国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

滅亡するのは北朝鮮ではなく韓国

2010年11月28日 | 韓国・北朝鮮
いよいよ本日、11月28日から黄海での米韓軍事演習が始まる。日本政府の閣僚は不測の事態に備えて都内で待機しているという。園田義明氏は、「今米国が謀略を仕掛ける可能性も排除できない。謀略といっても実に簡単。ジョージ・ワシントンから白煙を上げて、「北からの攻撃」と発表すればいいだけの話。きっと米国ならそんなシナリオまで準備しているだろう。」とブログで発言しており、米韓両国による北朝鮮攻撃とそれに引き続く中国の崩壊を予想している。 私は、米国が謀略を仕掛けているという点では園田義明氏に同意する。しかし、その謀略の結末は、北朝鮮滅亡ではなく、韓国の滅亡(韓国支配階層の済州島への脱出と半島の北朝鮮による統一)ではないかと考えている。そして、その謀略の立案は日本政府が中心として行っているのではないかと妄想している。以前からの私の主張である。 QE2後も米国経済の停滞は続く。欧州ではPIGSに代表される国々が国債の債務不履行に直面しており、主要国は大不況の中で大々的に緊縮財政に移行している。このように先進国の需要が停滞している状況では、デフレを回避するためには工場設備の大量破壊が必要不可欠なのだ。その第一段として、韓国の工場設備の破壊が実行されようとしているのだと私は考えている。 ヨンピョンド島への北朝鮮軍の砲撃は恐らく陸軍部隊によって実行されたと思われる。これに対して米国が実行しているのは米韓の陸軍の合同演習ではなく海軍の合同演習である。真に必要な陸軍演習を行わないのは、今後北朝鮮軍が韓国に雪崩をうって侵入する際に、米国が陸軍をイラク・アフガンに張り付けているために韓国を支援する余裕がなかったという言い訳の伏線ではないかと私は想像している。 韓国は日本などの先進国から工場設備や技術を導入し、低価格・大量生産で市場シェアを拡大することで現在の地位を築いてきた。このような国家は、世界大デフレ時代には癌以外の何物でもないのだ。韓国の滅亡、そしてその次に中国での内乱が起こって工場設備が大量に破壊されることによってしか、現在及び近未来の世界大不況は解決不可能である。 . . . 本文を読む
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NATO+ロシア+日本、つまりG8による世界支配の確立

2010年11月22日 | 米国
北米と欧州をカバーする北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛網にロシアが招待されることになった。そして、このミサイル防衛網には日本も全面的に協力している。NATO+ロシア+日本、つまりG8によるミサイル防衛システムが動き出したことになる。 ミサイルという飛び道具は銃弾のようなもので、防衛することが難しいが、高性能の防弾チョッキを共同開発しようということだ。なぜG8がミサイルを恐れているかというと、途上国やテロ集団がミサイルでG8諸国を脅迫する可能性があるからだ。G8諸国は先進国集団であり(ロシアだけは微妙だが、その広大な領土と資源は先進国にとって必要不可欠だ)、それ故に脅迫にあう可能性が高い。防犯装置が必要なのは金持ちだけなのだ。 中国やインドに代表される新興国は不安定要因を抱えている。中国経済は今がピークという見方もある。田中宇氏はG8からG20に世界支配権が移ったと主張しているが、私の意見は異なる。世界支配権は依然としてG8にあり、少なくとも今後20-30年はその状態か続くだろう。G8諸国は北極圏や流氷域に近接した北半球の中高緯度に集中しており、環北極圏同盟という見方もできるだろう。 . . . 本文を読む
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団派と上海閥・太子党連合の権力闘争:東アジアパンリージョンの覇権の行方

