長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

なにしに来たんだ第4使徒シャムシエル 下

2010年09月23日 03時29分28秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《上のあらすじ》
 第3使徒サキエル以来、3週間ぶりに第3新東京市にやってきた第4の使徒、シャムシエル。さ~て今度は、どんな戦い方をしてくれるのかな?

 海面すれすれのところを飛行してきたために、レーダーにもなかなか引っ掛からなかったシャムシエル。特に海岸線での攻防戦もなく日本に上陸します。サキエルの時にがんばっていた国連軍は、どうやら「もう全部ネルフにお任せ!」という対応になったらしく今回はどこにもいません。そのかわりに「15年待ってました。がんばるゼ!」とばかりに、第3新東京市一帯に設置されていたビル屋上のミサイル発射台や箱根ロープウェーに仕掛けられたミサイルポッドが、ふよふよ飛んできたシャムシエルめがけてガンガン火を噴くんですが……まぁ、効かないよねぇ~。日本の怪獣特撮の伝統でございます。
 その時ネルフ本部はというと、なぜか不在だったあやしい総司令の代理として、絵に描いたようなシブい顔の副指令と現場指揮官のお姉さんがてんやわんや。
「こっちの都合はおかまいなしか。女性に嫌われるタイプね。」
 ついついグチっぽくなってしまう指揮官お姉さん。
「あったりまえじゃあ! こちとら、人類全員を滅ぼしに来とるんじゃからのう。男女の区別なく嫌われるのは百も承知の助よ。そしたら、あがらせてもらうでよぉ!」(シャムシエルの心をおもんぱかってみました。)
 人類側の迎撃をものともせず第3新東京市中央部に陣取ったシャムシエル、余裕しゃくしゃくの態度でエヴァンゲリオンの出動を待ちます。
「おらぁ、エヴァンなんちゃら! むらさきの! でてこいやぁ!」 

 第4使徒シャムシエル、身長はやはりエヴァンゲリオンやサキエルと同じくだいたい50メートルといったところ。全身はえんじ色か茶色といった感じの配色で、しいていえば人間型ではあるのですが、手もなく足もない、フードつきローブをまとった中世ヨーロッパの修道士のようなシルエット。飛行時はそのまんま横になっている態勢が、地上に降り立つとすっくと立ち上がります。トランプのスペード型のカバーが頭部に乗っかっていて、そのカバーが上にあがると、そこには頭部でなく、サキエルにもあった赤い巨大な球状の物体が。使徒にとって非常に大事な「コア」という部分のようです。そしてそのすぐ下の胸の部分には、ダンゴムシのようにワシャワシャと動く8~10本くらいの細い足。気色わるっ! 武器じゃないんだったら動かさないで……
 そして、シャムシエル最大の特徴にして、画面で見るかぎり唯一の武器でもあるらしいのが、肩にあたる箇所から左右1本ずつ伸びている、光る細長い触手なんです。こいつはなかなか使える武器ですよ!
 サキエル戦と同様に、地下のネルフ本部から出動してきたエヴァンゲリオン初号機。初の本格的な戦闘にビビりまくりの中学生パイロットが先手必勝とばかりにパレットガン(エヴァンゲリオンのサイズに巨大化されたライフル銃。弾は劣化ウラン弾)を撃ちまくるのですが、これもシャムシエルには効かない様子。
「効かん効かん。わしもナメられたもんよのう。そいだら今度は、わしからいくずぉぉうッ!!」
 突然攻勢にうつり、目にもとまらぬスピードで2本の光る触手をムチのようにくりだすシャムシエル! 触手はどうやらかなりの熱を発するものらしく、ふれたビルはあっという間に紙細工のように切断され、つかんだ初号機の手のひらはジュジュワ~と火傷をおってしまいます。
「がっはっは! どうじゃ、わしのムチは。このままビルごと切り刻んでくれるわぁ!」
 パイロットの経験の少なさもあって、防戦一方になる初号機。ムチ攻撃に吹き飛ばされて、近郊にあった山の中腹でのびてしまいます。
 しかし、ここで戦況が変わった! 相手を再びムチの範囲内にとらえようと不用意に近づいてきたシャムシエルに、初号機が突然ダッシュで接近。ふところに入りこんだ瞬間、手にしのばせていたプログレッシブナイフをシャムシエルのコア部分に渾身の力をこめて突き立てたのです!
「ぬぐおッツ!? し、しまったぁッ!! ワレ、ドス持っとったんか!」
 プログレッシブナイフとは、これまたエヴァンゲリオンサイズに作られたアーミーナイフのようなもので、なんか知らないけどものすごい高振動が刃の部分で発生し、触れたものを分子レベルで切断してしまうというスグレもの。14歳のパイロットには持たせちゃいけないでしょ、見た目的に。
 ガガガガ!! コアに入った大きな亀裂の中から激しく飛び散るスパーク。
「ぬかったわ……おまえみたいな小僧っコにそんな度胸があったとはのう。立派な組員になるんじゃぞ。ひと足先に、三途の河原で待っとんずおうぅぅ……ガク」
 危なかった。シャムシエルのムチ攻撃で、初号機に電力を供給していたアンビリカルケーブル(でっかい電気コード)は切断され、シャムシエルが息絶えるのとほぼ同時に、初号機の活動も停止していたのです。とにもかくにも、今回は「暴走」なしでのエヴァンゲリオンの勝利でした。さすがは主人公。なんだかんだいって成長したねぇ!

 しかし……今、私は心を鬼にしてこう言わねばなりません。「シャムシエル、お前いろいろとダメ!」と。愛あるゆえの提言です。
 今回は主人公の成長が勝因っていうか、シャムシエルに敗因が多すぎました。
 まず第1は、「弱点丸出しで戦っちゃってる。」
 シャムシエルねぇ、途中まではいいの! 途中まではフードみたいなのをかぶってコアを守ってるんだもん。でも、戦いでヒートアップしたからなのか、後半ずっとフードあげちゃってたでしょ! 暑がりなの!? ちょっとぐらいガマンしなさいよ。
 第2は、「ムチしか武器がない。」
 サキエルだって、目からビームっていう遠隔攻撃があったの! 弱点がある自分の身体に近づいたものしか攻撃できないって、どういうこと!? 「肉を切らせて骨を断つ」んじゃなくて、相手の肉を切って自分の骨を断たせてどうすんだよォ~。死んじゃうじゃんかよォ。「実は他にも武器があったんだけど、使わなかった」っていう言い訳は通用しません。出し惜しみしていいのは、必殺技のあるヒーローだけ! 悪役は出せるもんはバンバン出していかなきゃ。
 あとさぁ、あなた、もし初号機に勝ってたら、地下のネルフ本部にどうやって行くつもりだったの? ムチをブンブンぶんまわして地面を掘ってくつもりだったの?
 第3は、「打たれ弱すぎる。」
 あのね、サキエルは初号機に飛びかかられる前に「ATフィールド」っていうバリアをはってたでしょ。あなた、ATフィールド、はってた? ATフィールドがもともと弱かったのか、あまりに突然襲われたんではるヒマがなかったのかどうか知んないけど、ナイフ1本で死んじゃあいけねぇよ……かりにも、人類の滅亡をねらってる使徒のメンバーなんだからさ。
 まぁそんな感じですよ。はっきりいって、サキエルと比べて進化したのは「空を長時間飛べる」ってとこだけで、それ以外はちょっと……むしろ弱くなってしまったとしか思えません。
 よく考えてみると、主人公の中学生だってグッドコンディションじゃなかったんでしょ? なんか、クラスメイトにいいがかりをつけられてぶん殴られたり、エントリープラグ(コックピットみたいな装置)の中に、そのクラスメイトとかが入り込んだりしてたんだそうじゃない。シャムシエル、勝たなきゃ、そこは!

 ……ちょっと、いいすぎたかな。
 仕方ない。とにかく結果として、第4使徒シャムシエルは人類の用意した「通常兵器」の状態のエヴァンゲリオンに敗れてしまいました。しかし、この敗戦をうまく次に生かさなければ、シャムシエルの勇敢な死が無駄になってしまう。使徒は常に、敗戦から何かを学びとらねばならないのです。なんか、なんかないかな……
 む? そうだ! シャムシエルの闘いが、たったひとつだけ使徒サイドにもたらしてくれたプラス材料があったぞ! それは、
 「人類側の気のゆるみ」だっ!
「使徒、意外と弱くねぇ? 次もたぶん、こんくらいのやつじゃねぇ?」
 ククク。待っていろよ。次はそのゆるみきったハートにコークスクリューをぶち込むような使徒を送り込んでやる! せいぜい、プチ家出で自分探しをしかけてから結局はマンションに舞い戻ってくるというエピソードでも済ませておくんだな、中学生!

 余談ですが、2007年の『新劇場版・序』では、シャムシエルはサキエル同様に、順番を1つ繰り下げた「第5の使徒」として登場します。エピソードの内容も外見もオリジナル版とほぼ同じなのですが、胸のちっちゃな足のワシャワシャ感がCG技術によってさらにこまかくなって気持ち悪くなった点と、死亡後に触手部分以外の全身が血のような液体に変わって崩壊してしまった点がオリジナル版と違います。オリジナル版では、死亡後にシャムシエルの死体は割れたコアを含めてすべて回収され、ネルフによる分析の結果、使徒は「人類にかなり近い遺伝子を持ったなんか。」という結果がもたらされるくだりがあったのですが……そのへん、『新劇場版』ではまるごとはしょられちゃった。負けんな、シャムシエル~!!
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする