長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

金田一先生、そろそろ事件です

2010年09月06日 08時57分33秒 | ミステリーまわり
 おはようございます、そうだいです。今朝も、私の部屋の窓からは青空が見え、やる気まんまんの日光がさし込んできております……それでも、ただよう雲の大きさが日々確実に大きくなってきているのが、秋のおとずれを告げているような、そう信じたいだけのような。
 先日、推理小説が好きだと言ったことがありましたが、私にとって読んだ量・ハマッてしまった深さともに最大規模となった小説家は、横溝正史(よこみぞ せいし)でした。横溝正史と言えばもちろん、「名探偵・金田一耕助シリーズ」ですよね!
 私が横溝正史の小説を読むきっかけとなったのは、横溝作品のうちかなり多くの作品が発行されていた角川文庫との出会いからでした。
 確か中学生1年生くらいだったと思うのですが、まずその時に私は星新一のショートショートにゾッコンになっており、本屋に通っては、さわやかな明るいグリーンの背表紙の文庫本を探しておりました。今から15~20年ほど前の当時は、主な星作品を出版していた新潮文庫と角川文庫はともに背表紙の色が同じ明るいグリーンだったのです。作家さんごとに背表紙の色が変えられていた出版社が現在よりも多かったため、私は毎回、本屋の色とりどりの本棚を見てはわくわくしていました。
 さてそんなある日、いつものように本屋で星文庫を探す私だったのですが、
「あ、あったあった。さーて今日は角川文庫にするか。買ってないのはどれだったかな……ん?」
 なぜか、作家の名前順で並んでいた本棚のうち、星新一の「ほ」の棚からもうちょっと進んだ、私からみて右側にいった方角から、圧倒的な「黒」のオーラが漂ってきたのです。
「ゴゴゴゴゴゴ……(少年マンガの効果音に出てくるあんな感じです)」
「ひえ~、こ、怖い! 黒い! しかも、黒い背表紙にグリーンのタイトル文字!? 同じグリーンなのに星新一とは大違いだ。不気味でしかない! この人、冊数も多ければ一冊一冊もページ数が多そうでぶっといなぁ。こんなデザインの文庫本を発行する、あなた様のお名前は!?」
 それが、横溝正史の角川文庫本シリーズだったのです。衝撃的な出逢いでした。またその黒地に緑で書かれたタイトルがおどろおどろしいのなんのって。
『八つ墓村』、『犬神家の一族』、『三つ首塔』、『病院坂の首縊り(くびくくり)の家』、『獄門島』……
 私は圧倒されました。いちいちこえぇ!『八つ墓村』って。もっと他にアピールするポイントはなかったのか、その村?
 まぁビックラこきましたね。さっそく、少々刺激は強そうですが、星新一の文庫本を全部呼んだら次に読むのは絶対ヨコミゾだ!と心に固く誓うそうだい少年なのでした。
 そして、しばらくしてから読み始めた横溝作品の数々は……まさにめくるめく魅惑の読書体験を私にもたらしてくれました。推理小説としての完成度もさることながら、文章の雰囲気が独特の魅力をはなっているんです。くせがあるのに読みやすい! 大衆小説の神髄と言ったらよいのでしょうか。
 横溝作品といえば、いやおうなしに映画やTVなどで映像化されたイメージが強いかと思いますが、原作はちょっと違うような気がします。名探偵・金田一耕助は映像化されたイメージよりももっと人間くさくダーティな感じがするし、古き良き田舎の事件だけでなく、戦後の復興直後の東京を舞台にした作品も多いです。なによりも作者が、作品の雰囲気はちゃんと創り出すとして、それ以上にトリックの整合性や提示された謎の論理的な解決の方に力を入れていたことがわかる、モダンともいえる原作の構成は、血みどろな怨念の連鎖といった映像作品とは違った印象があります。
 原作と映像、どちらがいいのかは私も悩ましいところなんですが、映像の大胆なアレンジを生前に寛大に許容し、はては映画などに自ら出演して金田一耕助と会話したりしていた横溝正史のふところの大きさは素晴らしいですね。
 横溝作品の個々、また映像化作品については、またの機会にということで。
 ちなみに、私が一番好きな金田一耕助俳優は、鹿賀丈史さんでーす!

 
コメント
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