国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

なぜ欧米諸国は団結して中国封じ込めを開始したか?なぜフランスが中心になっているのか?

2008年04月28日 | 中国
「中国を利用して米国の一極支配を牽制する」ことを主張する者が多いフランスは親中国家であると中国人に見なされてきた。そのフランスが先頭を切って欧米による中国封じ込めに乗り出したことに中国は大きな衝撃を受けている。日経新聞によれば、欧州の中国専門家は「巨大化する中国は結局は危険な存在になるだろう。宗教を持たない中国人。彼らの行動に歯止めをかけるものはないからだ」という中国観を持つ者が多いという。この記事を書いた鈴置高史編集委員は、今回のチベット問題が起こる直前の2月27日付で「義和団事件の時のように、欧州は共同して中国に当たるのではないのか」とすら記している。まるで預言者の様だ。 欧米人はキリスト教徒であり、聖書の言葉が彼らの行動の規範となっている。日本人は仏教と神道の二つの宗教を有するが、周囲の人々の意見が行動規範になっている。しかし、中国人の場合は、欧米人や日本人のような行動規範が存在せず、むき出しの欲望に歯止めをかけるシステムが存在しないのだ。そしてその中国が超大国として登場し、今や英仏伊を国内総生産でも石油消費量でも鉄鋼生産量でも上回り、ドイツや日本すら国内総生産で追い越そうとしている。中国人は「我々も欧米人のような豊かな生活を送る権利がある」と言うかもしれないが、中国の膨大な人口が皆自己の欲望を最大限に実現させようとしたら、食料・鉱産物などの資源は世界中で払底してしまう。そのことに対する危機感が欧州人を団結させて中国封じ込めに踏み切らせたのだろう。また、米英の一極支配が既に崩れており、牽制のために中国を利用する必要性が薄れたこともフランスの動機として挙げられる。更に、フランスが先頭に立っている理由として、英仏独伊の欧州4大国の中で唯一大統領を国家最高権力者としており、フランス大統領が事実上欧州連合の最高指導者の役割を果たしていることも挙げられる。 中国の歴史を見ると、平和な時代には天然資源の限界が許す限りの人口増加が起こり、気候変動や権力闘争をきっかけに内乱が起きて人口が激減することの繰り返しである。その背景には、欲望に歯止めをかける行動規範の欠如という中国文明の特徴があり、それ故に封じ込めが起きているのだ。中国人が欧米人や日本人に学び中国文明を変質させない限りこの封じ込めは終わらないだろう。そのことを中国人に告げるのが日本人の役割であるように思われる。 . . . 本文を読む
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日本への事大を開始した韓国

2008年04月25日 | 韓国・北朝鮮
韓国がとうとう日本への事大を開始した。米国の東アジアからの撤退方針、中国の勢力拡大&排外感情増大という危機的状況の中で、日本の衛星国になることで21世紀を生き抜こうとする外交政策である。ただ、韓国のこの政策の最大の欠点は、当事者の日本が韓国を衛星国として抱え込む意志がないことである。そこを無理矢理押し掛けて、何とか衛星国の地位を手に入れようとするのが韓国の現政権の方針なのだろう。 しかし、韓国人は日本人と比較して民度が低すぎる。また、日本は韓国を中国から防衛するために在韓米軍と同様の巨大な陸軍を韓国に派遣せねばならなくなってしまう。韓国を日本文明圏に抱え込むことは日本にとって大きな損失なのだ。そのような観点から、第二次大戦前の日本は対外戦争でわざと敗北することで韓国を日本を切り離したのではないかと想像する。この歴史的経緯を考えるならば、韓国の日本への事大というのは日本にとって絶対に回避せねばならないことである。 日本にとって理想的なのは、北朝鮮が半島全体を統一し、韓国が済州島と鬱陵島のみを領土とする矮小国として日本の衛星国化する状態である。この状態に移行するためには、北朝鮮軍が韓国に侵入し韓国陸軍を打ち破るという事態が必要となる。その前提条件としては、米軍が北朝鮮と核問題等で合意に達し和平協定を結んで韓国から撤退していることに加え、韓国軍が何らかの理由で十分に機能しない状態になっていることが必須だろう。もっとも考えやすいシナリオは、サムスン電子等の巨大企業の膨大な粉飾決算が明るみに出て韓国経済が破綻し、大混乱の中で北朝鮮軍が南進するというものである。この場合は韓国軍が北朝鮮軍を押し返してしまう可能性も十分あり、北朝鮮による半島統一が成功する可能性はあまり高くないのが難点だ。もう一つのシナリオとしては、竹島問題で日韓が軍事衝突し、海上自衛隊によって韓国の海運が完全に封鎖された状況で北朝鮮軍が突如南進するというものが挙げられる。日本の海軍力と北朝鮮の陸軍力に南北から挟み撃ちにあえばさしもの韓国も滅亡は確実と思われるが、日韓戦争は日本側にもダメージが大きいのが難点だろう。日本海で自衛隊が初めて戦闘を行うというJJ予知夢はこのシナリオを示しているようにも思われる。 . . . 本文を読む
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石油価格高騰は米国の石油過剰消費体質を直撃し、都市圏内・都市間輸送は深刻な機能不全に陥る

