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かしこい狗は、吠えずに笑う 【感想っ!】

2014-11-11 12:00:00 | 映画


2014年の日本映画界における最大の事件は「るろうに剣心2部作」による、
「日本のアクション映画の新たな夜明け~」と勝手に考えていた。

が、違った。

先週より「TSUTAYA限定レンタル」としてリリースされた、
「かしこい狗は、吠えずに笑う」がそれに代わる事件だった。
厳密にいうと2013年に公開された映画だが、限定公開だったこともあり、
DVDレンタルで広く観られる状況になった今年の事件と捉えたい。

観終わって本作が自主製作映画と聞いて驚愕した。
そして、監督デビュー作ということに驚愕した。

物語は女子高を舞台に2人の女子高生を描いた話だ。
ブサイクで(可愛いけどな)周りから蔑まれる「ミサ」と、
美人であるために 周りから妬まれる「イズミ」の友情物語。

「ブルドッグ」と「チワワ」に例えられた2人。
友達がいないモノ同志、2人は親友になる。
校内で陰湿ないじめに遭い、闇に彷徨う2人の世界が輝き出す。
青春ガールズムービーの様相を呈してきたと思いきや、
次第に2人の友情の歯車が狂い出す。
気配と感じていた歪みが膨張し、暴走を始める。
そして、欲望が狂気に変わる瞬間に引きずりこまれる。。。

「犬は鎖に。鳥は籠に。金魚は水槽に。」と、劇中冒頭のナレーション。
それはペットを慈しむ、あるいは守りたいという人間の愛情なのか。
それとも、それは人間による一方的なエゴによるものなのか。。。

本作は、愛情とエゴの狭間で起きる、1つの友情の形を描いている。
観終わ って「恐怖」よりも「切なさ」を感じてしまった。
単なるスリラーではない、やはりこの映画は青春映画なのだ。

めちゃくちゃ面白い。魅了され溜息が止まらない90分だった。
学生のときに初めて岩井俊二の映画を観た時の衝撃に似てる。

やや観念的で説明が不十分な描写も少なくないが、
日本映画というジャンルでこれほどの映画に出会えた喜びには勝らない。

脚本、演出、編集、カメラワーク、音楽、音響の使い方。。。
その全てが日本映画の凡作にはないレベル感であり、
少なくとも予算150万で製作した映画とはにわかに信じ難い。
日本映画に散見される空回りや、停滞感を感じさせる淀みがないのだ。
優れた作家性とともに強い娯楽性があるのも素晴らしい。
日本映画界に「渡部亮平」という待望の新星が現れた!

そしてもう1つ、観る者を惹きつけてやまないのは、
主人公の2人を演じたmimpi*β(歌手)と 岡村いずみのパフォーマンスだ。
非常に非常に素晴らしい!今後の彼女たちの飛躍を心から応援したい。

【80点】

PS/
本作、自主製作映画ということもあり、DVD化まで時間がかかった模様。
おそらくCCC(TSUTAYA)が本作の魅力に注目し、名乗りを上げたのだろう。
「TSUTAYA限定レンタル」、久々のファインプレーだ!!
特典映像を交え、セル化を激しく希望。

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