珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

宮部みゆき「きたきた捕物帖」を読みました

2023年11月21日 | 読む

久しぶりに、一冊まともに読みました。

何を読んでも、2、3ページで嫌になって放り投げていた私に最後まで読ませるとは、さすが宮部みゆき様です。

そもそも図書館で何か借りようと思ったこと自体、2年ぶりくらいでしょうか

そんなことはどうでもいいんですが

 

主人公の北一は、3歳の時、親とはぐれて迷子になっているところを岡っ引きの親分に助けられました。

そして、そのまま居ついて16歳、親分の副業、文庫売りを手伝っています。

それが、ある日、親分がフグの毒に当たって急死、突然一人立ちしなければならなくなってしまいます。

そこで、ほそぼそと文庫売りをしながら、盲目でありながら、世間を熟知している亡き親分のおかみさん、それに、長屋の差配やら、知り合った武家侍やらに助けられながら成長していくお話のようです。

親分の朱房の十手は相応しい子分がいないということで、どの兄貴分にも渡っていません。

北一は、ひょんなことで知り合った風呂屋の釜焚きの少年喜多次の助けで、いくつかの事件の解決に役立つことができました。

そして、北一はだんだんとその十手を手にしたいと思うようになります。

やせっぽちでうすらバカと思われている喜多次は、実はとてつもなく強い謎の少年です。

「おいらお前と一緒に岡っ引きの真似事、岡っ引きの修行みたいなことをしてみたいんだけども」

そう喜多次に言いたいのですが、なかなか言い出せません。

でも、題からして「きたきた捕り物帖」ですから、そうなっていくのでしょう。

「2」がとても楽しみです。

図書館の順番待ちは300人以上ですけど。

でも、27冊ありますから、思ったより早く読めるかも。

 

 

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エッセーは、年齢が関係するわね

2017年04月27日 | 読む

タイトルに魅かれて、辻村深月さんの「図書室で暮らしたい」というエッセー集を読んだ。

いや、実際は途中で読むのを止めてしまった。

実はこの方を存じ上げなくて、読み始めてから私より30才もお若い方だったと気がついた。

内容は、育児ネタが多くて、すぐに飽きてしまった。

私だって育児は経験したけれど、あまりに遠い昔のこと、

今更、いいわ。

「図書室で暮らしたい」と言うタイトルは、

お友達か誰かの言葉が気に入って使わせていただいたそうだ。

本は、特に作者の生活が色濃く出るエッセーは、年齢が関係してくる。

自分とあまりに年齢差のある人の書いたものは興味が持てない。

うっかり借りてしまった私が悪いのよ。

子育て中のママが読んだらきっと面白いのではないかしら。

 

でも、タイトルに騙された感はあるかな~~

 

 

 

 

 

 


食堂のおばちゃん

2017年04月25日 | 読む

山口恵以子さんの「食堂のおばちゃん」を読んだ。

姑と嫁が仲良く営んでいる食堂のお話。

二三(ふみ)は、デパートの腕利きバイヤーだったが、

10年前、夫が53才の若さで突然亡くなったのを機に退職、

それ以来、夫が残したはじめ食堂を、姑一子(いちこ)と二人で営んできた。

幼かった娘は小さな出版社の編集者となり、

はじめ食堂は、大きな収益はないまでも、家庭料理の店として常連客に愛され

無くてはならない店になっている。

 

そこに集う人々に起きる小さな事件、1時間ドラマを見ているように読める。

作者はもともとドラマのシナリオを書いていた人だそうだから、納得だ。

悪い人がいない、悪く見えても根は悪い人じゃない、良い人ばかりで

物足りないかも知れないが、安心して読める。

北朝鮮の暴挙や現金強奪など、嫌なことが続いている時には

こういうホッとする読み物が良いわ。

 

そうそう、出てくるお料理がどれも美味しそう~

 

 

 

 


おばちゃん街道

2017年03月26日 | 読む

山口恵以子さんのエッセー集「おばちゃん街道」を読んだ。

山口さんは、2013年に「月下上海」という魅力的な題名の作品で

松本清張賞を受賞している。

受賞者が食堂のおばちゃんだというのでかなり話題になって、

お、読んでみたいと思ったけれど、

お金持ちの令嬢が戦時下の上海で恋と陰謀の大冒険する、らしいので、

なんか違うかな~という感じで読んでいない。

 

