国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

トルコを「生贄の山羊」にするロシア:米外交官・駐留米軍人家族への出国命令はトルコ滅亡戦争or内戦の前兆

2016年04月03日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
「地政学の基礎」では、トルコに対する極めて敵対的な政策が主張されている。それは、トルコに「生贄の山羊」の役割を課すというものである。そして、トルコの国益は考慮しない、クルド人の分離主義及びアルメニア系トルコ人の自治要求を支援するとも書かれている。ドゥーギンは国内向けに自国語では本音を書いたのだと思われる。そしてこの本を教科書として地政学を学んだ軍人や外交官達がロシアの世界軍事覇権を運営し続けるであろうことを考えれば、トルコは今後間違いなく「生贄の山羊」となると思われる。具体的には南東部のクルド人や北東部のアルメニア系住民が分離独立を宣言し、イランやロシアの軍隊がそれを支援することになる。その過程で民族浄化作戦が行われ、これらの地域に住むトルコ系住民が虐殺または追放されることになる。米国は恐らくこのロシアの戦略に協力してトルコを反ロシア政策に誘導し、そして今や梯子を外して親ロシア・親イラン政策に転ずることでトルコを国際的に孤立させつつあるのだ。一部でトルコ軍のクーデターも囁かれているが、アルメニア人やクルド人を虐殺し続けてきたのがトルコ軍であり、トルコ軍自体を犯罪組織として消滅させることがロシア・欧州大陸・米軍反国際金融資本派の統一された意思であると思われる以上、トルコ軍のクーデターは何の解決にもならない。更にイスタンブール地域での東方正教会の迫害をロシアが容認するとは思えない。黒海の港湾から外洋への到達のためのチョークポイントである両海峡部を敵性民族であるトルコ人に支配されているという状況はロシアの国家安全保障にとってやはり重大な脅威である。ポエニ戦争後に恐らくカルタゴ残党によってローマ帝国が滅亡させられた歴史を繰り返さないためには、ロシアは国際金融資本残党の報復の芽を完全に摘み取る必要があるのだ。従って、ロシアは今後何らかの方法で両海峡部とイズミル地区を占領し、トルコ人を追放すると想像する。トルコの領土はアンカラ周辺の極めて狭い範囲に限定されることになるだろう。そして、イランと欧州の間の緩衝国家として細々と生きながらえることになるだろう。 . . . 本文を読む
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イスタンブール:1453-2016

2016年02月21日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
①シリア国内でシリア政府が公式に派遣・駐留を許可しているロシア軍と、イスラム国を支援するためにトルコ領内から侵入したトルコ軍が戦闘状態に突入する。トルコ軍は黒海から地中海に抜けるチョークポイントのボスポラス・ダーダルネス両海峡部を封鎖する。ロシア軍は容易にシリア国内のトルコ軍を撃破するとともに、旧アルメニア人居住地区のトルコ北東部、旧ギリシャ人居住地区の両海峡部・イズミル地区に軍隊を派遣し制圧する。イスタンブールは1453年にオスマントルコに占領されてから563年ぶりに東方正教会に奪還され旧名のコンスタンチノープルが復活する。ロシアは旧アルメニア人・ギリシャ人居住地区を「アルメニアとギリシャの固有の領土である」と主張、トルコ人を追放してアルメニアとギリシャの政府に返還する。同時に千島列島がアイヌの固有の領土として日本に、カリーニングラードがプロイセンの固有の領土としてドイツに返還される。日本とドイツはロシア支持を表明する。ギリシャもロシア支持を表明する。 ②トルコ政府はNATOの集団的自衛権義務に基づいてNATOとロシアの世界大戦移行を要請するが、欧州大陸諸国全てがトルコに反対してNATOを脱退する。米英カナダとトルコの4カ国のみがNATOに残留する。 ③ロシア軍はトルコ領土に深く進入する。イランもトルコ南西部のクルド人地域を占領してクルド独立国家を建国し衛星国化する。クルド語はペルシャ語の方言でありクルド人は歓喜する。最終的にトルコ全土がロシアとイランとギリシャとアルメニアによって占領される。 ④世界軍事覇権が米英からロシアに移行したことが明らかになり米英両国の金融市場が崩壊、軍隊も稼働不可能となる。それによって自国滅亡を悟ったイスラエル政府が降伏、パレスチナ国と周辺アラブ国家の連合軍がイスラエルを占領する。多くのユダヤ人が処刑され、残りはスファラディがスペインに、アシュケナジーが満州に追放される。パレスチナ奪還によりアラブ人もロシアを支持する。南朝鮮政府は崩壊し北に併合され、在日米軍は地震兵器・地下鉄サリン事件などのテロ行為の罪により白人高官は全員処刑される。北朝鮮から金策=畑中理の子孫が日本に帰還、日本政府は占領憲法を破棄して大日本帝国憲法に戻る。 . . . 本文を読む
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釣り野伏の戦略に嵌まったトルコ:ロシア・アルメニア・ギリシャによるコンスタンチノープル奪還は近い

