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リアル鬼ごっこ 【感想】

2015-07-19 09:00:00 | 映画


「何の話やねん!(笑)」と吉本芸人バリにツッコむのか、舞い落ちる羽毛からバタフライエフェクトな話と考察するのか。。。どっちが正解かといえば、後者の理解は無理なので、迷わず答えは前者だろう。

園子温、本作でエログロを復活させる。
だが、彼のエログロ描写だけでは関心しない自分にとっては、かなり物足りない映画だった。園子温映画のピークは「ヒミズ」まで。昨今、オファーを断らず量産するのは良いが、いい加減、あの頃の映画作りに戻ってくれないかな・・・。

「リアル鬼ごっこ」というタイトルだが、その中身は原作とはまったく脈略のない話だ。監督自身、原作を読んでないし、映画シリーズも観ていないのだから、当然なのだが、そのタイト ルをつけることに原作者からクレームはなかったのだろうか?そもそも「鬼ごっこ」な話でもありません(笑)。女子高生たちを駆除するというCMも嘘っぱちだ。

主な登場キャラは女子高生だ。最後の一部のシークエンスを除き、画面はすべて女子たちで埋め尽くされる。その女子たちが突然、目に見えない「風」によって肉体をバサーッと、真っ二つにされる。舞い上がる血しぶきと残された肉片。主人公の女子高生は命からがらその殺戮現場を逃れる。その道中で寄った川辺でも、女子高生たちの死体の山が積まれている。その女子高生たちの姿をみると、無駄に上着がはだけている。。。最後にたどり着いた女子高(「私立女子高等学校」(笑))では、そこに通う女子生徒たちのスカートの丈が短い。いや、丈の短さ以上に、スカートの腰位置を異常に上げているのが気になる。パンツが見えるのは必至となる。ドラマ「みんなエスパーだよ」で味をしめたか、「ダメだよ、もっとパンツが見えるくらいにスカート位置を上げなきゃ」という、AV男優っぽい園子温の女優たちへの卑猥な注文が聞こえてくるようだ。男性のみの視点。この映画、完全に女性層をターゲットから除外している。

いくつもの理解不能なパラレルワールドがシームレスにつながり、その場でその場で、女子たちの女子たちによる女子たちへの殺戮&バトルが繰り広げられる。その描写の動機らしきものも全く描かれない。おかげで展開がまったく予想できないのだが、見終わって結局どのシーンも同じだったな、と思えてしまう。残酷かつシュールな映像の連打。一応、そのネタばらしが最後に明かされるが、とうてい納得できるものではなく、監督本人もそこに深い意味をもたせていない。描きたいのは、エロとグロなのだ。うーむ、退屈。

映画の味気なさのなかに、主人公演じたトリンドル玲奈の予想外の熱演が光る。彼女のパンチラはさすがに事務所からNGが出たようであるが、そのトレードオフともいえる描写が用意されている。ただ、ここもどうでも良い。恐怖に慄き、血まみれになりながら必死の形相で逃げ惑う彼女の姿は「熱演」という表現が相応しい。走るシーンも非常に多く、棒キレのように細く、筋肉を持たない彼女の脚力では、体力的負担は大きかったと思う。他の篠田麻里子、真野恵里菜はトリンドル玲奈の添え物程度の扱いで気の毒。期待の女優として個人的に注目していた高橋メアリージュンも端役過ぎて勿体ない。

しかし、本作で思わぬ収穫があった。主人公の親友役を演じた桜井ユキの存在だ。綺麗で妖艶にも見える口元が最高にチャーミングだ。演技の巧さという点においてはトリンドル玲奈を完全に食っている。彼女のWikiも立ち上がっていないほど、女優としてのキャリアは少ないようだが、今年に入って、連チャンで園子温が彼女をキャスティングしているとのこと。お願いだ、パンチラ映画ではなく、女優としての真価を問うような映画で彼女の才能を開眼させてほしい。今後、彼女は要注目だ。

後半で登場する斉藤工の使い方は非常に面白かった。ムチ ムチツルツルのボディに白のブーメランパンツ。「男優か!」とタカトシばりにツッコんで、1人爆笑するのだった。

【60点】

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