準新作がtsutayaで100円だったので見逃していたDVDをいろいろ観る。
その中で一番面白かった映画があったので、感想を残しておく。
「ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金」。この映画がツボだった。
さっそくBDを購入してしまった。。。
映画は実際にアメリカの西海岸で起きた、筋トレマニア3人組による、
誘拐・強盗事件をベースにしたクライムアクションだ。
ウソのようなホントの話とは、このような事件のことを指すのだろう。
フィクションでも描けないであろう奇想天外な実話の映画化だ。
冒頭、自慢の筋肉を見せびらかすために白のタンクトップを着た、
マークウォルバーグ演じる主人公が疾走するシーンに始まる。
全力で逃げるマークウォルバーグの鼻穴全開ぶりが凄い。目に焼きつく。
映画はその冒頭シーンで感じる、熱、勢い、スピードを保持したまま突っ走る。
その中心にあるのが、後先を考えることのできない単細胞な筋肉バカ3人組である。
「オーシャンズ~」みたいなスマートな犯罪劇とは対極にある犯罪劇だ。
鏡を前にマッチョポーズをとって「どうだ、これが俺様だ!」とイキる。
少し事態が巧く運ぶと「どうだ、俺様はできる!」とこれまたイキる。
勝ち組と勘違いする男たちの行き当たりばったりの犯罪計画だ。当然ウマくいくわけがない。
ほころびで出て、そこからビリビリ破れていく。。。ここまではありがちな映画。
本作に惹かれたのは、バカを燃料に、笑いとアクションで畳みかける痛快劇に仕立てたこと。
アメリカンドリームを半ば皮肉るようなブラックユーモアも加わって、結構な味わいだ。
冒頭のシーンでバッドエンドは予想できる。なのに観終わったあとの後味が悪くない。
これは監督の確信犯的な作りこみによるものだ。
監督は泣く子も黙る天下のマイケル・ベイ。
なのでこの映画、「マイケル・ベイ」というだけで過小評価されているように思う。
いつもの派手な爆破シーンはないものの、撮影ショットの手数に圧倒される。
これがアクションの疾走感に効果的に化けている。撮影技術に長けたベイだからこそ、
低予算、短期間でこれだけの映像が撮れたことは間違いないだろう。
そして、随所に感じるベイのセンスだ。目まぐるしく変わる展開とは裏腹に、
事件の真理を読み解いた結果、彼が導き出した本作に求めるビジョンがブレない。
本作のそれは、大国であり母国でもあるアメリカの実像に迫ったようにも映る。
実際に、事件事態、アメリカじゃなきゃ起こり得ない奇想天外な内容だし。
バカに徹し切った、マーク・ウォールバーグ、ドウェイン・ジョンソン、
アンソニー・マッキーのパフォーマンスが最高に可笑しい。
主役のマーク・ウォールバーグは「テッド」で織り込み済みだったが、
ドウェイン・ジョンソンのコメディセンスが本作では特に冴えている。
教会で賛美歌を朗らかに歌うシーンとか最高に笑えた。凄い美声。
「いつものマイケル・ベイ」が仕掛けたおバカムービーと解釈するには勿体ない。
たぶん、これが無名の若手監督とかが撮った映画だとしたら評価も高かったのでは?
【75点】
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