国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ジョセフ・ナイ、ケビン・ラッド、パキスタン首相、奥山真司らの発言から占うカブール陥落後の米国と西側

2021年08月20日 | 米国
プロジェクトシンジケートでの8/3付けのジョセフ=ナイの記事が主張する「中国との管理された戦略的競争と協力的ライバル関係」は米国の国際戦略としてはどう考えても無理だが、ロシアの対中大戦略としては既に実現している。今後西側諸国がロシアに降伏しその衛星国になるならば、ロシアの軍事力によって西側諸国の安全保障を確保することは可能と思われる。逆に、経済発展する中国との均衡を保つには、衛星国として欧州や北米をロシアが勢力圏に収めることが必要不可欠とも考えられる。ジョセフ=ナイの記事はこのことについて米英とロシアの間で合意が成立したことを示唆する。豪州の親中派指導者であるケビン=ラッド元首相も、宗主国を米国からロシアに切り替える以外の生き残り策は持っていないと思われる。そして、実際に米英加豪NZのファイブアイズ五か国連合がロシアに降伏した玉音放送が8/15のカブール陥落だったのではないか。日本についても、米英錐体後に超大国となった中国に対抗するにはロシアと軍事・経済で組む以外の選択肢はあり得ない。1990年代に橋本龍太郎首相とロシアのエリツィン大統領が親しく会談していたテーマはこの日露同盟であったと思われる。 7/2にはパキスタンのイムラン・カーン首相が「かつては西洋の民主制度こそが社会を改善する最適な方法だと考えていた。しかし、中国は選挙による民主制度なしの一党独裁制でそれを選挙による民主制度よりもずっとうまくやり遂げた」と述べている。かれはオックスフォード大学を卒業し長年英国系競技であるクリケットのパキスタン代表選手やキャプテンを務めた。1995年から9年間結婚していたイギリス人の妻の父はロスチャイルド家の親戚の実業家・欧州議会議員のジェームズ・ゴールドスミスである。大英帝国の工作員であったと思われる彼が大英帝国に見切りを付けて中国の政治システムを賞賛したことが注目される。これは大英帝国のインド亜大陸支配の終焉を意味する。 . . . 本文を読む
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遺族ら「サウジ高官の関与を示す機密文書の開示を拒否するなら9.11式典へのバイデン大統領の出席拒む」

2021年08月07日 | 米国
昨年はペンス副大統領とバイデン大統領候補の両方が参加していたニューヨークの911追悼集会に今年はバイデン大統領は参加できない様だ。FBIの2016年の調査でサウジアラビアの高官がテロを支援していたとほのめかす機密文書が含まれていると追悼集会関係者が主張しておりその機密文書を開示しない限り参加を拒否するとのこと。 deeply japan女史が何度でも貼りたいという「スペースシャトルの打ち上げを自由の戦士ムジャヒディーンに捧げるレーガン大統領の動画」は1982年3月11日の打ち上げの様だ。911の18年半前、東日本大震災の39年前の同日というのが薄気味悪いが西側支配階層の好きな奇数ぞろ目日付というのは意味があるのだろう。NYtimesにも記事があるので真実であろうと確認出来る。 1988年の米国映画「ランボー怒りのアフガン」でもムジャーヒディーンと協力してランボーがソ連軍と戦っている。 1980年代はアフガニスタンで反ソビエトのイスラム戦士が大量に育成された時代。それを軍事面で支援したのがパキスタン、金銭面と宗教面で支援したのがサウジアラビアで、全ての脚本を書いた最高責任者が恐らく米英両国だった。そのイスラム戦士達がアルカイダという名前で2001年に突然悪者として西側マスコミに大々的に登場して現在に至る。 機密文書にはテロ実行部隊を支援していたのはサウジアラビア高官の他に、最高責任者である米英両国政府高官、あるいは西側銀行家や多国籍企業経営者、マスコミ経営者、欧州王族などの西側支配階層の実名が記載されているのではないか? この機密文書についてを西側報道機関が報道すること自体が、西側支配体制の崩壊を示しているのではないのか? そして、deeply japan女史がかつて述べたとおり、911事件の真犯人がアルカイダではなく米国政府そのものだったという事実が公表されれば、アメリカ合衆国の連邦政府という州の集合体をこれからも維持し続けることは不可能になり米国は崩壊するだろう。 米国という島を支配することで世界島を包囲し軍事占領しようという西側シーパワーの戦略も同時に崩壊するだろう。その時に英国王室がどうなるかに私は最も注目する。 . . . 本文を読む
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ルトワック、ハンチントン、奥山真司の地政学論から見たアフガニスタンからの撤兵後の米国の行方

2021年08月03日 | 米国
7/3に米軍は最大の拠点であった首都カブール近郊のバグラム空軍基地から突如全面撤退している。上海協力機構は7/14にアフガニスタン連絡グループの外相会談で和平案を提案し米国傀儡政府の外相がそれに同意している。今後上海協力機構が中心となって中東を安定化させる体制が開始しているのだ。「バックパッシング」を行うならば、タリバンと対立する勢力に米軍の代わりにアフガニスタンで戦争をさせなければならないが、中国もロシアも和平を求めており、タリバンの最大の支援国の筈のパキスタンも中国と親密でインドとともに上海協力機構の一員となっていること、アフガニスタン本国に加えてトルコやイランも上海協力機構のオブザーバーや対話国であり今後正式加盟が予想されることから、「バックパッシング」は無理だと思われる。 ベトナム戦争末期の西側は苦境にあったが、それを挽回して1989年のソ連圏崩壊という勝利を掴めたのは、繰り返しになるが1970年代の米中国交回復による中国の米国陣営への寝返りが重要である。その背景には1969年のダマンスキー島事件などの中ソ対立があった。アフガニスタンでの敗北の後に米国が最大の敵である中国を崩壊させるには、ルトワックが言うとおりロシアを米国陣営に寝返らせることが重要だろう。しかし、1969年とは異なり現在の中露関係は安定しておりロシアの寝返りは考えにくい。そう考えると米国の勝利は絶望的と思われる。 もう一つ興味深いのが6/23と7/30の奥山真司氏の「アメリカ通信」動画。米国の「批判人種理論」の『ホワイト・フラジリティ』を取り上げた上で、アメリカの白人はこれを言われるとびびる、このロジックを突き詰めると米国は本当に分裂するとコメントしている。ベトナム敗戦当時と異なり、米国の白人人口比率は減少を続け現在は6割を切っている。子供の人口では過半数が非白人となっている。近未来に予測される「少数派転落」という事態は米国史初めてであり、白人の危機感は強いと思われる。大胆に言えば、ベトナム戦争は大坂冬の陣であり、そこで米国は「白人文明という自己のアイデンティティ」や「有色人種移民禁止」という堀を埋められてしまった。現在のアフガニスタン戦争は大坂夏の陣である。ベトナム戦争末期と異なり中露関係は良好で分断も難しい。米国の内戦突入は避けられないように思われる。 . . . 本文を読む
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