
今年1番期待していた映画「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」を観る。
うぅ・・・ハマれなくて残念だった。
本作は、移動遊園地のバイクスタントマンの男(ルーク)と、
そのルークと関わり、十字架を背負うことになる警察官の男(エイヴリー)、
そして、ルークの息子で高校生となったジェイソンの物語である。
2世代に渡る3人の物語を通して、親子の血のつながりと、
冒した罪への贖罪、拭うことのできない人間の因果を描いている。
アメリカでの評価も高かった本作。日本でのレビューも絶賛の嵐だ。
「ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランスが、ライアン・ゴズリングと再タッグを組み、
「世界に一つの~」で演技派に脱皮したブラッドリー・クーパーがゴズリングと夢の競演。
「クロニクル」で主演したデイン・デハーンがジェイソンを演じるなど、
期待するには十分過ぎる素材が揃っていた。
冒頭のシーンが強烈で、掴まされる。
鍛え抜かれた体に、刻み込まれた無数のタトゥーのアップ。
その肉体を纏うライアン・ゴズリング演じるルークは表情を見せずに
命がけのスタント会場に上がるまでの道のりを、ルークの背中だけを追う長回しで魅せる。
「ドライヴ」で感じたオープニングの熱に近い。
しかし、その後、熱が冷めていく。
特にジェイソンが主役となる3部目が残念だ。
3つの物語で構成されていることを知らなかった自分は、
まったく想定していなかった展開に面喰った。ゴズリングファンなのでなおさらな感じ。
その後、本作が描こうとするテーマに気付くが、どうにも流れに乗れない。
「宿命」というパズルが巧くハマらなかった印象がぬぐえない。
偶然性と必然性の狭間をいとも安易に繋げてしまっている感じ。
「そんなにあっさり繋がっちゃってよいの?」というシーンが多い。
ジェイソンが父親のルークやエイヴリーと対峙する過程が
「宿命だから」ではなく、もう少し必然性を感じさせる動機がないと
「宿命」とは感じられない。
音楽を多用している点も、説明過多に映り、ややシラケさせる。
キャストのパフォーマンスは期待以上に素晴らしかった。
脇役のレイ・リオッタや、ベン・メンデルゾーンの存在感も抜群。
完璧なキャスティングである。
オープニングでの長回しや、バイクが激走する迫力を捉えたショット、
背負いし宿命を映し出すような滑走する自転車のバックショットなど、カメラワークがとても良い。
あとで調べらたら「シェイム」を撮ったショーン・ボビットという人が撮影したらしい。
とても惜しい。
少なくとも「ブルーバレンタイン」で感じた、
感情が擦れ合ってヒリヒリとする感覚は味わえなかった。
久しぶりにキマったライアン・ゴズリングを見られたのは満足だけど。
あと、物語のクライマックスで、ブラッドリー・クーパーの頬に
確実に大きめの蚊がとまっていたよな。。。ちょっと気持ち悪かった。
【65点】
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