~88年)のオープニングです。
1981年に放送が終了した『仮面ライダースーパー1』以来、久々の仮面ライダーシリーズ。正確に言うと1984年に1回だけTVスペシャルで放送された『仮面ライダーZX』が間にあるのですが、連続ドラマとしては実に6年ぶりの新作です。気合い入ってたなぁ!
 『仮面ライダーBLACK』のコンセプトはまさに「原点回帰」! おふざけなしで怖い悪の組織と、異形の身体のために人々に恐れられながらも孤独に戦う仮面ライダー。第1作の『仮面ライダー』の後半から、仮面ライダーは他の同じ境遇に生まれたライダーたちとともに戦っていくという形となり、シリーズが続くたびに仲間が増えていく一方だったのですが、『BLACK』で登場するライダーは、主人公のBLACKと、双子の兄である悪のライダー・世紀王シャドームーンの2人だけ。シャドームーンは悪の組織ゴルゴム最強の大幹部であるため、BLACKは1人で闘います。歴代ライダーも助けに来てはくれない! 次のシリーズの『仮面ライダーBLACK RX』ではみんな来てくれたのに。物語の終盤は全身真っ黒のBLACKと全身シルバーのシャドームーンとの1対1の決闘。シブすぎ!
 前に言ったかもしれないんですが、当時ガキンチョだった私は、『BLACK』のシンプルさと真剣さに完全にビビってしまっていました。あと、同時期に『週刊少年サンデー』で連載されていた石ノ森章太郎ご本人による原作『仮面ライダーBlack』も怖かったんだよなぁ!
 石ノ森先生の『仮面ライダーBlack』は、今になって読んでみるととんでもない名作です。まさにブラック! 実写版以上に怖い悪の組織と変身後のライダー。原作版のライダーを見て「あっ、正義の味方だ!」と思う人はいないと思います。よく見ると血管がういてるし! さすがは石ノ森先生。タイトルの『Black』が、実写版の『BLACK』じゃなくて小文字になっているのもよくわかります。全然違う物語なのね。でも、子どもの頃はまったく意味がわかんなくて怖いだけだったなぁ! 最終回も救いがなかったし。
 話をドラマのほうに戻して、『仮面ライダーBLACK』のオープニングはカッコいいです。ドラマのコンセプトをまさに地でいくシンプルな構成。ひたすら! ひたっすら、バイクをカッ飛ばすBLACKしか映し出されない。この黒いバッタみたいな人が誰で、なんのためにやっぱりバッタみたいなバイクに乗ってどっかに急行しているのか、一切説明されません。しかし、何かの強い意志を持っている「ライダー」であることはビシビシ伝わってくるのです。「仮面ライダーはそれだけで充分じゃないか。それ以外に何がいるんだ!」という制作者の想いが伝わってきて、今観ると感動してしまいます。
 そして、このシンプルなBLACKのスタイルに、映像の中の曇り空と濡れたアスファルトがあうあう! じめじめした空気が似合うヒーローなんだよなぁ、BLACKは。
 『仮面ライダーBLACK』のタイトルのあと。無音の中、港にある暗い倉庫の中を足音だけ響かせて静かに進むBLACK。そこにあった専用のメカ生命体バイク・バトルホッパー(最高時速500キロ)にまたがると同時に主題歌のカックイイ前奏が始まり、バトルホッパーのバッタのような複眼が赤く光り出す!
「時をっ、超ーえーろ 空をっ、駆ーけーろ このほっしー(星)のたっめぇー!」
 ヴォーカルをつとめる主演の倉田てつをさんの、なんともいえない味わいのあるサビシャウトとともに、倉庫の窓ガラスを盛大にバトルホッパーで割って外に飛び出すBLACK。なぜちゃんと入ってきた入り口から出ていかないのかって、そっちのほうがかっこいいから! 新しい仮面ライダーのはじまりを告げる、非っ常にかっこいい主題歌です。それもそのはず、作詞・阿木燿子で作曲・宇崎竜童!

「君は見たか 愛が 真っ赤に燃えるのを
 暗い闇の底で 危険な罠が待つ
 信じる奴がジャスティス 真実の王者
 夢を見続けることが 俺のファンタジー」

 映像の中で、人気のない埠頭をひた走るバトルホッパー同様に、阿木さんの歌詞もブッ飛ばしています。ジャスティス! 曇り空の中を緑のバイクで疾走する真っ黒な人。まぁ、普通のヒーローじゃないね! そりゃ道ばたの鳥もびっくりして飛び立ちます。このあと、

「生きることが好きさ 蒼く浮かぶコスモ」

 の部分で曲がメロディアスに転調して、その時だけ疾走中のBLACKがバイクから身を起こしてしみじみと海のほうに目をやっているように見えるのが、芸が細かくてニクいねぇ! そして曲調はふたたび激しいリズムに戻り、

「時を超えろ 空を駆けろ この星のため
 熱く燃やせ 涙流せ 明日という日に
 仮面ライダーBLACK 仮面ライダーBLACK」

 といくわけで、まぁかっこいいです。ロケ時のお天気事情のせいか、もともと最初っから曇り空だったんですが、バトルホッパーが大きくジャンプして地面に着地すると、BLACKにあわせたかのようにアスファルトも雨で濡れて真っ黒になっています。滞空中に雨が降り出してきたわけね。ものすごい滞空時間!
 最後の「仮面ライダーBLACK」の連呼のタイミングでトンネルに入り、画面がバトルホッパーの赤い2つの眼以外真っ黒になったところでオープニングは終わります。徹頭徹尾、『BLACK』の理念をストレートに伝えている素晴らしい構成です。
 いやぁ、雨が似合うでしょう? 日本ならではのじめじめヒーローですよ。でもちゃんとかっこいい! 『ダークナイト』のバットマンよりも孤独感が伝わってくる、それでいてちゃんとかっこいいヒーローなんです。
 今日みたいな雨の日にも、独りどこかの港町で疾走してるんじゃないかなぁ、仮面ライダーBLACK! そう考えると、この窓の外の風景もちょっとだけ好きになれるような気がしてくる、今日この頃です。

 余談ですが、主題歌の2番もぶっ飛ばしてるんだぜ!
「黒く光るボディ ハートに血が通う
 風が運ぶ歌に 気持ちがふと揺れる
 支配したがるマジシャン 妖しげなエスパー
 闘う時はソルジャー 俺の誇りさ
 この地球(ほし)が好きさ 心許した友
 永遠(とわ)に守れ 若さはじけ この愛のため
 現在(いま)を燃やせ 強く生きろ 今日という日を
 仮面ライダーBLACK 仮面ライダーBLACK」
コメント
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