長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

哀しい酒in宇宙 サイボーグ怪獣ガイガン

2010年09月15日 03時55分09秒 | 特撮あたり
 こんばんは~。そうだいです。今日も私の町は暑かった……夏がまた戻ってきちゃった。
 そんな暑い中、今日はちょうど時間があいていたので、先日に故障した我が家のTVを、ついに廃棄に出してきました。20インチの、12年間さまざまな感動を私にプレゼントしてきてくれたあいつを送り出すんだから、できるだけ1秒でも長い時間、近くにいてやりたい……万感の想いと、送料が1000円ほどうくからちょっとぐらい我慢して運ぼう、という主婦感覚を胸に、自転車の荷台に載せて片道1時間かけて、家から日本通運さんの集配所まで運んでいきました。午後1時。もう、絵に描いたような炎天下で汗だく……ブラウン管って、でかいし重いですよね~。集配所のお兄さん、「よく運んで来られましたね。」ってビックリしてました。そのあとヨドバシカメラに行ったんですが、今のTVは薄いなぁ……まぁ、新しく買うかどうかはまだ決めてないんだけど。俺のブラウン管TV、今までどうもありがとう! あの時、初めての独り暮らしに震える俺を助けてくれたのは、お前だった。12年間お疲れさまでした。安らかに眠れ。
 さて、しんみりついでに今日は、私が思い出すたびにいつもしんみりとしてしまう怪獣について語ってみたいと思います。
 その名は、サイボーグ怪獣ガイガン。身長65メートル、体重2万5千トン。
 先日私が言った、舞台公演中に親友からもらったTシャツのステキな柄というのは、このガイガンのプリントでした。親友君、本当にありがとう。わかってるよね~!
 サイボーグ怪獣ガイガンは、地球征服をねらう異星人・M宇宙ハンター星雲人が、もともと飼育していた宇宙怪獣をサイボーグ化して送り込んできた恐るべき侵略マッシーンです。
 大きな1本角、サンバイザーのような赤い単眼、エメラルドグリーンとゴールドに彩られたシンプルながらも先鋭的なデザイン、両腕は鎌のような形をした巨大ハンマー、背中には3枚のシャープな翼、そして腹には高速で回転してあらゆるものを切断してしまうノコギリが!
 うーん、豪華すぎる! 実はガイガンは、「怪獣」と「武器」が対等にコラボレーションした史上初の例だったのです。「鎌」や「回転ノコギリ」などがそれぞれ、ワンポイントアイテムとして怪獣の武器になっていたというパターンはチラホラあったのですが、ここまで多くの要素を1つの怪獣に盛り込んだことはありませんでした。
 1971~75年に日本で花開いた「第2次怪獣ブーム」は、別名「変身ブーム」とも言うとおり、一般には人間から変身して怪獣を退治する「ヒーロー」側の人気によって盛り立てられたブームだったとされています。1971年から再開された『ウルトラマン』シリーズでのウルトラ兄弟の展開。そして、同じその年についに始まった『仮面ライダー』シリーズでの歴代ライダーたちの勇姿……
 しかし他方で、第2次怪獣ブームとは、ガイガンに代表されるような「新たなデザインの怪獣」の繁栄したブームでもあったのです!
 「新たなデザイン」とは何か? それは、「ロコツに子供ウケを狙ったわかりやすいデザイン」だったのではないのでしょうか!
 ガイガンを見ればわかります。単眼、両腕の鎌、回転ノコギリ! これでうれションをもよおさない小学生男子はいないでしょう。また、「こいつは悪役だな」と瞬時にわかるデザインでもあります。
 言い遅れましたが、ガイガンは映画『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972年公開)と『ゴジラ対メガロ』(1973年公開)に登場した悪役怪獣です。当時、主役怪獣ゴジラは「正義の怪獣王」としての色合いを強くしていました。興行的にも、その時期の『ゴジラ』シリーズは完全に子供をターゲットにしたプログラムになっていたのです。
 思えば、このスタート設定からして、ガイガンの悲劇は始まっていたのかも知れません……要するに、「外観がカッコいいわりには、わかりやすくゴジラに負ける内面の弱さ」というギャップがいやが上にも強調されるという「デザイン負け」現象をまねいてしまったのです。哀しい!
