シソ騒動の時、1人の音楽家と知り合った。彼女は市のオーケストラで弦楽器を弾いている。彼女に連絡を取り、どなたか私が習いたい楽器を教えている方を知らないか聞いてみた。私は初心者なので、プロを目指している学生さんに教えてもらえたら、くらいの気持ちで尋ねた。
彼女からの返事は『何度か顔を合わせたことのある
日本人のその楽器の奏者の方
が放送局のオケにいるから、連絡とってみましょうか。教わるのなら日本人の先生の方がいいですよね』だった。日本人の先生に教えてもらえるなんてありがたい話ではあるけれど、プロの奏者が大人の初心者(ピアノ経験もなし)に教えてくれるのかどうか心配だし、何より
レッスン料はおいくらに…
というのが正直なところだった。何ならその方の生徒さんを紹介してもらってもいいかも、などと考えていた。
さて、その日本人の奏者の方(先生)とまずは電話でお話をした。
日本で1年半くらいその楽器を習っていたこと、1回30分のレッスンが月4回あったこと、でももう10年以上前なので最初からやり直したいことなどを伝えた。
先生はまず、日本でのレッスンが
1回30分だったことに衝撃を受けて
いた。『え?エチュードと曲で30分だったんですか?』と。『大人の方は初心者でも1時間やりますけど、無理なら45分でもいいですよ』と言われたので、とりあえず45分でお願いした。
気になるのはやっぱりレッスン料。『1回50~60ユーロくらいならうれしいけれど、80ユーロだったらどうしよう。「通えません」と言って別の先生を探すか、月2回くらいにするか、かなぁ』と考えていた。先生の返事は『
1時間40ユーロ
でどうかしら。45分のレッスンでも40ユーロ頂いていいかしら。もちろん、後で1時間にしてほしければ、その時点から1時間にします』だった。
思わず『え?…』となったら先生に『高いかしら?』と聞かれてしまった。1時間40ユーロなんて
音楽学校と同程度
に格安。先生のレッスンに通うことを即決。私は毎週レッスンに通いたかったので、曜日と時間を固定してレッスン開始となった。
通い始めて約半年たったけれど、
レッスンはだいたい1時間以上
となっている。最長で1時間半もあった。日本語で教えてもらえるのでわかりやすいし、日本の教室に通っていた時よりも「いい音」を出すためのテクニックやコツをよく教えてくれる。
私の音楽は中学校の授業止まりだし、リズム感もない。頭では理解できるけれど指がついていかない。そんな私に根気よく付き合ってくれる先生に巡り合えて本当によかったと思う。