2008年04月18日 | 米国
米国の石油大量消費体質は日本の八倍のガソリン消費とジェット燃料消費に象徴される。そして、世界の石油生産が既にピークを越えて減少に転じはじめたと考えられていることから、今後世界的景気後退や代替エネルギーへの移行で原油需要が減少したとしても石油価格は容易に下落せず、高止まりを続けると想像される。石油市場が米国の石油過剰消費体質を攻撃しその是正を迫ることになるだろう。逆に言うと、米国の過剰消費が是正されるまで石油価格は上昇し続けるのだ。 ただ、米国のガソリン需要は自動車利用を前提とした広大な市街地や郊外住宅地から来る構造的なものであり、容易には減らないだろう。米国の住宅地はあまりに広大な土地に拡がっており、鉄道やバスなどの公共交通機関を整備するのに適していないと思われるのだ。根本的な解決策はガソリン自動車から電気自動車への転換を待つしかないが、それには膨大な時間とコストがかかるはずである。燃費の良い自動車に切り替えるにしても時間がかかる。米国の貧困層は自転車で通勤するなどの苦難の日々を過ごすことになるのではないだろうか。 ジェット燃料消費についても同様の構造的問題がある。日本や欧州では中心部に中枢機能が集中した人口稠密な地帯があり、そこでは高速鉄道が大きな役割を果たしている。それに対し、米国では広大な国土全体に多数の大都市が散らばっており、相互間の輸送需要に対処するためにハブ空港システムが必要になっている。この為に多くの国内線旅客が直行便ではなく遠回りな経由便を利用しており、米国のジェット燃焼消費が更に膨大なものになっているのだ。近未来の米国では、石油価格高騰により航空輸送需要そのものが縮小していくだろう(逆に言うと、需要が減るまで石油価格が上昇し続けるだろう)。 米国の石油大量消費体質は都市圏内輸送(自動車)や都市間輸送(飛行機)を中心とする構造的なものであり、石油価格高騰によってこれらの輸送は深刻な機能不全に陥るだろう、というのが私の結論である。 . . . 本文を読む
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日本文明は近代化=大衆の識字化において中韓などのアジア諸国より五世紀程度先行している?

2008年04月08日 | 日本国内
エマニュエル・トッドの新著「文明の接近―「イスラームvs西洋」の虚構」は、イスラム社会も識字化を通じ近代化しつつあり、「移行期危機(近代化による社会の不安定化)」がもうすぐ終わるからそれを待てばよいのだという楽観的な分析を行っている。トッドがドイツの移行期危機の例としてナチズムのみを挙げるのに対して、訳者の石崎晴己氏は解説の中で、識字化先進国のドイツにおいては1524年のドイツ農民戦争を最初の事例として取り上げる必要があると主張している。トッドはこの本の中では日本の識字化を男性1850年、女性1900年としているが、1443年に室町幕府を訪れた李氏朝鮮時代の朝鮮通信使書状官である申叔舟が1471年に刊行した歴史書『海東諸国紀』では、日本人は男女共に皆47文字のカタカナを習うと記述している。網野善彦氏も室町時代の爆発的な文字普及に触れており、日本の識字化は実は室町時代まで遡るのではないかと思われる。そう考えると、1524年のドイツ農民戦争に相当する日本の事件は1485年の山城国一揆や1488年の加賀一向一揆になるのではないか。また、ドイツの移行期危機の中心が1618-1648年の30年戦争であるとするならば、日本の移行期危機は1493-1573年の戦国時代に相当するのではないかと私は考える。 朝鮮の識字化は20世紀前半、中国の識字化が20世紀半ばであるから、日本は中国・韓国に対して識字化で約5世紀先行していることになる。第二次大戦後の韓国での激しい学生運動や労働争議、あるいは中国の文化大革命や現在の国内不穏は日本文明が4-5世紀前に通り過ぎた「移行期危機」なのであろう。 現在の世界は日米欧の三極に支配されている。欧州大陸ではドイツ民族が優越であること、米国や清教徒革命以降の英国ではユダヤ民族の影響力が大きくなっていることを考えるならば、世界文明とはユダヤ民族・ドイツ民族・日本民族の三民族によって形成されていると言っても過言ではない。この三民族が全て直系家族であることは、文明化におけるこの家族形態の優位性を示している様に思われる。 . . . 本文を読む
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