イスラーム勉強会ブログ

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預言者伝【番外編14】

2015年12月10日 | 預言者伝関連

人間らしい繊細な感情と愛の高貴さ:
預言者としての任務・宣教の責務、高くそびえ立つ山々でさえも抱えられない人間としての悩み・悲しみ・重荷の中、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)の中に人間らしい繊細な感情と人間特有の高貴な愛がそれらの最も美しい形で現れました。諸預言者に際立っている彼の厳格さと決心の強さ、宣教の道・アッラーの御名前の高揚・アッラーの御命令の遂行の前で何かが優先されることはないのですが、彼は彼の呼びかけに応じ、アッラーの道のために力と魂を捧げ、ウフドの戦で殉教した誠実な教友たちをお亡くなりになるまで忘れることはありませんでした。彼はいつも彼らを思い出し、彼らのために祈り、訪問しました。この愛情はこの戦が起きた場所にも向かいました。教友たち(アッラーの御満悦あれ)は彼について伝承しています:彼はおっしゃいました:《この山はわれわれを愛し、われわれもこの山を愛する。》(アル=ブハーリー)教友アナス様(アッラーの御満悦あれ)によると彼(アッラーの祝福と平安あれ)の目の前にウフド山が現れるとおっしゃいました:《この山はわれわれを愛しており、われわれもこの山を愛する。》アブーフマイド様(アッラーの御満悦あれ)は言いました:私たちはアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)とタブークの戦から戻って来る際にマディーナに近づいた時におっしゃいました:《これはターバである。そしてこれはわれわれを愛し、われわれも彼を愛する山である。》(アル=ブハーリー)

教友ウクバ様(アッラーの御満悦あれ)によると、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はある日お出かけになり、ウフドの戦で亡くなった人たちのために祈りを捧げました。(アル=ブハーリー)また、ジャービル・イブン・アブディッラー様(アッラーの御満悦あれ)は言いました:私はアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)がウフドの仲間を思い出して、ああ、アッラーに誓って。かの仲間たちと共に(ウフド)山の広場で天に召されたかった、とおっしゃるのを聞きました。(アハマド)

また彼(アッラーの祝福と平安あれ)は、父方のおじであり、乳兄弟であり、また彼のために怒り、マッカでは彼を庇い、ウフドの戦で殉教し、戦死者の中で彼以上に見せしめにされたことはないハムザ様(アッラーの御満悦あれ)の死を使徒らしく耐えられました。しかしウフドからマディーナに帰られた際、アブドゥ=ル=アシャハル家の館のそばをお通りなり、聞こえてきた鳴き声や死者に対する悲しみの声が彼の心を揺さぶりました。そしてその瞳には涙が溢れ出ました。《しかしハムザのために泣く者はいない》とおっしゃいました。

彼(アッラーの祝福と平安あれ)のこの人間らしい感情が預言者としての、そして宣教における責任を後回しにしたり、アッラーのための行動を止めることはありませんでした。預言者伝の著者たちは、教友サアド・イブン・ムアーズ様とウサイド・イブン・フダイル様(アッラーの御満悦あれ)がアブドゥ=ル=アシャハル家の館に戻った際、女たちに帯を締め、出かけて行き、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)のおじのために泣くよう命じたところ、その通りに彼女たちがしたことを伝承しています。アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)がマスジドの門のところで彼女たちのハムザ様の死を悲しむ鳴き声をお聞きになると、彼女らのもとに赴きになり、おっしゃいました:《さあ、皆さん戻りなさい。アッラーがおまえたちを慈しみ給うよう。もう十分してくれた。》他の伝承によると彼はおっしゃいました:《これは何だ?》アンサールが女たちにさせたことだと知らされると、彼は彼らが赦されるよう祈り、彼らについて良いことをお話しになりました。そしておっしゃいました:《これは私が望んだことではない。》泣くことをお好みにならず、それを禁止されました。この逸話以上にきめ細やかな対応を実はワハシーになさいました。ワハシーはアッラーの獅子、アッラーの使徒の獅子と呼ばれたハムザ様(アッラーの御満悦あれ)を殺した人物です。アッラーが信徒たちのためにマッカを開き給うた際、ワハシーはどうしたら良いか分からず、シャーム方面かイエメンか他の国に移ろうかと考えました。この世がとても暗くなってしまった時、「おい、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はその教えに入った者を殺すことはないぞ」と言われて、心からの信仰告白を唱えました。そしてアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)のところに行き、彼(アッラーの祝福と平安あれ)も彼を怖がらせることなく、ワハシーのイスラームを受け入れられました。そしてワハシーは彼(アッラーの祝福と平安あれ)にハムザを殺した話をしました。話し終えた時、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)の中である感情が動きました。それは彼の預言者という高貴な立場を邪魔して、ワハシーの帰依を否定したり、己を怒らせたり、仕返しにワハシーを殺したりするようなものではありませんでした。ただ、次のようにおっしゃっただけでした:どうか、おまえの顔を現さないように、わたしがおまえを見ることがないようにしなさい。ワハシーは言いました:私はアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)に見られないように隠れていました。アッラーが彼を召し給うた時までそうしていました。

他の伝承には:彼(アッラーの祝福と平安あれ)が私をご覧になった際、おっしゃいました:おまえがワハシーか?私がその通りですと答えると、おまえがハムザをころしたのか?とおっしゃいました。私は:あなた様がお聞きになった通りですと答えたところ、では、おまえの顔を私から遠ざけることは可能か?とおっしゃいました。(アル=ブハーリー)

また、墓のそばにお座りになり、悲しさがこみ上げてお泣きになるということもありました。《これはワハブの娘アーミナの墓。》とおっしゃいました。それは彼女が亡くなって長い月日が流れてからのことでした。

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