から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ベイマックス 【感想】

2014-12-26 09:00:00 | 映画


「ガーディアン~」でコケたものの、やはりディズニー映画は強い。今週発表された先週末の興収結果を見たら、「妖怪ウォッチ」の天変地異な大ヒットに隠れながらも、6億超えという物凄い結果を確実に残してみせた。いまや日本の洋画市場において、ディズニーを超えるものはディズニーしかいないという状況。嬉しいのか、悲しいのか。。。

で、「ベイマックス」を観た。
兄を事故で亡くした少年が、兄の忘れ形見である、癒し系ロボット「ベイマックス」と共に、世界を滅ぼそうとする(?)歌舞伎マンに立ち向かうという話だ。
まず、目を見張るのは物語の舞台となるサンフランシスコと東京をミックスしたという街並みの面白さ。登場人物たちの衣装と同様 に、その色使いはポップでカラフルだ。心躍るその街並みをジグザグと縫うように飛び回るシーンにテンションが上がる。「アイアンマン」で観たようなアクションが続くが、アニメーションでしか生み出せない描写に溢れ、どれも新鮮に映る。これを観るだけでも劇場で観る価値があったというもの。

映画の中身は、噂通り日本版の予告編から察する「ハートフルドラマ」というより、「アクション活劇」という表現が適当だろう。しかも、かなりのド直球な内容で、意外な程シンプルなストーリーラインだった。「憎しみではなく、優しさが世界を救う」という普遍的なメッセージが明確に打ち出されるが、これを「力強い」とみるか、「物足りない」と見るかで評価は分かれそうだ。自分はやや後者寄りに感じた。昨今のディズニー映画の脚本レベルからすれば、もっと大人が深読みして楽しめる要素や、意外性があってもよさそうだが、本作においてはそれが薄い印象だ。ベイマックスが暴走するシーンに一瞬、その手ごたえを感じたが、優等生な軌道修正で終わってしまう。ディズニー映画で楽しみにしているユーモアも、ベイマックス1人(1体)のチャームに内包されてしまったのも勿体ない。ユーモアだけでなくドラマ性においてもベイマックスに依存し過ぎていたかも。バラエティ豊かなキャラが登場するので、なおさらそう感じてしまう。同系アニメで比べると、個人的にはやはり「Mr.インクレディブル」に軍配が上がる。

とはいえ、ディズニーアニメに対する勝手な先入観を除けば、最高品質のアニメ ーションであることは間違いなし。本作における「ド直球なアクション」の面白さはクセになりそうだ。強大な敵VS6人戦隊、この構図だけでも白飯が進む。それぞれの特異能力が発揮され、連動し、結集する様は、1つの事を突き詰めるオタク精神を肯定し、その前提にある個性を肯定する。それを讃えるかのように、アクションはダイナミックに昇華していく。思わず体が前のめりになる。

ディズニー配給映画ではすっかり馴染みとなったタレント起用による声優のミスキャスティングは本作でも健在。菅野美穂は菅野美穂である(苦笑)。ディズニーでは、声優のタレント起用においてもオーディションをしていると聞いたことがあるが、その選考基準はあってない ようなものなのだろう。ネットに書き込む一部の映画ファンのクレームなんて、どこ吹く風。映画がちゃんとヒットしているので、彼らにとっては何の問題もないのだろう。その豪腕ぶりもディズニーならではか。

マーベル原作ということで、いつものキャラが出てくるが、鑑賞ターゲットに子どもが多くを占めるアニメ映画にあって全く不要だったと思う。一緒に見に行った子どもがポカンとしていた。

【70点】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ある過去の行方 【感想】

2014-12-26 00:57:42 | 映画


ある過去の行方 【75点】
傑作。1人のフランス人女性を軸に、前々夫の間にできた子ども、前夫、現パートナーとその連れ子という、3つの縁で同居することになる1組の家族を追った物語。「何が引き金になり、何が起こったのか」、本作で語られる真実は1つであったはずだ。しかし、家族の中に渦巻く個々の感情、思惑によって、いつしか真実の形は歪められていく。過去に囚われ、過去に翻弄される人たちの行方を重厚かつ、隙のない筆致で描き出す。人間の心理とそれに伴う行動を鋭く見抜いた演出、そこに醸し出される空気の作り方に思わず唸った。同監督の前作に続き、印象的だったのは登場人物すべてが当事者であるという視点。通常大人の動機に過ぎないような幼い子供ま でも、その存在感を当然のように主張してみせる。伏線の張り方も緻密で謎解きサスペンスとしても見ごたえあり。監督アスガー・ファルハディってやっぱ凄いんだなーと。主人公演じたベレニス・ベジョの熱演も光る。


カムバック! 【65点】
少年時代に「サルサ」でダンス界を席巻しながらも、いじめをきっかけにダンスをやめた中年男が、会社の女上司にモテたいがために、再び復活を遂げようとする話。海外での評価が低かったので期待していなかったが面白かった。サルサは情熱を表現するダンスであり、迷いなく自分に陶酔し、そのパフォーマンスを誇示することで実現する。主人公の奮闘物語に留まらず、かつての輝きを取り戻す成長物語として描いているのがよい。クライマックスではちゃんとカタルシスを感じさせる。いつもムサ苦しいイメージのニック・フロストが、本作では憎めないチャーミングなデブ男を好演。できればもう少し練習を積んで代役なしの激しいダンスシーンを魅せてほしかったか。


ザ・ホスト 美しき侵略者 【40点】
ズッコケが止まらない2時間。地球外寄生体に人間が乗っ取られた近未来を舞台に、残された人間たちの葛藤を描く。話のプロットが「寄生獣」に酷似している。主人公の女子は寄生体に乗っ取られながらも、不完全だったために、1つの体に2つの人格が同居する状態になる。「寄生獣」は主人公(人間)を軸に寄生体が纏わりつく形だが、本作は逆のパターンだ。本作での寄生体の目的は人間の駆逐ではなく、地球平和という嫌悪感のないもの。むしろウェルカムだ。「寄生されたらいいじゃん」のまま、女子に残った元の人格と、生き残った人間たちが悪あがきをする。この釈然としない感じは「トランセンデンス」に近いか。2つの人格の描き方も、落語のように主人公の脳内で同じ声質の2人が掛け合いをするだけで、どうにもテンポが悪い。生き残りをかけたドラマが展開すると思いきや、中盤から若い男女の恋愛物語に変貌。これがなかなか、しょーもなくて酷い。SFとはいえ、人の描き方がとても不誠実であり、「ガタカ」のアンドリュー・ニコルは何処に。無駄に疲れた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする