今年(前年作品)のオスカーノミネーション、10作品のうち、
個人的に公開を楽しみにしていたのは「ザ・ファイター」と「127時間」であった。
期待しすぎたせいか前者の「ザ・ファイター」は観て物足りなさが残ったが、
もう一方の本作「127時間」は期待値を見事上回ってくれた。
力強く、希望に満ち満ちた大熱狂の映画。
いろんな意味で映画史に残る傑作だ。
本作は実在の登山家アーロン・ラルストンが体験した実話を映画化したもので、
ロッククライミングに出かけた男が、突然の落石事故に見舞われ、
右腕をその落ちた岩に挟まれ、谷の間で身動きができなくなってしまう話だ。
ストーリーは極めてシンプル。展開、結末も全くのヨミ通り。
おおかたの予想通り、腕を切断して脱出する話だった。
展開が読めてしまうと、興醒めし、一気に熱が冷めることが多いが、
この映画のもつ求心力が尋常ではないため、退屈とは無縁で、熱も冷めず。
上映時間90分、疾走する。
主人公アーロンは極めて個人能力が高く、誰の力も借りずにズンズンと険しい岩山を進んでいく。
そんな彼の性質は私生活にも表れていて家族、恋人に対しても、
自分は自分、他人は他人で、深く関わらずに生きている。
彼らがどれだけアーロンのことを想っているのかも顧みず。。。
アーロンを待ち受けていた予想もしないアクシデントは、
そんなアーロンの生き方とアーロン自身を対峙させるための運命であったかのよう。
アーロンを演じたのはジェームス・フランコ。
コメディもハマるオールランダーで、私の好きな俳優だ。
本作で主演オスカー候補となったが、まさに入魂のパフォーマンス。
孤立無援。生を選ぶか、死を選ぶか、その極限の世界にいるギリギリの人間の様を演じきった。
上映時間ほぼ彼の一人芝居だが、そのリアリティにただただ息を呑む。
失神者が出たという、アーロンの腕切断シーンは、見て納得。
これほどまでに痛みを感じるシーンを私は観たことがない。
とにかく凄まじい。。。冷や汗ダラダラ。緊張のあまり体がのけぞった。
このシーンで観客の、好、不評がはっきり別れそう。(終わった途端、席を立つ人多し)
しかし、このシーンこそアーロンの生への渇望、その大きさであり、
「勝利」というフィナーレを飾るためのクライマックス、
また同時に、監督ダニーボイルが本作に懸ける想い、強いメッセージなのだと感じた。
誤魔化しの一切効かない本作にあって、
監督ダニー・ボイルの手腕がいかんなく発揮された作品ともいえる。
大音響の音楽、キレキレでエネルギッシュな映像でオープニングから圧倒される。
身動きができなくなり衰弱するアーロン。
研ぎ澄まされた五感により豊かなイマジネーションが、作品世界を縦横無尽に駆け回る。
細切れとなった何気ないシーンでも、後の展開の伏線や、キーファクターになってたりと、
ダニー・ボイルが、一流の映像監督ということだけでなく、
作家性を持つ一流の映画監督であることが証明される。
脚本、音楽、撮影等々、スラムドック~のスタッフが再結集したらしい。
死へと近づきながらも失わない「陽」のパワー。なるほど~である。
ラストのアーロンの姿、
希望に満ちたその世界を前に
興奮と感動で身体が打ち震えた。
人に薦めることにあまり気が進まないが、
運命を突き破り、前進する勇気を与える素晴らしい映画であった。
【85点】
個人的に公開を楽しみにしていたのは「ザ・ファイター」と「127時間」であった。
期待しすぎたせいか前者の「ザ・ファイター」は観て物足りなさが残ったが、
もう一方の本作「127時間」は期待値を見事上回ってくれた。
力強く、希望に満ち満ちた大熱狂の映画。
いろんな意味で映画史に残る傑作だ。
本作は実在の登山家アーロン・ラルストンが体験した実話を映画化したもので、
ロッククライミングに出かけた男が、突然の落石事故に見舞われ、
右腕をその落ちた岩に挟まれ、谷の間で身動きができなくなってしまう話だ。
ストーリーは極めてシンプル。展開、結末も全くのヨミ通り。
おおかたの予想通り、腕を切断して脱出する話だった。
展開が読めてしまうと、興醒めし、一気に熱が冷めることが多いが、
この映画のもつ求心力が尋常ではないため、退屈とは無縁で、熱も冷めず。
上映時間90分、疾走する。
主人公アーロンは極めて個人能力が高く、誰の力も借りずにズンズンと険しい岩山を進んでいく。
そんな彼の性質は私生活にも表れていて家族、恋人に対しても、
自分は自分、他人は他人で、深く関わらずに生きている。
彼らがどれだけアーロンのことを想っているのかも顧みず。。。
アーロンを待ち受けていた予想もしないアクシデントは、
そんなアーロンの生き方とアーロン自身を対峙させるための運命であったかのよう。
アーロンを演じたのはジェームス・フランコ。
コメディもハマるオールランダーで、私の好きな俳優だ。
本作で主演オスカー候補となったが、まさに入魂のパフォーマンス。
孤立無援。生を選ぶか、死を選ぶか、その極限の世界にいるギリギリの人間の様を演じきった。
上映時間ほぼ彼の一人芝居だが、そのリアリティにただただ息を呑む。
失神者が出たという、アーロンの腕切断シーンは、見て納得。
これほどまでに痛みを感じるシーンを私は観たことがない。
とにかく凄まじい。。。冷や汗ダラダラ。緊張のあまり体がのけぞった。
このシーンで観客の、好、不評がはっきり別れそう。(終わった途端、席を立つ人多し)
しかし、このシーンこそアーロンの生への渇望、その大きさであり、
「勝利」というフィナーレを飾るためのクライマックス、
また同時に、監督ダニーボイルが本作に懸ける想い、強いメッセージなのだと感じた。
誤魔化しの一切効かない本作にあって、
監督ダニー・ボイルの手腕がいかんなく発揮された作品ともいえる。
大音響の音楽、キレキレでエネルギッシュな映像でオープニングから圧倒される。
身動きができなくなり衰弱するアーロン。
研ぎ澄まされた五感により豊かなイマジネーションが、作品世界を縦横無尽に駆け回る。
細切れとなった何気ないシーンでも、後の展開の伏線や、キーファクターになってたりと、
ダニー・ボイルが、一流の映像監督ということだけでなく、
作家性を持つ一流の映画監督であることが証明される。
脚本、音楽、撮影等々、スラムドック~のスタッフが再結集したらしい。
死へと近づきながらも失わない「陽」のパワー。なるほど~である。
ラストのアーロンの姿、
希望に満ちたその世界を前に
興奮と感動で身体が打ち震えた。
人に薦めることにあまり気が進まないが、
運命を突き破り、前進する勇気を与える素晴らしい映画であった。
【85点】
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