から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

15時17分、パリ行き 【感想。。。。】

2018-03-03 09:00:00 | 映画


驚くほど退屈で、つまらない。

時計を見る、始まってから1時間が経過している、となると残りは30分だ。いつまでも続く3人の観光旅行の様子に、いったい自分は何を見せられているのかと困惑する。この映画を映画館で観ることを選んだのは自己責任であるが、時間と料金を返してほしい。

90分という短尺だが、この濃度ではそれでもキツく、この内容から何かを感じ取れというのは作り手の怠慢だ。この映画のエッセンスをまとめれば30分で済む映像作品になるだろうし、残りの60分は時間潰しに付き合わされているようだ。

主演の3人を実際の事件の当事者でキャスティングしたのは、リアリティーを狙ってのことだろうか。本作を見るとそれは明らかな失敗であることがわかるし、映画表現として見当違いな判断だったと思う。端役の俳優を含め、プロの役者と素人3人の演技力の差は明確にわかってしまうし、後半に連れて3人の演技がどんどん巧くなっていくものの「がんばったね」で終わる話だ。プロの役者は表現者であり、キャラクターの感情を観客に伝える役割を担う。リアリティーの再現に関しても同じことだ。それができない素人を起用することに、どんな価値があるのだろう。「アメリカン・スナイパー」の「赤ちゃん人形」のときも思ったが、イーストウッド監督はたまに常人にはあまり理解できないセンスを見せる。映画ファン全員が「イーストウッド信者」ではない。

3人の演技を注視すると映画が楽しめなくなるので、途中から気にしないようにする。ところが映画の内容もつまらない。あの事件の瞬間を描くために、特別でない人たちの特別でない人物形成を子ども時代にまで遡り、あそこまで時間を割いて描く必要ってどこにあるのか。そして運命の時間につながる、3人のヨーロッパ旅行の道のりを長々と追いかける。最終的にどれもこれも、事件に関係がないことがわかってズッコける。「普通の人たちの勇気が起こした奇跡」みたいなメッセージが透けるが、「普通」をアピールするために70%の助走は長すぎる。これを「必要なプロセス」と受け取るのは過大評価だ。あと、そもそも映画化に適した事件と思えず、何でもかんでも「実話」を映画化すればよいという話でもないだろう。設定の弱さを「当事者本人を主演に起用」という話題作りありきの企画で乗り切ったとも思える。映画館で観たことを後悔する久々の映画だった。

【40点】

本作を見て注目するのは1つ。「イーストウッド」ラベルによって、凡作が傑作と評される「キネマ旬報」において、本作も年間1位の特等席につけるかどうかだ。さすがに1位は無理でも、ベスト10は確実だろうか。どんな色をつけて絶賛してくれるのか、ある意味楽しみだ。

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2 コメント

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御意! (onscreen)
2018-03-04 09:30:44
本来であれば、もっと3人のバックグラウンド、あるいは第4の人物、それとも最初に事件の発生を嗅ぎつけ機関銃を奪った男のエピソードを絡めるなど、工夫する方法はいくらでもあったような…

大失望の1時間36分でした!
Unknown (らいち)
2018-03-04 15:52:39
onscreenさん
コメントありがとうございます。
日本だとイーストウッド映画のファンの方がたくさんいらっしゃるので、自分のように否定的にとらえる人は少ないと思っていましたが、同じ印象にもたれたということで少し安心しました。
確かに、事件自体は大きくなくても、その背景を水平展開していけば面白くなる要素はあったかもしれませんね。とりあえず自分は、高い映画料金を払ってこれを見せられたことにかなり腹が立ってしまいました。

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