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レゴバットマン ザ・ムービー 【感想】

2017-04-08 08:00:00 | 映画


想定率150%。まさか、ここまでやってくれるとは(感動)。たい焼きで例えるなら、餡がはみ出しちゃってるほどの大サービス。前作のウルトラCに負けず劣らずの出来栄え。いや、中身の充実度でいえば本作のほうが上かもしれない。ストップモーションアニメ(風)とは思えないド迫力アクションに発奮し、矢継ぎ早に繰り出されるギャグとパロディに笑い、バットマンの真価に迫ったストーリーに唸る。もう面白いが止まらない。「パスワードは?」→「アイアンマンのバ~カ!」(笑)。

ゴッサムシティで自警に励むバットマンの宿敵(?)、ジョーカーのまさかの自首をきっかけに起こる騒動を描く。

過去の2つの映画によってバットマンと壮絶な戦いを繰り広げたジョーカーだ。バットマンの最大の敵といえば、ジョーカーを上げるのが順当だろう。しかし、今は違う。バットマンは昨年、スーパーマンと戦ったばかりで、その圧倒的な強さに打ちのめされた(だって相手は人間じゃないもん)。なので、バットマンにとってジョーカーなんて、もはや眼中にない。本作でバットマンからその告白を聞いたジョーカーは、ライバルと認知されないことに嫉妬と悲しみを覚える。

一方のバットマンは孤独を抱えている。ゴッサムシティのヒーローとして正義をかざし、悪を鮮やかに退治し、市民から喝采を得る日々。その華々しい表(裏)舞台とは逆に、家に帰れば、執事のアルフレッドが待つものの、大邸宅で何をするのも1人の生活だ。本作によってバットマンのリアルな私生活が明らかになったようだ。当の本人は、スーパーヒーローには孤独がつきものと、寂しがる様子は全くないが、「家族を持ちなさい」とアルフレッドが彼の将来を憂えるのも納得だ。レンジで好物を温めるシーンが無駄に長尺で爆笑。孤独が骨身にしみるじゃないか。

バットマンは自警のヒーローだ。警察による悪人逮捕を手助けするが、連携することはないし、誰かにコントロールされることもない。また、悪を退治することが彼の役目ゆえ、悪がいなくなれば彼の活躍の場はなくなり、不必要な存在となる。本作では、盟友ゴードンの退職と、バットマンにフラれたジョーカーの恨みによって、これまでのバットマン映画にはなかった「もしも」の事態が描かれる。そこで見えてくるのはバットマンの真価だ。「ウォッチメン」や「スーパー!」で感じたヒーロー観の考察に近しいものがある。そうしたヒーロー像を語るのに半ば反則的な話も多いのだけれど、カラフルでキュートなレゴというビジュアル世界では許容されてしまう。本作はその自由を自覚し、大いに楽しんでいる。

「自由」の点で目を見張るのは、あまりにも豪華な登場キャラクターの数々だ。DCコミックスのヒーロー総出演だけでも驚いたのに、ワーナー映画の過去の敵役たちが映画の枠を超えて総出演したのにはド肝を抜かれた。半魚人、グレムリン、キンゴンコングといったモンスター系にはじまり、マトリックスのエージャントスミスに、ハリポタのヴォルデモート、そして、「目」しかないLOTRのサウロンまで登場する。まさにレゴだから実現できたこと。なおかつ、凄いのは単なる賑やかし要員に終わらせず、それぞれの個性を劇中で機能させていることだ。もう見事としか言いようがない。

劇中、常にしゃべくり倒し、激しいスピードで絵が切り替わっていく。その情報量はかなりのもの。バットマン映画としてアクション描写も手抜きなく、スリリングでかなりダイナミック。アホとシュールを兼ね備えたギャグと、映画ファンが喜ぶ過去作のイジリ倒しパロディも満載だ。1回観ただけでは、本作の仕掛けをすべて消化しきれない。パッケージ化されたら絶対に買いだ。よくもまあ、こんな映画作れるな~と、爆笑しながらも感動してしまった。

不必要なほど深読みして見るも良し、脳ミソを空っぽにして見るも良し。大満足だった。

【80点】