七飯町の男の子、大和君が発見され保護されたのは自衛隊の施設だった。
まだ、詳しい事情はわからないが、
そこまでは10キロもあり、立ち入り禁止の柵もある。
そんなところに子供が入るはずはないという先入観から、捜索されていなかったようだ。
なんて安易な思い込みなのか、とりあえず調べるべきでしょう、と思うけれど、
こういう思い込みってありがちだ。
ダイヤのネックレスが、長い間行方不明だったことがある。
20年以上前、身の丈に合わないお値段だったのに衝動買いしてしまった
1.16カラットの1粒ダイヤのネックレスだ。
1年か2年のローンにしたのだと思うけれど、それでも経済的にかなり負担で、
私がパート務めする切っ掛けになった。
買ったのいいが、立派過ぎてあまりつける機会もなく、月日は過ぎた。
ある日、何となくそのネックレスのことを思い出して付けて見ようとしたら、
あるはずの所にない。
アクセサリーケース、バッグの中、テーブルの上の小物入れ、その他
あちこち探し回った。
何か探してるの?と訊く夫に、言えるはずがない。
ううん、大したものじゃないんだけど、と答えながら内心必死だった。
でも、どこにもない。
最後に頭に浮かんだのは、ネックレスをはずしテーブルの端のほうに置く、
ネックレスは自分の重みでそのままずるっと滑り落ち、
運悪く下にあったゴミ箱の中に入ってしまう、というイメージだ。
それ以外あり得ないとうくらいリアルだ。
きっとそうに違いない。
そうなれば、ゴミと一緒に捨ててしまったのだろう。
もうローンは終わっていたけれど、ショックでしばらく立ち直れなかった。
それから1年くらいして、そのショックもあらかた癒えた頃。
電話の横に置いている木皿の中のものを捨てようと思った。
何のかわからないボタン、ネジ、買った服についてきた端切れなど、
ほんとうはいらないんだけどな~という小さなガラクタをいれてある。
埃もたまっているし、そろそろ捨て頃だ。
その中に、アクセサリー買うと入れてくれる小さなピンクの布袋があった。
そういう袋は何個もあって、殆ど捨ててしまったけれど、一つくらいはと、とってあったのだ。
ざざーっと中身をゴミ箱に入れようとして、やっぱりその袋は取っておこうかなと手に取ったら、
意外にも重い。
あら、何か入っていると、開けてみたら、なんと、
失くしたとばかり思っていたダイヤのネックレスだった!
あったー!こんなところに、信じられない!
その木皿は、何度も見たのだ。
でも、その袋は開けてみなかったのね。
なぜ、開けてみなかったのだろう?
ガラクタ入れに入っているのだから、捨てるのを免れた空袋だ、
という思い込みだった。
どうしてそこにあったのかはわからない。
落ちていたのを、夫が気を利かせて入れてくれたのかも知れない。
とにかく、それはずっとそこにあったというのに、バカみたいな話だ。
でも、今回はほんとうに捨てるところだった。
手に取ってみて良かったわ。
見つけて!私はここよ!と、ネックレスが必死で叫んだのかも知れない。
とにかく、それは私の手に戻った。
重大さで今回の出来事とは比較にならず、申し訳ないのだけれど、
「思い込み」で、思い出した。
その後、私は質屋さんのセールを利用するようになり、身の丈に合わない買い物はしていない。