国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

「アジア・欧州・米州」を中核とした地域に多極化する世界

2007年01月10日 | 経済
冷戦時代の米ソ二極体制から冷戦後の米国一極体制を経て、米欧亜の三極体制への移行が始まった様だ。日豪の「安全保障」共同宣言、日本政府のインド核保有容認という今日の二つのニュースは東アジア陣営へのオーストラリアとインドの参加を示しているのだろう。東アジア地域(アセアン+日中韓+香港・台湾+インド+オーストラリア・ニュージーランド)は域内の人種・民族・言語・文字・宗教・経済水準・政治制度が余りに多様であり政治統合は困難だが、域内貿易の多さを考えると近未来のドル暴落に備えてドルに代わる貿易決済用の通貨を作っておくことは有用だろう。 「ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報」では、世界通貨がドル・ユーロ・元の鼎立になると言っているが、これは鵜呑みにできない。管理人の中田安彦氏は昨年8月に「日本は戦争をしない親米英国家になるために第二次大戦でわざと負けた」という日本の国家機密に属する話をさらりと紹介しているのだが、これはフリーの国際問題評論家であった彼が日本政府に召し抱えられたことを示していると思われる。元がドル・ユーロ・円に対抗する為の最大の弱点は、元が事実上ドルとの準固定相場状態にあり、円やユーロのような完全な変動相場制の荒波を経験していない事にある。従って、東アジア地域の基軸通貨は円以外にはあり得ないだろう。「ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報」はその影響力の大きさ故に真実を書くことが困難なのではないかと想像する。 ただ、円が東アジアの貿易決済共通通貨にそのまま移行することは日本にとっても東アジア全体にとっても決して得ではない様にも思われる。素人考えだが、貿易決済用の円の需要が激増して円が暴騰し日本の輸出産業が壊滅しないだろうか?また、信用度の低い途上国の多いアジアの貿易決済に、信用度の高い日本の通貨だけを用いることは、為替投機による途上国の通貨危機の温床にならないだろうか? そのように考えると、東アジア域内各国通貨の加重平均によるアジア通貨単位(ACU)を作り貿易決済に使用するという日本の国際通貨研究所の提案は非常に有用と思われる。そして、現在のユーロの様な域内での広範な通貨統合は東アジア地域の巨大な経済格差を考えると今後二十~三十年間はまずあり得ないだろうと思われる。 . . . 本文を読む
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