そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『右脳思考』 内田和成

2019-05-04 20:39:37 | Books
 
Kindle版にて読了。

「好き/嫌いで仕事をするな」「勘や経験に頼るな」とは仕事をする上でよく言われることだが、果たして本当にロジカルシンキングのみに頼って仕事をすることが正解なのだろうか?
時には勘に頼って判断をしたことがうまくいったり、ロジカルには正しくても顧客や上司・同僚・部下が感情的理由で賛同してもらえないがゆえに上手く進まなかったりすることはよくあることだ。
ロジックだけでなく感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める、あるいは、成果をあげることができるはず、という本。

まあ、ビジネスの世界に生きる者としては普段当たり前に実践していることではあるのだが、こうして改めて殊更に論じられると、それはそれでよい整理にはなるなと。
例えば次のような点など、

・ロジックでは明らかに自分たちに分があるにも関わらず反対される場合、どのような感情がそうした言動に結びついているのかを見極める必要がある。ここで注意すべきは、こちらは感情と思っても、相手は理屈と思っている可能性があるということ。大事なことは相手がこちらの言っていることや提案に対して、感情ではどう思っているのか、さらに理屈、すなわちロジックではどうなのかを両面で理解すること。感情でも反対であり、理屈でも反対の場合、逆に感情では反対だが理屈では賛成の場合、感情では賛成だが理屈がついていっていない場合など、さまざま考えられる。

・理屈に合わないから採用しないというのではなく、なぜそう思うのかをあらためてよく考えてみるとよい。感覚で思ったことを、理屈で説明できたとすれば、その感覚は正しかったということになる。人間が本来もっている 「うまく説明できないが、なぜかそう思う 」という感覚を、繰り返し意思決定に取り入れることで、次第に間違いが少なくなっていけば、意思決定の質を高めることになる。
逆に、勘でおかしいと思ったことを他人にわかるように説明できないとビジネスパ ーソンとしては通用しない。何が気に入らないかを、自分で考えてみる必要がある 。

・筋が通ったことを言っているのに、理屈にならない理屈でやり込められそうになった場合、理屈で反論するのではなく、
①左脳で (論理的に )文字通りに何を言っているか理解する、
②右脳 (直感 )で発言の 「真の意図 」をつかむ、
③右脳 (直感 )で何をどのように答えればよいか理解する、
④左脳で (論理的に )どのように伝えればよいかを考える、
という4つのステップで議論や商談を進めるとよい

人がアイデアや戦略を理解し「腹落ち 」した上で実行に移す、あるいは上司が提案・企画を十分に理解・納得した上で 「会議 」で通すためには、論理性、ストーリー、ワクワク・どきどき、自信・安心を与える、という4つの要素が必要となる。論理性を除く3つは相手の右脳に訴えるものだ。

巧みなストーリーには次の要素が必要。
立体感:言葉だけではわかりにくい新しい製品やサービス、あるいは仕事の進め方を知らない人でも頭にイメ ージが浮かぶような状態
現実感:知らないことや実行したことがないことでも、なるほどそういうふうに進めれば実現できそう、あるいは世の中に存在しそうであると感じる状態
安心感:当事者たる人間が、それなら自分でもやれそう、あるいはやってみても大丈夫、さらにはやってみたいと思うような状態

・自分がどんなことには勘が働き、どんなことには勘が働かないかを、まず自覚しておくことが大切。

・自分自身を「腹落ち」させるために、自分の中に問いかける。なぜ面白いのか、それは他の人にも面白いのだろうか。あるいは、つまらないとしたら、なぜつまらないのか。他の人はどうだろうか。うれしいとしたら、それはどうしてだろうか。怒りを感じるとしたら、それはなぜか。自分の感情をまずは素直に感じ、そう感じる理由を分析してみる。その次にそれをもとに行動を起こせばよい。

・上司に「おまえの提案は、思いつきだろう」と非難されたら、こう答えればよい。
「はい、思いつきですが、ロジカルチェックもしましたから、大丈夫です」

いずれも普段無意識にやっていることだが、意識してやれば効果は上がるかもしれない。
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