 また、華々しいデビューを飾るはずだった『ゴジラ対ガイガン』で、共同して地球を破壊したパートナーが、あの悪役大先輩の宇宙大怪獣キングギドラさんだったことも災いしました。映画的には2大ヒール登場ということで盛り上がったのですが、相対的に新怪獣ガイガンの見せ場が減ってしまったのです。「まずはやっぱ、ゴジラさんとギドラさんをたてなきゃ……。」ガイガンの人の良さが露呈した初戦でした。
 リベンジとなった翌年の『ゴジラ対メガロ』でも、ガイガンは違った意味での悲劇に涙をのむ結果となってしまいました。今度は、この時の悪役パートナーの怪獣メガロのパッとしなさに足を引っぱられてしまったのです。それだけならばガイガンが目立てば良かったものの、ガイガンも主役のゴジラもひっくるめてこの映画全体が、脇役の助っ人ロボット・ジェットジャガーにまるごと喰われてしまうという大事故までもが発生してしまいました。ジェットジャガー、ひどいよ……だって、作った博士もよくわかんないような回路がはたらいて、身長が2メートルから50メートルに巨大化するんだもの。まぁ、なんでもちゃんとした理由がなきゃいけないなんて野暮なことは言わないけど、アンタ自由すぎ!
 まぁそんなこんなで、『ゴジラ対メガロ』は、ゴジラシリーズ初の観客動員100万人割れ(98万人)。ガイガンは、登場わずか2作にして、宇宙の飲み屋でグチをこぼしながら仕事を待つ日々を送ることとなります。
 しかし、天はそんなガイガンを見放さなかった!
 『ゴジラ対メガロ』から実に31年の歳月がたった2004年。第2次怪獣ブームどころか昭和さえもが遥か遠くのことになってしまったこの年に満を持して製作された、現時点でのゴジラシリーズ最終作『ゴジラ FINAL WARS』に、ガイガンが新デザインで登場することになったのです。
 平成ガイガンのデザインを担当したのは、21世紀の日本を代表するクリーチャーデザインの革命児・韮沢靖(にらさわ やすし)! 期待にたがわず、全体的にスリム&小顔になり、全身のイメージカラーが明るいエメラルドグリーンからダークに鈍く光るメタリックブルーになったガイガンは、まさに平成の眼の肥えた小学生男子どもにうれションをちびらせるにたる姿になって帰ってきました。しかも両腕は、アタッチメントで鎖ガマになったりチェーンソーになったりするんだから、もう最高!
 だが、しかし……
 悲劇はまたしてもガイガンを襲ったのです。今度は、「映画がつまんない」。
 これはねぇ……まぁ、つまんないかおもしろいかは人の感性によるのでなんとも言いようがないのですが、とにかく見せ場がトゥーマッチで飽きるんですよ! ずーっとどこかでだれかとだれかがドカンドカン戦ってるだけの2時間なもんだから、メリハリがない。WARSしすぎ! だって、怪獣が15体出てくるんだもん! もちろんガイガンはよくがんばってるんですが、中にはなんのために出てきたのかまったく意味のわからない怪獣もチラホラいるんですよ? 沖縄のあいつとか、ヘドロのあいつとか。ちゃんとした役割が作れなかったんだったら、オールスター出演とか無理してやらなくてもいいから! 昭和のオリジナルへの冒涜でしかないよ……これは、なにも『FINAL WARS』に限った問題ではないんですが。
 ガイガンとモスラとの古代文明以来の因縁の対決なんか、それだけで充分に1本の映画になるようなおいしい食材だったのですが、残念ながら他の展開に呑まれてしまったような印象で、今ひとつパッとしなかったのが実に無念でした。
 ガイガン。悪役ゆえに最後は負けるという怪獣本来の宿命と、イヤに期待を高めてしまう盛りだくさんな見た目とのジレンマに常に悩み続けている、悲劇のカリスマ。
 最後の映画出演からも、はや6年がたとうかとしています。今なにやってんのかな。やっぱり、宇宙の彼方の怪獣墓場の手前にあるという居酒屋で、今日も1杯やっているのか……
 がんばれ、ガイガン! 今夜もどこかで、君がゴジラに勝つ夢を見ている子どもがいるんだから。
コメント
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