2010年11月16日 | 中国
尖閣問題は沖縄返還時に米国が作り出したものである。その目的は、日本と台湾、日本の中国の間に国境紛争を作り出し、日台中、特に日中の同盟形成を阻止することにあったと思われる。日本とソ連が同盟を形成することを阻止するために米国が北方領土問題を作り出したのと同様の経緯である。現在、中国と日本はそれぞれ経済規模で世界第二位と第三位であり、この二カ国が同盟を結んで日本のように強固で中国のように巨大な覇権国が生まれることを米国人や西洋人は心の底から恐れているのだ。同様に、核戦力や宇宙開発で世界第二位のロシアと、経済規模で世界第三位の日本が同盟を組むことも米国人や西洋人は恐れていると思われる。米国が作り出した尖閣・北方領土の領土問題は今や米国・西洋の世界覇権を維持するために決定的に重要なツールになっている。日本としてはこの現状をわきまえた上で、日本の国益を実現するために最適な世界覇権システムを西洋に提案していくべきであると私は考えている。その覇権システムとは、米軍とロシア軍の戦力を統合した上で世界の治安維持の為の公共財とし、米国あるいはその情報技術の中心である西海岸国家、技術力を有し巨額の経常黒字を生み出す日本・ドイツの三国家が資金と情報を出し合ってそれを維持するというものである。 胡錦濤を代表とする団派は、青少年の時期にエリートとして選抜され育成されてきた人々で、日本で言えば東大法学部卒の官僚に相当する。当然彼らは中国の国益を重視する。従って、日本が指導国家となるパンリージョンの形成には反対し、中国を覇権国とする中華体制を目指していくと思われる。これは日本の国益に合致しない。一方の上海閥・太子党連合は既得権益層であり、中国の国益よりも現在の既得権益を重視する。また、太子党は父親(習近平の場合は本人も)が文化大革命などの混乱を体験しており、中国人を信用していない。江沢民に代表される上海閥や江蘇省出身者もかつての日本占領下で治安安定と繁栄を享受した歴史を知っており、改革解放以後も宝山鋼鉄を代表とする日本企業進出や南京大虐殺紀念館の建設・運営を通じて日本人と再び接触を持ったことから、日本人を信用できると考えていると思われる。従って、上海閥・太子党連合は日本を覇権国とする東アジア・西太平洋システムに賛成し、結果的に日本の国益に合致する人々なのではないかと私は想像している。 . . . 本文を読む
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西洋型の国際法と中国型の華夷秩序の対立

2010年11月13日 | 中国
11月12日付けの日経新聞の記事(FT紙の翻訳)が尖閣問題を取り上げている。ただ、この記事では日中間の二国間対立しか取り上げていない点が問題である。中国側は尖閣の領有権だけではなく、一部マスコミで過去の宗主権を根拠に沖縄解放を主張する記事すら見られる。今後中国が更に強大化するならば、東南アジア諸国への宗主権が持ち出され、アセアン諸国が中国の属国に転落していくことであろう。 日本の尖閣諸島領有権主張の根拠は西洋の国際法に基づいたものである。一方の中国側の主張はかつての中華世界の華夷秩序に基づくもの。そして、日本にとって都合の悪いことに、かつて(アヘン戦争以前)とは異なり、中国は大陸指向国家から海洋指向国家に変容している。従って、モンゴル人を中心とする遊牧民族が漢民族と何千年も戦い続けてきた様に、今後日本は西洋の国際法の代表として中国と戦い続けなければならなくなっているのである。その戦いの最前線が尖閣諸島であり、沖縄であるということである。 恐らく、今回の日中対立は中国の内部分裂によって日本側=西洋側の勝利に終わる可能性が高い。しかし、中国の歴史は分裂と統一を繰り返してきた。分裂した中国が遠い将来に再統合されたときが日本にとって絶体絶命の危機となる。かつてモンゴルも、統一し強大化した中国軍に奥深くまで攻め込まれた経験を持っている。今後数百年の日本の安全保障を考えるならば、日本は漢民族とモンゴル族・満州族などの北方遊牧民族との対立の歴史を真剣に研究すべきである。 . . . 本文を読む
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英仏両国の衰退