でも、食堂のおばちゃんの魅力は捨てがたく、

さらに、このエッセー集の「小説は夫、お酒は彼氏」という副題にも魅かれて読んでみた。

読み始めると、酒やら、猫やらの話題が続いていささか辟易、でも、お酒は彼氏なんだからしかたがないかと

かなり我慢しながら読んでいくと、やっと面白くなり始めた。

彼女の生い立ち、家族、人生を一変させた松本清張賞受賞に至るまで、

その後の激変した生活が、生き生きとしたやさしい文体で書かれていて、

そこかしこに、周囲への感謝の気持ちが溢ているのが心地よい。

彼女の成功が、幸運だけでなく、自分で引き寄せたものに違いない。

とても面白かった。

 

表紙の猫ちゃん、多分山口さんの愛猫ポニーだと思うけれど、見事に演技してますよね。 

 

 

 

 

 


山怪、ナビの策略

2017年02月07日 | 読む

田中康弘著「山怪」を読んだ。

帯には「山で働き暮らす人々が実際に遭遇した奇妙な体験」とある。

ネットのどこかで紹介されていた本だ。

私は興味を持ったけれど、そういう人はさほどいないだろうと思って

図書館で予約したら、半年以上待った。

意外に読みたい人が多かったようだ。

著者が日本中を歩いて、マタギ(猟師さん)の方々の体験談を集めたものだ。

ある日山で行方譜目になった人があり得ない場所で発見されたが、本人は何も覚えていない

昨日までなかった道が現れて、翌日には消えていた、など、

不思議な話が集められている。

 

その中に筆者自身が体験した「ナビの策略」という話がある。

丹波篠山で取材を終え、ホテルへ向かっているときのこと。

そのホテルは初めてだったので、ナビに頼って車で走った。

途中の分かれ道で、自分が予想したのと違う道を行くようにナビが指示した。

変だなと思いつつも、近道があるのだろうと従った。

ところが、だんだんと道は狭くなり、民家が無くなって行く。

不安になりながらもナビ従っていたら、遂には車1台がやっとというところまで来てしまった。

それでもナビは道なりに進めと言い続ける。

 

どう考えてもおかしいと、少し広い場所までバックし、

そこで何度もハンドルを切って、方向変換した。

真っ暗な中、恐怖に震えながら

車のライトだけを頼りに、片側は崖の道を何とか引き返した。

そしてやっとホテルへたどり着いた。

その間もナビは、元の道へ戻れ戻れと叫び続けていた。

翌日、PCの地図を広げて、あのまま進んでいたらどこへ行ったのか調べてみると

山の頂上だった。

ナビに悪霊が乗り移ったかのような話だけれど、

山道でナビが狂うというのは実際によくあるそうだ。

衛星からの電波が届かなくなるのだろう。

それなら沈黙しているばいいものを、迷惑な話だ。

私なら、パニックだろうな。

 

多くの山の怪異は、ちゃんと調べれば説明のつくものなのかもしれないが、

そうと言えない物も多いそうだ。

そういう怪異の話は、ゲームに夢中の孫に語り聞かせることもなくなって、

忘れ去られていくばかりだそうだ。

 

 

 

 

 


吉田修一さんの「さよなら渓谷」を読みました

2017年01月23日 | 読む

吉田修一さんの「怒り」が面白かったので、同じく吉田さんの「さよなら渓谷」を読んだ。

数年前に若い母親がわが子を橋から投げ落とした事件があったが、

それをもとにしているのかなと思いながら読んだ。

その事件からどういう風にストーリーを作ったのだろうと、興味深かったのだけれど、

途中で焦点が事件の主人公の母親でなく、隣人夫婦に移って行った。

どうやらこの物語の主人公はこの夫婦らしい。

一人の雑誌記者が彼らに興味を持ち、彼らの過去を探っていくのだが、

結果は途中で想像できてしまった。

そもそもその夫婦の隠された謎の関係に興味が持てなかったこともあって、

最後の方の三分の一は斜めに読み飛ばして終わった。

同じ作者だからといってすべて面白いとはいかないものね。

 


