国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

韓国にだけ謝罪し、中国には謝罪しなかった日本

2010年08月28日 | 韓国・北朝鮮
日本政府がこのように韓国に謝罪したり、文化財返還を申し出たりするのは、歴史問題で韓国国民の反日感情を煽って韓国を敵に回し、韓国の中国への属国化を促進することが目的であると私は考えている。新華社通信の分析とは逆の見方である。米国の経済力・軍事力は揺らいでおり、近未来の東アジアからの撤退は避けられない。朝鮮半島近隣の4大国のうちで半島に死活的利益を有するのは日中両国のみであり、米軍撤退後の韓国は軍事面で日中のどちらに付くかという重大な決断を迫られることになる。ここで、反日感情により日本に付くことが不可能になれば消去法的に中国に付くしかなくなる。その先にあるものは、北朝鮮主導の半島統一と李氏朝鮮的な中国の属国への道である。これまで中韓両国に謝罪し続けてきた日本が今年、韓国のみに謝罪して中国に謝罪しなかったことは注目すべきである。中国人の反日感情を煽るべきでないと日本政府が考えている様に思われる。日本と中国は軍事的に敵対関係にあったが、これが友好関係に変化したのではないかというのが私の想像である。日中両国は近未来の米国の東アジアからの撤退を念頭に置いていることだろう。また、中国の開発独裁体制は限界に達しており、近い将来に分裂や内乱を含めた国内混乱は避けられない。このような現状を踏まえて、日中両国は朝鮮半島・東シナ海・台湾などの勢力圏設定に関する秘密協定をごく最近に結び、敵対関係から友好関係に転じたのではないかと私は妄想している。1905年7月の桂・タフト協定では、米国は朝鮮における日本の支配権を確認し、交換条件として日本は米国のフィリピンの支配権を確認した(この協定は1924年まで秘密であった)。1907年7月30日に第1次条約が調印され、1916年7月3日に第4次条約が調印された日露協約は、秘密条項で日本はロシアの外モンゴルにおける権益、ロシアは日本の朝鮮における権益を認めた。1905年の第二次日英同盟では、イギリスのインドにおける特権と日本の朝鮮に対する支配権を認めあうとともに、清国に対する両国の機会均等を定めた。大国は勢力圏を確定するために周辺大国との協定を必要とするものなのだ。日本は漸く米国の属国から抜け出して大国として振る舞い始めたのだと私は想像している。 . . . 本文を読む
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モンゴル旅行記

2010年08月23日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
モンゴルでは民主化後、農村経済が崩壊して人々がウランバートルに流入し、マンホールに住むストリートチルドレンまで出ているという。街角にも、卵を並べて売っている男性など、貧弱な品揃えの物売りが目立つ。道路が大渋滞するほど多くのモンゴル人が自動車を保有する様になったという明るい面もあるものの、やはりこの国の経済はうまくいっていない。民主化を先行させるというモンゴル式のやり方は、開発独裁の中国と比較して失敗であったと思われる。もう一つの問題点は、遊牧民族であるモンゴル人が果たして現代の工業化社会・情報化社会にうまく適応できるかという点にある。世界中の遊牧民族で先進国並みの所得を享受しているのはアラブ産油国だけである。遊牧民族は工場労働者としては適性が低いのだと思われる。情報化社会ではどうなるかまだはっきりしていないが、あまり期待できないのではないか。結局、モンゴルは鉱物資源と農業と観光で生きて行くより他にない様だろう。この国が将来ロシア圏に属することになるのか、日本を中心とする東アジア圏に属することになるのかはわからないが、日本としては、モンゴルを親日国に育てると共に、モンゴルで職にあぶれた人々が非熟練労働者として日本に流入することの無い様に入国管理を厳しくしていく必要があると思われる。 . . . 本文を読む
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長い十九世紀、短い二十世紀、そしてゼロ成長と環境保護・資源節約の二十一世紀

2010年08月17日 | 経済
イギリスの歴史学者エリック・ホブズボームは、19世紀をフランス革命の始まった1789年から第一次世界大戦開戦の1914年まで、20世紀を1914年からベルリンの壁崩壊の1989年までと定義している。この定義に従うならば、21世紀は既に21年経過していることになる。さて、21世紀はどのような一世紀になるのだろうか?19世紀の最初の26年間は世界文明の中心であった欧州で大戦争が続いた。20世紀の最初の31年間も、戦間期を挟んで二度の世界大戦があった。26と31は共に四捨五入すると30になる。従って、21世紀も最初の30年間、つまり1989年から2019年までは大戦争が起きているはずである。現実には、核兵器が存在するために大国間の大戦争はもはや不可能になっている。しかし、外交戦争・経済戦争という形態で現在、世界的大戦争が進行中なのだと思われる。20世紀はパックスアメリカーナの時代であり、アメリカの国際金融資本に操られたソビエト連邦という国とアメリカという二つの大帝国だけが生き残り、その他の帝国は皆滅んでしまった。1911年の辛亥革命で滅亡した清もその滅亡した帝国の中に含めて良いと思われる。21世紀最初の30年間とは、生き残った帝国であるソビエト連邦、その兄弟国である中華人民共和国、そしてアメリカの三大帝国が滅亡する時代になるであろう。ソ連は既に滅んだので、今後は中国と米国の番である。歴史が繰り返すならば、米国と中国はともに、2019年までに崩壊し分裂していくことになると思われる。冒頭のガーディアン紙の記事が述べる通り、21世紀は環境問題や資源枯渇問題が重要になってくると思われる。貴重な資源を節約しつつ、高度な文明を維持し継続させてゆくことが必要とされるのだ。経済成長は必要条件ではないのだ。この21世紀型システムに世界で最初に突入した国は日本である。日本は1989年のバブルの後、経済的停滞に陥りつつも文明を維持している。また、東海道ベルト地帯に人口の三分の二が集中するというシステムは、過密・過疎という深刻な副作用を伴いつつも、輸送コストの縮小、石油需要の削減という点で非常に大きなメリットを有している。日本と並んでドイツも21世紀型の国家である。今後、アングロサクソン国家も日独を真似て、人口抑制・ゼロ成長下での文明維持・貴重な天然資源の節約を目指す様になると私は想像する。 . . . 本文を読む
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崩壊し始めた中国経済のバブル