2010年11月11日 | 欧州
英仏両国は年金改革や予算削減などの生活水準低下政策に本格的に取り組みはじめた。これに伴って両国では激しいデモが起きているようである。フランスでは国民の67%がデモに賛成しているという。両国の国民の考えは甘過ぎる。 英国の雑誌「エコノミスト」の巻末には各国の経済データが載っている。ドイツは大幅な貿易黒字なのにフランスは貿易赤字。長期国債の金利も、同じユーロ圏なのにドイツよりフランスがかなり高くなっている。国力の格差が国債の金利に既に現れているのだ。格付機関の格付けよりも、この長期金利の格差の方がずっと信頼できるデータである。ただ、フランスは高速鉄道や原子力発電や軍用機などの工業力が残っているだけまだマシである。イギリスに至っては、国家を支えてきた金融業がリーマンショック以後大打撃を受けており復活の目処が立っていない。更に悪いことには、北海油田・ガス田の枯渇が近づいている。 現在、欧州ではユーロ圏のアイルランドやギリシャの経済危機が大問題となっている。ドイツ国民にアイルランドやギリシャを支援する意志がない以上、これらの諸国の経済破綻は避けられないだろう。そして、経済破綻はイギリス・イタリアといった大国まで及ぶだろうと私は想像している。フランスは破綻はしないだろうが、衰退は避けられないだろう。そして、ユーロは消滅してマルクやフランが復活するだろう。 貿易収支や国債金利に現れているように、英仏両国とドイツの国力には雲泥の差がある。しかし、生活水準の差はほとんどない。そして、英仏は核戦力や空母といったドイツにない金のかかる軍事力を保有している。このような現状は決して持続不可能である。11月2日に英仏両国は核実験施設と空母の共同利用計画に合意したが、これは軍事費を削減するための苦肉の策である。しかし、この程度では焼け石に水だろう。空母や核戦力を保有する経済力がある国は欧州ではドイツ以外に存在しないのだ。どうしても英仏が核戦力や空母を保有し続けたいのならば、大幅な生活水準切り下げ以外の選択枝はあり得ないが、贅沢な生活に慣れきった両国の国民にそれは不可能だろう。最終的には英仏両国の国民は大砲よりバターを選択し、核戦力と空母はドイツに売却されることになると私は予想する。 . . . 本文を読む
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尖閣ビデオ流出とロシア大統領の国後訪問

2010年11月05日 | 中国
11月1日にロシア大統領が国後島を訪問した。尖閣問題で日本が苦しんでいる最中のこの行動は、日本を南北から挟み撃ちにするもので日本の打撃は大きいように思われる。また、11月4日に何者かがユーチューブに尖閣事件のビデオをアップロードし、これが拡散することで日本国民の対中感情は更に悪化している。来週横浜で開催されるAPEC会議で中国首脳が訪日する直前のこの動きは何を意味しているのだろうか? まず、ロシアについて分析する。ロシアと日本は、米国を中心とする国際金融資本と中国という二つの敵に挟まれた国であるという点で国益が合致しており、表向きの対立関係とは裏腹に裏では親密な関係にあると思われる。ロシア大統領の国後訪問はこの親密な関係を隠蔽し、あたかもロシアが中国の味方であるかの様に振る舞ってみせることで中国を強気にさせる為の日露共同作戦の可能性が高い。中国を脅威視する米国の勢力もそれを容認していると思われる。 尖閣ビデオ流出も、表向きは海上保安庁の関係者のリーク説が有力だが、このような重大な問題が海保だけの意志で決定されることはあり得ないのであり、実際には政府や外務省が主導して実行している可能性が高いと思われる。その目的は、日中両国の世論を刺激して日中間の対立を深刻化させることにある。船長逮捕や海保職員が銛で突かれたとの未確認情報の場面はまだリークされておらず、今後それらの場面がリークされることで日中両国の対立は更に深まっていく可能性もある。 この日中対立は、中国国内の権力闘争とも深く関わっていると思われる。中国国内では改革解放で美味しい思いをしている上海派・太子党連合と、中国の統一を維持し貧富の格差を縮小させていこうとする団派が対立している。恐らく上海派・太子党連合は日本と裏で手を結んでおり、団派の代表である胡錦濤国家主席を攻撃するために尖閣事件に協力しているのではないかと私は妄想している。横浜のAPEC会議での胡錦濤と菅直人首相の会談はビデオ流出問題で絶望的となり、団派は大きな打撃を受けていることだろう。今後は上海派・太子党連合が中国政治の主導権を握り、内陸部で反日運動を煽って中国を混乱させ、その隙に上海を事実上独立させてゆくのではないだろうか。 . . . 本文を読む
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