「怒り」を読みました

2017年01月19日 | 読む

昨年映画化され、話題になった「怒り」を読んだ。

大分前に図書館に予約をいれておいたのが、順番が回って来た。

最近本を読み始めるとすぐに飽きてしまって、読まずに途中で返すことが多かったので、

やっと順番が回って来たのに、なんだか気が重かった。

上下2冊、同時に来たのが更に恨めしい。

でも、読み始めたら引き込まれて、2冊を二日で読んでしまった。

読書能力が低下し続けてるので、完読できたことが嬉しい。

 

ある暑い日、立川で一組の夫婦が惨殺された。

犯人はすぐに特定されるが、逃亡したまま行方が知れない。

その犯人の特徴を備えた3人の若い男が、それぞれ関係のない3つの場所に現れる。

千葉、沖縄、東京

彼らはそれぞれ周囲の人々とつながりを持ち、人間関係を築いて行く。

ところが、未解決事件の犯人を捜すテレビ番組で、犯人似顔絵が公開されたことで

彼らの周囲にさざ波が立ち始める。

何となく似ていると気づき始めたら、疑いは疑いを呼ぶ。

愛し始めた男は殺人犯かも知れない。

信じたい、信じていいのか。

この3人の中の誰が犯人なのか、それとも別の誰かなのか。

 

意外な形で事件は解決する。

3人の男が何者であったかも解き明かされる。

結末は、きっとハッピーエンドなんだろうな。

久しぶりに少し涙ぐんでしまった。

 

 

 


久しぶりに、エラリー・クイーン

2016年03月05日 | 読む

久しぶりに、エラリー・クイーンを読んだ。

「恐怖の研究」なんて恐ろし気な題名だけど、そう、恐ろしいのよ。

 

新たな小説の筋書きに呻吟するエラリーの元に、謎の女性から封筒が届けられる。

中には古い原稿が入っていた。

この忙しい時に・・・と迷惑がるエラリーだったが、読んでみると、

何と、シャーロックホームズの友人にして相棒のワトソン博士の書いた原稿らしい。

しかも、ロンドンを震撼させた連続殺人鬼、切り裂きジャックを追った記録だったのだ。

ホームズの活躍した時期と、ジャックがロンドンで連続殺人を犯した時期は重なっている。

偉大な探偵ホームズがその犯罪に無関心だったはずはない、とは思うのだが・・・、

信憑性を疑いつつも読み進めると、紛れもなく、ワトソン博士の手で書かれたものと

信じざるを得なくなる。

 

ある日、ホームズ宛に送られてきた外科手術器具のケースを切っ掛けに、

ホームズとワトソンは、切り裂きジャック事件に巻き込まれていく。

 悪臭漂うホワイトチャペルを血に染めて、切り裂きジャックと呼ばれた殺人鬼。

ホームズとワトソンは、ジャックの正体を暴くことができるのか?

このワトソン博士の原稿が、なぜ発表されなかったのか?

謎の女性は誰なのか?

最後に、エラリーが、ホームズの推理を覆して無能呼ばわりしたらどうしよう、

不安がいっぱいだったけれど、それは杞憂で、

エラリーは偉大な探偵へのリスペクトを新たにする。

よかった、私もほっとしたわ。

 

今では、ホームズといえば、

ベネディクト・カンバーバッチを思い浮かべる人が多いかもしれないけれど、

私のホームズは断然、ジェレミー・ブレット。

エラリーが読む原稿のホームズの会話部分を、

吹き替えの露口茂さんの声で読もうとしたけれど、やはり違和感がある。

書いているのはコナン・ドイルではなく、作家のエラリー・クイーンだもの、

それは仕方がないわね。

 

 

 

 

 

 


誕生花 

2016年02月25日 | 読む

「366日誕生花の本」瀧井康勝著、という本を図書館で借りた。

最近読んで面白かった「シクラメンと見えない密室」柄刀 一著の

参考文献リストに並んでいた。

 

その本によると、私の誕生日3月13日の誕生花は

野萱草 (のかんぞう)、野原でよく見る百合のような花。

地味だな~、

バラや桜までは望まないけど、もう少し華やかなのが良かったな~。

でも、説明によると、夕菅 (ゆうすげ)と同じ仲間のようだ。

 立原 道造の詩「ゆうすげびと」のゆうすげ。

ちょっと、嬉しいかも。

花言葉は

「愛の忘却」

忘却なのね・・・まあ、いいか。

 

それで、ぱらぱらめくっていると、

ゴボウ?

3月29日はゴボウなの?

意外だ、だって、ゴボウは日本にしかないと思っていたから。

読んでみると、日本にしかないわけじゃなくて、野菜として食べているのが日本だけで、

ヨーロッパでは薬草と扱われているのだそうだ。

ゴボウといっても花だから、あのいつの間にか服にくっついているトゲトゲのような花。

花言葉は

「いじめないで」

・・・

 いじめてやるー、たたきゴボウにしてやるー!

 

さらにパラパラすると、8月27日の「ぜんまい」。

地味すぎるわ~。

でも、花言葉は

「夢想」

渦巻きを見ていると美味しい煮物を想像しちゃうわね。

 

7月29日のサボテン

花言葉は

燃える心

まあ、サボテンといえば熱い砂漠だけど、ぴんと来ないわ。

 

一番悲惨なのは、2月28日のわら

わら・・・

わらよ、わら

あんまりじゃない。

他になかったの?

それで、花言葉は

一致協力

まあ確かにね、1本じゃどうしようもないものね。

それに、わらで「愛の誘惑」なんて花言葉だったらおかしいよね。

だけど、花はどこ?

 

366日すべてに花を振り分けていくわけだから、大変だ。

中にはハズレがあっても仕方がないかも。

 

でも、誕生花には諸説もろもろあって、

2月28日も他の説では、月桂樹、すみれ草などあるから、

自分が気に入った説をとればいいのよね。

 

まじめに読もうと借りたのに、

わらを見た瞬間、読み方が変わっちゃった(笑)


「バンのみやげ話」

2013年02月05日 | 読む

中学校の頃、「バンのみやげ話」という本が大好きだった。

図書室で借りて読んだ。

著者は「コタンの口笛」の石森延雄さん、挿絵はやなせたかしさん。

今はもう絶版になっているらしい。

少し前に「旅の短篇集」を「春夏編」、「秋冬編」と続けて読んでいて、

どことなく似ているような気がして、思い出したのだ。

旅人バンの、中東やヨーロッパの国々を旅して人々との出会いや垣間見た風景などを

描いているのだけれど、1ドル360円の時代だ。

一般庶民が海外旅行にでかけるなんて夢だった

だからなおさらのこと、外国を旅することへのあこがれは大きくて、

バンの旅の話を、わくわくしながら読んだ。

ぺージをめくるたび、異国の風が吹いてくるようで、なんとも魅力的だった

 

娘が小学校の高学年になったころ、自分が好きだったその本を読ませたくて買って与えた。

私が読んだのとまったく同じ表紙、手に持った感じも同じ本だった。

彼女の部屋の本棚に、まだ並べてある。

それを手にとって、懐かしさにぱらぱらめくってみた。

そして奥付きを何気なく見て、しばし呆然としてしまった。

昭和50年11月24日第1刷発行

昭和55年8月27日第2刷発行

となっている。

それがどうしたのかというと、

娘のために買ったこの本が昭和55年発行の第2刷なのは当然だ。

 なら、私が読んだのは昭和50年発行の第一刷ということだろうか。

でも、その頃、私はもう結婚していて、娘も生まれていた。

どういうことかしら?

その前に違う出版社からでていたなら、装丁が違うはず。

中学生の時読んだというのは、私の記憶違いなのかしら?

だとしても、大人になって結婚までして、児童書を図書館で借りて読むだろうか?

しかもその記憶がないなんて・・・

すっかり混乱してしまった。

おかしい、絶対おかしい!

そこで、Wikipediaネット検索してみると、わかった。

「バンのみやげ話、東都書房、1961 のち角川文庫」

となっている。

そうか、中学生の頃私が読んだのは1961年に東都書房から出版されたものだったのか。

でも、我が家にあるのは、講談社出版で、まったく同じ装丁の本なのだ。

そこで、東都書房を調べてみると、講談社の、かつて存在した子会社だそうだ。

ということは、東都書房はすでにないということだ。

そうか、それで、まったく同じ装丁のまま講談社から再出版されたわけなのね。

東都書房から講談社へ、さらに角川文庫へと引き継がれたのだろう。

Wikipediaの情報は講談社を飛ばしているのだと思う。

気分はすっきり、一件落着

 

さて、ついでにもうひとつ驚いたことが

著者と画家紹介の欄に、石森延雄さんとやなせたかしさんの現住所が

今でいう枝番までしっかり記載されているのだ。

昔は現住所を記載しても何の不都合もなかったのね。

個人情報保護法なんて、影も形もなかった時代だったものね~。

今じゃ考えられない。

やっぱり昭和って良い時代だったのね~

 

 

 

 

 


旅の短篇集

2013年01月28日 | 読む

原田宗典さんの「旅の短篇集」という本を読んだ。

旅行記かと思って読んだら、そうでもない。

旅先での不思議な体験、持ち帰った不思議な品々について語られる

ファンタジーだ。

ハンガリーの街角で売っている、花嫁が着るとたちまち美しく見えるウエディングドレス

マサイ族の青年にもらった、まとって眠ると、

ライオンの背中に乗って草原を疾走する夢を見られる赤い布。

ベルギーのホテルで、詩人アポリネールに誘われた話。

スペインのホテルで見た、ワインに変身する夢。

そんなあるはずのないお話の数々。

たわいもないけれど、思わずふふふと、頬が緩んでしまう。

短篇集とはいっても、一遍につき2ページしかないので、気軽に読める 

 

 

 

 

 

 

 


夜中の薔薇

2011年11月28日 | 読む

             

向田邦子さんの「夜中の薔薇」を読んでいる。

30年前に一度読んでいるから、すぐに思い出せる章(章と言っていいのかどうかわからないけれど)が多いけれど、全然思い出せない章もある。

全然憶えていない中で、「質問」という章があった。

向田さんが小学5年生のときの思い出だ。

師範を出たばかりの若い女の先生が、子供達に、

「梅の花はどんな匂いがしますか?」

と、質問した。

 私は、子供にする質問じゃないな、と思いながら読んでいた。

子供達は誰も手を挙げないので、先生は一人の男の子を指名したそうだ。

その子は、しばらく考えて、「くせわい」(くさい)と答えた。

そして、先生も他の生徒も笑ったのだろう。

「先生は「いい匂いです」という答えを期待されたのだろうが、生徒は、自分の鼻が感じた本当の匂いを、自分の言葉で答えたくて、七転八倒していたような気がする」

と向田さんは続けている。

なるほど、自分の鼻が感じた本当の匂いを言い表す自分の言葉が見つからなくて、くさいになったのか。

そこで思うのは我が夫のこと。

彼が、いい匂いも嫌な臭いも何でもかんでもくさいと一言で済ますのも、そういうことなのかしら?

バラも百合も、芍薬も、自分で買ってきてくれたジバンシーのトワレさえも、「くさい」というのは、言い表す自分の言葉が見つからないからなのね。

夫がくさいという度に、「せめて、いい匂いと言えないものかしら」と一応文句は言っていたけれど、仕方がない、許すとしよう。

それにしても我が夫、表現力は小学5年生と同じレベルか・・・

 


アガサ・クリスティーの食卓

2011年08月16日 | 読む

            

この連休に、北野佐久子さんというハーブ研究家が書かれた、「アガサ・クリスティーの食卓」という本を読んだ。

かなり前に、アマゾンの古本コーナーで買ってあったのだ。

題名の通り、アガサ・クリスティーの小説に出てくる食事や食材について書かれている。

ポアロやミス・マープル、クイン氏、トミーとタッペンスが活躍した事件の、ちょっとした場面に登場した、食事、お菓子やお茶、など、思い出すものもあり、思い出せないものもあり、本棚を探して、その場面をまた読んでみたくなった。

