国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

南オセチア紛争:国家存亡の危機に直面するグルジア

2008年08月18日 | ロシア・北方領土
小国グルジアが超大国ロシアに対して戦いを挑むとは、常識的に考えれば正気の沙汰ではない。開戦に踏み切ったサーカシビリ大統領の目論見としては、NATOの支援を得て停戦に持ち込み、南オセチアの平和維持部隊にNATO軍の派遣を勝ち取ることで分離独立の動きに歯止めをかけるつもりだったのだろう。しかし、欧州ではロシアに一定の理解を示す国も多く、グルジアを強く支援している国は主要国ではポーランド・ウクライナしかない。NATO軍の派遣も望み薄である。ロシアはグルジア領内に軍隊を進軍させており、軍事的圧力でサーカシビリ政権を転覆することを狙っていると思われる。米国・ポーランド・ウクライナが危機に瀕したグルジアを支えきれるか、事態はまだ流動的である。もしロシア軍が首都トビリシに突入するならばサーカシビリ政権はあっけなく倒れるだろう。それは米国の威信の凋落の象徴となり、日本の安全保障にも暗雲がたれ込めてくることは間違いない。日本政府はグルジアに対して緊急支援を表明したが、これは日本の国益から考えて正しいことだと思われる。私は基本的には親露派なのだがそれは中国の脅威に対抗するためであり、南オセチア問題ではグルジアを支持する。危機に瀕したグルジアを救うためには、米国・ポーランド・ウクライナなどによる軍隊の派遣以外の方法はないのではないか。 . . . 本文を読む
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米政府地名委員会の竹島表記変更に対する日本政府の消極的な姿勢の真意は?

2008年08月03日 | 韓国・北朝鮮
前回の記事でも書いたが、竹島問題の日本にとっての価値は、日本が捏造した従軍慰安婦の強制連行問題と同様に、韓国の反日感情を煽り、日本と韓国の間の友好関係を不可能にすることにある。従って、竹島問題は韓国が滅亡するまでは決して解決されてはならないのである(逆に言うと韓国は近い未来に滅亡し、その結果竹島は日本領に戻ると想像する)。米国の地名委員会は北方領土をロシア領、尖閣諸島を日本領に分類している。米国政府は北方領土の日本への返還を公式には支持しているが、それとは別個に現在ロシアが支配し施政権を行使していることを重視しているのだ。尖閣諸島も日本の実効支配を評価していると考えられる。この様な背景を考えるならば、竹島は現在韓国が支配し施政権を行使している(日本が毎年厳重に抗議しているので平和的な実効支配とは言えないが)ことから考えて韓国領に分類されるのが当然であろう。それを一度は主権未確定と分類したのは、ラスク書簡に代表される、竹島を日本領とすべき米国政府の公文書の内容を反映したものであったと考えられる。 米国の地名委員会が竹島を主権未確定とした事実が報道されて数日後の7月28日、韓国のマスコミに注目すべきニュースが報道された。7月28日の京郷新聞で、アメリカが1954年のヴァンフリート報告書で竹島を日本領と認定したという内容の記事である。この報道の真の目的は、「竹島=韓国領土」という洗脳を解いて、竹島は実は日本の領土であるという真実を韓国国民に知らせ、その結果竹島を日本に返還すると言う形での解決を探るものであろう。日本にとっては極めて危険な報道である。 米国の地名委員会は韓国政府の要請を受けて竹島の領有権を元に戻したとしている。しかし、もう一方の当事者である日本とも当然接触しているはずである。私は、韓国政府と同様に日本政府もまた、竹島を韓国領と表示する様に要請したのではないかと想像する。それは、韓国人の「竹島=韓国領」という洗脳が解けないうちに急いで行われる必要があった。韓国側も、ブッシュ大統領の訪韓を控えて反米感情の高まりを抑制するため、できるだけ急いでこの問題を解決する必要があった。日韓両国の意見が一致したために、米国は急遽竹島の領有権の表示を韓国領に戻したのだと私は想像する。 . . . 本文を読む
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