2010年08月16日 | 中国
中国の不動産価格の伸びが停止した。6月は0.1%低下、7月も横這いである。また、上海市の新規住宅ローンは、7月は前年比98%減少、前月比でも91%減少となった。中国政府が4月に導入した住宅融資規制の効果と考えられる。これによって新規住宅建設は減少し、建設関連産業は大不況に見舞われることになるだろう。中国経済を支える柱であった建設業の衰退は中国経済に大打撃を与えるはずだ。冒頭の石平氏のコラムで指摘されている様に、中国経済は三つの柱によって高度成長を成し遂げてきた。それは「輸出の拡大」と「人口の優勢」と「不動産業の急速発展」であった。しかし、不動産業の発展には終止符が打たれた。また、輸出の拡大も、先進国が揃って不況に陥る中でもはや限界に達している。賃金の上昇やストライキによって、安価で勤勉な労働力という強みも失われつつある。三つの柱を失った中国は高度成長時代から低成長時代に移行すると考えられる。その衝撃は、中国共産党への国民の支持を低下させ、腐敗した役人たちへの不満が暴発して中国の治安は悪化することになるだろう。人民解放軍は海洋への拡張政策どころではなくなり、国内の治安対策に忙殺されることになると想像される。しかし、富裕な沿海地区やチベット・ウイグルなどの少数民族地区の分離独立志向を押さえ込む事は出来ず、結果的に中国は近未来に分裂していく事になると思われる。このように、中国にとって不動産バブルを今崩壊させることは決して得策ではない。にも関らず、住宅融資規制が厳しく絞り込まれているのは何故だろうか?私は、中国政府内部には日本や米国との内通者がおり、わざと中国のバブル経済を崩壊させて中国を分裂させることを狙っているのだと妄想している。最近の米国海軍のベトナムとの合同訓練でも分かるとおり、米国の中国包囲網は強化されており、中国がこれにうち勝つことは不可能である。だとすれば、第二次大戦で日本がわざと負けた様に中国政府も米国にわざと負けることを狙っているのだと思われる。その主目的はおそらく、貧困な内陸地区や西部の少数民族地区の切り捨てを通じて、沿海地区の繁栄を維持することであると思われる。中国の支配階層は全て都市戸籍であり、大部分が沿海部の大都市に住んでいるからである。沿海地区の独立は、恐らく上海の分離独立運動、あるいは香港と同様の一国二制度を要求する運動から始まることだろう。 . . . 本文を読む
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中国の対外戦略と資源問題

2010年08月07日 | 中国
 7月23日、ハノイで開かれたASEAN地域フォーラムで中国外交は大打撃を受けた。米国がASEAN側に立って中国を批判したからである。しかし、この中国外交の敗北は予想通りであったとも言える。軍事力を背景として南シナ海等で領土拡張を狙う中国の姿勢はASEAN諸国の反発を引き起こすことは明らかであり、これまでは大国中国との関係を重視してそれが押さえ込まれていたに過ぎなかったからだ。ASEAN諸国は明らかに、覇権国として中国よりも米国をより好ましいと考えている。 中国はなぜこのような勢力圏拡大姿勢をとり続けるのか?それは、結局は資源が目当てなのだろうと思われる。世界覇権を握るEU+米・加・豪+日本の人口は10億人弱だが中国の人口はそれよりはるかに多い。中国の経済発展には大量の資源が必要になる。最近の中国のアフリカ進出、あるいはチベットや東トルキスタンでの住民弾圧も結局は資源を獲得することが最大目的になっていると思われる。こういった資源の奪い合いは、既得権者である日米欧といった先進国の利害と衝突するため、中国は結果的にこれら先進国をも敵に回すことになる。 同じ巨大な人口を抱える新興国でも、インドは中国ほど先進国に敵視されていない。理由としては、インドはカースト制があり、富裕層になって資源を大量消費するのは一部の上位カーストのみになる可能性が高いことが考えられる。対照的に、中国では漢民族全員が尽きることのない金銭欲を持っており、資源の大量消費を抑制する内的要素が存在しないのだ。中国が先進国化すれば、地球上の資源はどん欲な漢民族に食い尽くされるだろう。 シンガポール華字紙の唱える日韓との同盟構想も、少なくとも日中に関する限り実現の可能性は低いだろう。日中同盟は結果的に日本が中国に飲み込まれる形になってしまい、日本にとって不利益が非常に大きい。また、欧米諸国は日本の技術と中国の人口が結合することを恐れており、日中同盟は日本が欧米を敵に回すことを意味する。日本としては、日本が主体性を持って中国を分割しコントロールする形態が最も望ましいが、それは中国にとっては受け入れがたいことだろう。 . . . 本文を読む
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