フィッシュアンドチップス、サンドイッチ、スコーン、クロテッドクリーム、など、私も旅先のロンドンで食べたことのあるものについても書かれていて、そのときのことを思い出してなかなか楽しかった。

題名から、どうしても、何かミステリーがらみを期待してしまうのだけれど、それはほとんどなくて、著者のイギリス滞在中の思い出を、アガサ・クリスティーの作品に絡めて書いているという印象だ。

各章が2~3ページしかなく、短いので気楽に読める。


待合室で「生協の白石さん」

2011年05月11日 | 読む

整骨院の待合室で書棚を見ると、漫画がずらっと並んだ中に白い背表紙の本が一冊。

題名は「生協の白石さん」

おおお~、これがあの有名な「生協の白石さん」か!

滅多に書店に行かない私は、4~5年前だろうか一世を風靡したこの本を、手に取るどころか見たこともなかった。

それがこんな所で出会うとは、何かのめぐり合わせに違いない

浅からぬ縁を感じて読み始めた。

 

東京農工大生協の「ひとことカード」というカードに記された、学生の意見や要望への職員の白石さん の答えが、ウイットに富んで、楽しいということで、ネット上で評判になり、ついいには本として出版されたものだ。

ページの上段に学生からの意見、要望、下段に白石さんの答えが書かれている。

例えば、

 

Q 「愛を売って下さい 」

A 「愛は当店で扱っておりません。他のどこでも売っておりません。もしどこかで売られていたら、それは罠です。どうぞお気をつけください」

 

うろ覚えだから、この通りでは ないけれど、こんな感じ。

バストアップの器具、単位、お菓子に入っているカード、車、就職、果ては「雑誌をもっと立ち読みしやすい場所に移動させてください」etc。

さまざまな学生からの問いに白石さんは、面倒がらず、丁寧に答えを返す。

ちゃんと、自店の商品をさりげなくおススメしていて、さすがプロと思わせる回答も多い。

仕事の一環とはいえ、すごいな~と思う

自分が仕事をしている身だから、なおさらにそう思う。

そして、語彙の豊かなこと、きれいな言葉遣い、 読んでいて気持ちよい

 

「中へどうぞ」と呼ばれて、「あら、もう」と思ったのは初めてだ。

続きは次回のお楽しみ

 


連休中に読んだ本

2011年05月05日 | 読む

高梨耕一郎  「入谷・鬼子母神 殺人事件」

特に面白くも面白くなくもなかったかな。途中でかなり見えちゃいます。

 

道尾秀介   「骸の爪」

主人公がホラー作家ということで、舞台が特殊で、おどろおどろしい感じが好き。

前に読んだ 「背の眼」もそうだけれど、不運な巡り合せで悲劇に見舞われる人たちへの作者の愛を感じます。

もっとも、登場人物達をそういう運命に突き落としているのは作者本人なんですけどね。

 

森真沙子   「眼のない人形たち」、「東京怪奇地図」

始めのうちは退屈で少し斜め読みしました。でも途中から面白くなってくる。

「東京怪奇地図」は短編集ですが、「偏奇館幻影」という、田山花袋の住んでいた洋館「偏奇館」の炎上に纏わる一遍はなかなか面白かったです。

 

宮部みゆき  「淋しい狩人」

私が読んだ限り、この方の本で面白くなかったものはありません。

文章がとても気持ちがいいんです。

主人公は、イワさんと呼ばれる65歳の古書店の店主です。

週末には高校生の孫が泊りがけで手伝いに来ます。

この古書店の客、本、近所の人のちょっとした謎から始まる事件の短編集なのですが、一番の魅力は、やはりこの店主でしょう。

イワさんは、通うのに便利なように、自宅を出て一人でアパートを借りています。

自動的に一人暮らしの老人とみなされ、ヘルパーの訪問を受けた時には、「私はまだ老人とは思っておりません」と憮然としたりしています。

老嬢探偵ミス・マープルのように、冴えた頭脳と経験で難事件を解決するというわけではありませんが、人間味で読ませる主人公です。

 

これから読もうと思っているのは、平川陽一著「世界遺産・封印されたミステリー」です。

好きなんですよね~、こういうの。