ちょっと日が経ってしまったけど、1月30日日経新聞朝刊「経済教室」より、藤田正久・経済産業研究所長、小林慶一郎・同研究所上席研究員の論文から以下メモ。
バブル発生の構造的原因として、米MITのリカルド・カバレロ教授が提唱する「資産欠乏説」を解説。
近年、中国や中東産油国など多くの新興国で産業が発展し、フローの所得(国レベルでは国内総生産)が増えるようになった。だがフローの所得を蓄積し、保蔵するための良質なストックを新興国は供給できていない。市場環境(法制度やビジネス慣習)の成熟度やその国の政治的・社会的な安定性などに資産の質やリスクが大きく左右されるからだ。例えば政治的な理由で政府が資産を接収するリスクがある国では、その国の国民も自分の財産を国内に投資しようとは思わないだろう。このため、特に政治や法制度が不安定な新興国では、産業が発展して所得水準が向上しても、良質な資産市場が形成されないことが多いのである。
新興国での資産の欠乏に加え、決済通貨としてのドルの絶大な魅力が加わり、米国の資産に世界中の投資家の資金が集中した。それが米国の巨大な経常収支赤字の原因にもなった。グローバルに見れば、良質な資産の総供給量に比べ、資産への投資需要の総量が過剰だった。これが近年の世界的な金利低下の一因となった。また、グローバルな資産欠乏は欧米諸国の資産市場への負荷を高め、近年、米英などで住宅バブルを引き起こしていた。これがカバレロ教授の資産欠乏理論である。こうしてできた住宅バブルが崩壊し、今日の金融危機に至ったとの説明は説得力を持つ。
中国や中東産油国などの新興国が採り上げられているけど、内需主導型の経済を実現できていないという点では日本も同様でしょう。
「貯蓄から投資へ」というスローガンも、このような理論を背景にしてみると、新たな説得力を帯びるように思えます。