から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ホビット 思いがけない冒険 【感想】

2012-12-15 12:52:57 | 映画


2001年~2003年に3部作として公開された「ロード・オブ・ザ・リング」は
映画史に新たな金字塔を打ち立てた。

自分にとっては神映画。
「好き」という次元を超えた特別な映画だ。

最終章となる「王の帰還」は、オスカー11部門制覇という快挙を成したように、
文句のつけようのない結末で壮大な物語を締めくくった。
ファンタジー映画というジャンルで、
これほどまで称賛された映画は後にも先にもないだろう。

それはもはや伝説であり、本作は3部作で完全燃焼したはず。。。
なのに続編(というより前日譚なのだが)ってどうなのよ?って
個人的に思っていたが、その不安は見事に一蹴された。

新シリーズ「ホビット」は、ピーター・ジャクソンという監督が
無二の映画人であることを再証明するには充分過ぎる映画だった。

感無量。
「ロード~」を初めて観たときのワクワクして体中がシビれた感覚が蘇った。

本作はロード~の劇中、昔話として少し語られていた、
主役のフロドの養父であるビルボが60年前の若い頃に体験した冒険の物語だ。

サブタイトルの「思いがけない冒険」とは良く言ったもので、
平和と安定を愛するホビット族のビルボが、まさに思いもしなかった壮絶な冒険の旅に出る。

物語の起点となる歴史的背景が壮大だ。

ロード~では「ギムリ」としてサブキャラだったドアーフ族が、本作のメインストリーム。
彼ら一族が、ありあまる金銀財宝を有し栄華を極めていた頃から物語が始まる。
ドアーフ族たちの生き生きとした姿、彼らが住む地底宮殿の煌びやかで豪華な装飾と
とてつもないスケールにのっけから目を奪われる。
その後、財宝に目がくらんだ王、財宝に魅了され襲いかかる強大で邪悪なドラゴン、
美しく幻想的なエルフ族との確執・・・等々、怒涛のように歴史が変遷する。

開始10分足らずで「中つ国」に引きずり込まれる。

ロード~と決定的に違うところは(今のところ)「人間」が出てこないことだ。
すべて想像のキャラだけで物語が進む。
人間という、ある種のリアリティがなくなったことで、よりファンタジー色が強くなった。
魅せる演出、楽しませるためのユーモアがロード~よりも多い気がした。
荘厳で深いドラマだった前作と比較されるのは避けがたいので
その点を好意的に受け止められるか、否定的に受け止められるかで、
評価は分かれそうだが、自分は大いに共感し、楽しめた。

ドアーフ族一行、ビルボ、ガンダルフと、彼らが進む旅路には
ニュージーランドの雄大で美しい風景がどこまでも広がる。あぁ惚れ惚れ。
エルフ族の里やオークの巣窟など、CGで作られた風景も息を呑むほどに圧巻。
ヨダレものの映像の数々。その魅せ場には際限がないほどだ。

多種多様なクリーチャーと魅力的な新キャラたちも楽しい。
中でも「灰色の魔法使い」のガンダルフとは別に登場した、
動物たちと会話し森の秩序を守る心優しき「茶色の魔法使い」が素敵だった。
小さく可愛い兎たちの乗り物と、醜く獰猛で残忍なオークとのスピード勝負が秀逸。

息継ぎのない展開でありながら、置き去りにされないドラマも健在。

自分が勤める会社の女子に、すこぶる人気のある海外ドラマ「シャーロック」の、
主人公ビルボ演じたマーティン・フリーマンは特段面白みがなかった。
しかし、クセがなく凡人であることを見せられたという点で
彼のキャスティングは成功だったのかも。
ロード~に続き、登場するゴラムの表情の豊かさたるや。
演じたアンディ・サーキスの偉大さを再認識する。

物語の展開に一喜一憂して、手に汗握って興奮して、喝采して。。。
観ている間、完全に本作に埋没してしまった。

ピーター・ジャクソンという人は何と情熱的で、
映画に対して献身的なのだろうと思う。

大スクリーンと大音響という環境で映画を観ることの楽しさを、
久々に味わわせてくれた本作。何とも贅沢な180分だった。

下半期「アルゴ」以来の2発目のホームラン。

アメリカでは評価、興行収入ともに伸びなかったようだが、
自分はモロタイプ。

これだから映画はやめられない。

【95点】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする