国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

毎日新聞経営破綻で公的資金の投入?

2009年08月25日 | 日本国内
昨日の毎日新聞電子版で、「新聞への公的支援論議を」という興味深い記事が掲載されている。記事を書いたのは、共同通信社の記者、編集局長を経験したジャーナリストである原寿雄氏。インターネットの普及によって、読者離れと広告離れが深刻化し、いまのままでは日本の少なくない新聞が廃刊や経営規模の縮小を迫られるのは必至であるとの現状認識に立ち、新聞ジャーナリズムへの公的支援の必要性を説いている。ただ、「廃刊相次ぐ米国では公権力を監視する力が弱まりかねないという声が広がっている。」と言いながらその一方で公権力からの資金援助を受けるのでは、本当に公権力を監視することが出来るのかという疑問が出てくるのは当然とも言える。 私は昨年12月に書いた記事「インターネットの台頭とマスメディア」で、『世論を作り出すことで支配階層が国政を支配するというマスメディアの機能も変化することはないだろう。仮に大手マスコミや主要地方紙などの経営危機が起きるならば、場合によっては日本支配階層は公的資金を注入してもその破綻・消滅を回避すると想像する。』と述べたが、それが早くも現実化し始めた。マスコミの存在意義が「公権力を監視すること」というのは建前に過ぎない。マスコミの読者は記事の論調を鵜呑みにして、まるで自分の意見であるかの様に錯覚し、世論が形成されていく。マスコミは日本支配システムの重要な柱であり、日本の支配階層は朝日新聞、読売新聞、文芸春秋などの各媒体に種々の論調の記事を掲載することで、アクセルやブレーキを踏むようにして世論を調節して目的とする世論の状態を維持しようとしているのだ。 世論操作のためには大手新聞・民放キー局などの基幹的メディアが複数必要であり、それは多すぎても少なすぎてもよくないのだろうと思われる。現在の日本では朝日・毎日・読売・産経・日経の五社がそれぞれ系列のテレビ局を所有しており、この5という数字が世論操作に最も適切であると考えられているのだろう。 新聞への公的支援を訴えた毎日新聞は経営危機が叫ばれて久しい。朝日・読売両紙に比べて圧倒的に少ない部数故に、もはや全国紙システムの維持が困難になっているのだろう。この記事は毎日新聞が世間の反応を見るためのアドバルーンとしてあげたものだと思われる。そして、恐らく毎日新聞への公的資金導入計画も出来上がっているのだろうと想像する。 . . . 本文を読む
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金大中元大統領の死去は親国際金融資本の李明博大統領による暗殺か?

2009年08月18日 | 韓国・北朝鮮
韓国の金大中元大統領が死去した。私が注目するのは、「金氏は7月13日、微熱など肺炎の症状で入院。7月下旬に肺塞栓(そくせん)症をおこし」という経過である。私が以前の記事に書いたとおり、田中角栄、橋本龍太郎、小渕恵三、アリエル=シャロンはいずれも血栓系・虚血系の疾患で死亡(脳死含む)している。私は、これらの死亡は自然死ではなく、親国際金融資本勢力による暗殺ではないかと考えている。そして、金大中もまた、肺塞栓という血栓系の疾患で死亡している。これは偶然なのだろうか?私にはそうは思えない。遠隔操作で人体内に血栓を作る特殊な技術存在するか、あるいは特殊な薬剤を投与されたのではないだろうか? 韓国では今年5月に盧武鉉前大統領が死去したばかりである。自殺説、事故説などがあるが、検察の事情聴取を受けていたことからは、政府当局の迫害の意図が読みとれる。他殺の可能性も完全には否定できない。親国際金融資本の韓国政府は親北朝鮮の盧武鉉と金大中の二人の政治生命を奪うことを狙っていたのだろう。ただ、盧武鉉と異なりノーベル賞受賞者である金大中は、国家の名誉の観点から、逮捕・訴追することが困難であり、暗殺という手段が取られたのだと想像する。 . . . 本文を読む
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支持者を取り戻しつつある?自民党

2009年08月11日 | 日本国内
8月10日付けの産経新聞の報道によると、無党派層で自民党が民主党より優勢になっているという。自民党内には「上向きになってきた」(閣僚経験者)と選挙戦での手応えを感じ始めてきた候補者も少なくないとの指摘もある。これは一体何を意味しているのだろうか?日本の支配階層は、次期衆院選で自民・民主両党が獲得すべき議席数を決定した上で、選挙結果がその議席数に合う様に世論の動向を微調整し続けていると思われる。世論の操作を行うのはマスコミの報道であり、民主党に有利・不利な報道、自民党に有利・不利な報道を組み合わせて、自動車のアクセルとブレーキを操作するようにして想定した得票、想定した議席数を実現しているのだと思われる。例えば、8月6日に報道された「東アジア共同体」「アジア共通通貨」は、東南アジアや中国の貧しい工場労働者と同じ水準まで日本人の所得が低下するという懸念を生み、民主党には不利に働くと想像される。8月11日報道の「国連警察隊」・「国連待機即応部隊」創設案も、諸外国がそのような部隊を持たずに常備軍の一部の派遣で対応していることから考えて合理的とは思えず、国民の支持を得られるとは思えない。民主党にとっては、具体的な政策は示さずに、オバマ米大統領のように「政権交代」だけを叫ぶのが有利なのである。民主党が次々に打ち出す政策案は確実に民主党への支持を低下させている。現時点では、民主党は自民党に対して推定得票率で大差をつけていると思われる。このままなら、わずかな得票率の差が巨大な議席数の格差を生み出す小選挙区制では、自民党は壊滅的打撃を受け、民主党が圧倒的勝利を収める筈である。日本の支配階層はその様な選挙結果は好ましくないと考えているのだろう。恐らく、民主党が安定多数ではなく過半数ぎりぎり程度、自民党が健闘して200議席弱を確保するような選挙結果が望ましいと考えているのではないだろうか。選挙直後の9月~10月は米国政府の破綻が起きる可能性が高い。当然、米国から理不尽な要求が相次ぐことが考えられる。衆院で過半数ぎりぎり、参院で過半数割れ、しかも革新派から保守派まで含み内部の路線対立が起きかねない不安定な民主党政権は、米国の要求を受け流すのに最適である。そして、その時期が過ぎれば、不安定な国際情勢に対応すべく、自民党と民主党による挙国一致政権が準備されているのではないかと想像する。 . . . 本文を読む
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決着へと向かう中印国境紛争

