今年の帰国中に段ボール箱3箱に詰まった本の整理中、住井すゑの「夜あけ朝あけ」を見つけた。
購入したこともすっかり忘れていたけれど、この本は、尊敬していた研究室の先輩が『今、「橋のない川」を読んでいるんだけど』と話し始めたことをきっかけに購入した。「橋のない川」はタイトルだけ知っていたので、「私も読んでみよう」と、本屋さんに行ったものの、
全7冊
という大作だったので、「読めないな」と思い、同じ著者の別の作品を購入したのだった。
当時の私は本を読むことは好きだったけれど、文学作品は全く楽しめなかった。
今の私も文学作品は「読みたい」と思いつつもなかなかハードルが高い。
で、「夜あけ朝あけ」も購入したものの、読んでいない本だった。父は戦死、母は破傷風で急死、残された祖母と4人の子ども(一番上が中学3年生)で生きていく、というあらすじを読んだだけで気後れした。
あれから20年以上経ち、せっかくだから読んでみよう、と読み始めた。薄い本(190ページ程度)なのですぐに読み終えた。
自分達が食べる米にも困るほどの過剰供出が割り当てられたり、母が急死したために機織りで得ていた貴重な現金収入がなくなったりしたけれど、決して暗い話ではなく、まっすぐに生きる人たちの、希望のある美しい物語だった。
少し調べてみたら、この作品は
児童文学作品
だそうで、私がイメージする児童文学とは違っていたので、ちょっとびっくりした。
「橋のない川」も読みたくなった。