勤務先でトラブルに巻き込まれヘルパーをクビになった女子が、町を徘徊し、目をつけた老人の家に押しかけ、居候しながら彼らの世話をするという話。新作DVDレンタルにて。
主人公の女子は善意の元に老人たちの弱みにつけ込み、老人たちの懐にスルリと入っていく。その手際が見事で楽しい。そんな主人公に老人たちも最初は抵抗しながらも、次第に心を通わせていく。主人公は何でも器用にこなすことのできるスーパー介護士であると共に、老人たちの孤独に寄り添うことができる。「違う時代を生きてきた人間と同じ時代に生きている」。タイトルの「0.5ミリ」の解釈がなかなか難解で十分に咀嚼できていないが、おそらく人間同士の繋がりを描いているのだと思う。個人的には「老い」というテーマに向き合ったドラマと受け取ったほうがスンナリ観られた。唐突気味に戦争体験までに遡るクダリや、冒頭で縁を持った家族に関わる最後のエピソードが蛇足気味に映るなど、196分の長尺は個人的には長く感じられてしまったが、とても見応えのある寓話だった。エンディングの曲も胸に沁みる。
自らが持つチャームを最大限に発揮した安藤サクラの好演は勿論だが、老人の1人を演じた坂田利夫(アホの坂田)の味わい深さが忘れられない。偏屈で臆病で心優しいお爺ちゃんの姿から、これまでの生きてきた老人の人生が浮上する。監督の演出力の賜だと思うが、素晴らしい存在感だった。
【65点】
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