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エルヴィスとニクソン 【感想】

2016-12-08 09:00:00 | 映画


Amazonプライムビデオにて。
1970年、当時のアメリカの大統領ニクソンと、エルヴィス・プレスリーが面会した史実を基にしたコメディ。終始ニヤニヤ。ストーリーに広がりがないのは勿体ない。

日本の有名人が、日本の首相に表敬訪問という形で面会するのはよくあることだ。アメリカの大統領についてはどうだろうか。本作で描かれるニクソンの場合は、政治活動で手一杯であり、超過密スケジュールに追われ、有名人に会う時間なんぞなさそうである。面会を申し出たのはプレスリーのほうだ。当時、プレスリーは音楽と映画で世界を席巻しており、大統領と並ぶ有名人であり、外に出れば人が群がるほどの人気を博してた。そんな彼が、大統領に会おうとした理由は、この国の将来を憂えたからだ。自身を「アメリカの産物」と言い、暴力と麻薬で汚染された当時のアメリカを救いたいと熱望する。その手段が、直々に大統領に会い、麻薬捜査官としてのバッジ(任命)を得たのち、麻薬撲滅のために潜入捜査に加わるというもの。有名ミュージシャンが麻薬捜査官に転身!って、何かのパロディのような話だが、エルヴィス本人はピュアで真剣そのもの。どこまでがホントかわからないけど。

描かれるのは、「天才」と言われる生き物の生態である。常人の規格には収まらない思考と実行性があり、ときに「裸の王様」になることも恐れず、我が道を突き進んでしまう。本作で登場する天才はプレスリーだ。エンタメ界で大きな成功を収め、有り余る財産を得るも、おごることなく、一市民として国家の救済に乗り出そうとする。その志は買うものの、自身が捜査官になるという発想は、非常識であり馬鹿げた話だ。プレスリーの突拍子もない言動に付き合わされるスタッフと、彼の人気にあやかり、政治に利用しようとするニクソン側。エルヴィスの熱量と、現実的な周りの人間たちとの温度差。それでも「スター」として許容されてしまうパワー。プレスリーを中心にして踊らされる人間模様が愉快で楽しい。

プレスリー役にマイケル・シャノンをキャスティングしたのはかなりの冒険だ。本人に全然似てないし、年齢はもっと若い(当時のプレスリーは30代半ば)。おそらく本人に似せる狙いはなく、実在した伝説的ミュージシャンの特異な人間性とカリスマ性をコミカルに描くことがゴールだ。さすがはマイケル・シャノン、その役割に応える妙演をみせる。但し、年齢についてはどうすることもできないので、もっと若い役者に機会を与えても良かったと思われる。ニクソン演じたケビン・スペイシーだ。大統領役として活躍する海ドラHOCとイメージが自然的に被ってしまうため、もっといろんなニクソンの表情を見せてほしかった。

Netflixと同様、最新の日本未公開映画を手軽に提供してもらえるのは有難いことだ。huluも見習ってほしいな。

【65点】
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