2009年08月07日 | 中国
まず、国境交渉が決着に向かっているということは、落とし所も決まっていると思われる。恐らくそれは中国側とインド側の要求の中間点であり、具体的には中国が支配するアクサイチン地区の西半分をインドに割譲することになるだろう。中国としては、重要な交通路である新蔵公路を確保できればよいと考えているのではないだろうか。ただ、中国側も一枚岩ではなく、インドに譲歩しすぎだと考える者がおり、それが香港紙・明報の否定的な報道に繋がったのだと思われる。 中国側がインドになぜここまで譲歩するのか?その最大の理由は、欧州を中心に世界に広まる中国包囲網だろう。日米欧などの先進国の世論は中国の人権問題やチベット・ウイグル問題に批判的であり、多くの分離独立運動家が欧米で活動している。この包囲網を切り崩すことが中国の政策目標であり、その筆頭として同じ途上国の大国であるインドが選ばれたのだろう。 もう一つ考えられる理由は、中国政府が近未来のチベット・ウイグルの分離独立をやむをえないとして容認している可能性である。どうせ分離独立してしまう地域の為に中国政府が頑張る必要もない、それよりもインドに譲歩して、中国とインドの友好関係を獲得したいと彼らが考えても不思議ではない。 中印国境問題が解決した場合、中国に残る国境問題は南シナ海の南沙諸島と東シナ海の尖閣諸島である。南シナ海では中国は多数の島を実効支配しており、現在ベトナムの漁船を拿捕して問題となっている。また、尖閣諸島はサンフランシスコ条約によって日本帰属が確定しているにも関らず領土要求を繰り返している。インドに対する柔軟姿勢と対照的なこの東シナ海・南シナ海での強硬姿勢は、中国がランドパワーよりもシーパワーを重視していることを示していると思われる。近未来の米国政府破綻で米軍が本土に撤退すると東アジアに巨大な軍事力の空白地帯が生まれることになり、そこを中国が突いてくる可能性が高い。日本としては、米軍の第七艦隊の活動資金を拠出することで軍事力の空白地帯の出現を防ぐことを米国と協議する必要があるだろう。 . . . 本文を読む
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民主党の対中政策について考える

2009年08月05日 | 中国
民主党の岡田幹事長が新対中政策を打ち出した。首相の靖国神社公式参拝や中国への内政干渉は行わないという対中迎合ぶりであり残念なのだが、現実主義の立場から私はこの政策を支持する。ワシントンで開かれた米中戦略経済対話で、米国は中国の人権問題やチベット・ウイグル問題を取り上げなかった。米国は中国による米国債買い支えに依存しており、中国を刺激することが出来なくなったのだ。これは米国の弱体化の象徴とも言える。米国の属国である日本は米国の政策転換に足並みを揃える必要がある。私が岡田幹事長を支持する理由はもう一つある。近い将来に米国政府は破綻し、東アジアに駐留する米軍も全て、または大部分が本国に引き揚げることになる。恐らくその直後に北朝鮮あるいは韓国による統一戦争が勃発し、朝鮮半島の国境線が書き換えられるだろう。その様な不安定な東アジア情勢で、日本が戦争に巻き込まれない為にも、日本と中国の間の緊張要因を一時的に可能な限り少なくしておく必要があるのだ。既に台湾は親中政権が樹立されており台湾海峡の対立は緩和されている。日本も台湾に倣って一時的な親中政権を作るべきである。そして、東アジア情勢が落ち着いたところで再度靖国参拝を堂々と実行してゆけばよい。チベットやウイグルについては、既に欧州が中心となって中国批判を繰り広げている。ドイツの外交政策情報のウェブサイトであるgerman-foreign-policy.comは「北京に対抗する同盟」という刺激的な記事を掲載しているし、世界ウイグル会議も本拠地ミュンヘンを中心に欧州・トルコ・米国などで活動している。チベットについても、亡命政府のあるインドや欧州のダライラマ支援活動が盛んである。日本政府がチベットやウイグルへの公式支援活動を一定期間行わないとしても、これらの活動が廃れることはないと思われる。近未来の中国で富裕な沿海部の独立運動が始まれば、チベット・ウイグルも独立運動を起こせるだろう。日本政府がチベット・ウイグルの独立を支援することは、日中戦争の引き金になりうる。欧州の反中国活動は、地理的疎遠さ故に中国-欧州戦争が起こりにくいからこそ実行できているとも言える。日本がわざわざ欧州のバックパッシングを受けて対中戦争を起こさねばならない必要性はない。近未来の不安定な東アジア情勢の中で、日本にとって最も重要なのは、日中戦争を回避することである。 . . . 本文を読む
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