2015年12月04日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
イスラム国が露仏両国を攻撃し犯行声明を出したことでその滅亡は確実になり、中東地域の覇権はロシア及びロシアに支援されたイラン・シリアに移動、世界島西部と大西洋におけるパックスアメリカーナはパックスロシアーナに移行しつつある。パックスアメリカーナ(正確には米英系シーパワー覇権)では、トルコはロシアを内陸に封じ込めるという重要な役割を果たしていた。第一次世界大戦後のセーブル条約ではトルコ北東部はアルメニアに、南東部はクルド独立国に、ボスポラス・ダーダルネス両海峡部は国際管理地域に、その南側のイズミル地区はギリシャ領土になる予定であった。しかし、その後のローザンヌ条約でトルコはこれらの地域を奪還している。恐らく、国際金融資本に忠誠を誓うことを条件にこれらの領土を統治することを認められたのだろう。両海峡は海洋交通の重要なチョークポイントの一つであり、ロシアが世界島西部の覇権を握るには必ずここを支配する必要がある。種々の情報は両海峡部をロシア軍がトルコから奪還してトルコ人を追放するという隠された戦略を予想させるものである。1453年にオスマントルコに滅亡させられた東ローマ帝国は末期ではギリシャ人とアルメニア商人がその主要構成員であった。ロシア軍の支援の元にアルメニアとギリシャが協力して領土を奪還しトルコ人を追放することが想像される。本音ではイスラム嫌いの独仏や米国もこの計画を支持するだろう。そして、トルコがイスラエルとともにイスラム国を支援してきたことが公表されればアラブ人もトルコに激怒し、イスラエルの滅亡とパレスチナ建国を主導してきたロシアやイランを支持するだろう。アルメニア人、クルド人、イラン人、シリア人・パレスチナ人を含むアラブ人などの周辺民族のトルコに対する煮えたぎる憎悪が爆発し、トルコ人に対する大虐殺と追放が世界の賞賛を浴びながら行われるだろう。そして、トルコの領土はセーブル条約当時の範囲に縮小し、更に国家主権も周囲の国々により制限された状態になると思われる。 . . . 本文を読む
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モンゴルの鉄道計画とサハリン日本間天然ガスパイプライン計画に見る日本のランドパワー戦略

2014年01月13日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
昨夜のNHKニュースで日本企業がモンゴルの鉄道建設を受注したことが報道されていた。現在中国向けに輸出している石炭などの資源をロシア経由で日本や南朝鮮などに輸出する計画とのことだった。軌間1435mmの標準軌の中国と異なりモンゴルの軌間はロシアと同一の1520mmであり、ロシアの鉄道網に直結することになるだろう(中国への輸送は積み替えか貨車の台車変更が必要で時間もコストもかかる)。ネットで調べると日本工営という会社らしい。HPに書かれた鉄道建設計画が実に興味深い。モンゴル南部のゴビ砂漠を東西に走る長大な鉄道路線(以下、本線と呼ぶ)とそこから分岐して中国やロシアに向かう支線に分かれている。中国やロシアに向かう支線は満州・内モンゴル・新疆ウイグル自治区・トゥーバ共和国・アルタイ共和国に向かっており、これらの少数民族地域(モンゴルと同じツラン系)が独立したり中央政府に対する高い自治権を獲得した場合には、満州を経て大連港や北朝鮮の港湾を利用するか、あるいはアルタイ共和国or新疆ウイグル自治区を経てカザフスタン経由でトルコに向かうか、更には内モンゴル・チベット経由でインドに向かう等の鉄道網に発展可能である。 日本からユーラシア西部に向かう鉄道はロシアのシベリア鉄道(バム鉄道含む)と、中国からカザフスタンを経由する鉄道がある。満州からモンゴル経由でカザフスタンに向かう鉄道は中国とロシアのいずれも通過しない第三のルートとして非常に貴重であり、今後日本が中国やロシアとの関係が悪化した場合に備えて是非確保しておきたい路線だ。このルートは遊牧民族が利用した草原の道に一致しており、関岡英之が「帝国陸軍見果てぬ防共回廊」で示したモンゴルからトルコに至る回廊地帯にも一致する。中露両国に挟まれたモンゴルは満州やトルコ系中央アジア諸国と協力して東西交通の大動脈の地位に返り咲くことが可能になるのだ。 . . . 本文を読む
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モンゴル旅行記

2010年08月23日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
モンゴルでは民主化後、農村経済が崩壊して人々がウランバートルに流入し、マンホールに住むストリートチルドレンまで出ているという。街角にも、卵を並べて売っている男性など、貧弱な品揃えの物売りが目立つ。道路が大渋滞するほど多くのモンゴル人が自動車を保有する様になったという明るい面もあるものの、やはりこの国の経済はうまくいっていない。民主化を先行させるというモンゴル式のやり方は、開発独裁の中国と比較して失敗であったと思われる。もう一つの問題点は、遊牧民族であるモンゴル人が果たして現代の工業化社会・情報化社会にうまく適応できるかという点にある。世界中の遊牧民族で先進国並みの所得を享受しているのはアラブ産油国だけである。遊牧民族は工場労働者としては適性が低いのだと思われる。情報化社会ではどうなるかまだはっきりしていないが、あまり期待できないのではないか。結局、モンゴルは鉱物資源と農業と観光で生きて行くより他にない様だろう。この国が将来ロシア圏に属することになるのか、日本を中心とする東アジア圏に属することになるのかはわからないが、日本としては、モンゴルを親日国に育てると共に、モンゴルで職にあぶれた人々が非熟練労働者として日本に流入することの無い様に入国管理を厳しくしていく必要があると思われる。 . . . 本文を読む
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女性の髪を隠すか隠さないか:トルコで起きている文明の衝突

2008年02月13日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
女性の髪を隠すか隠さないかは欧米文明とイスラム文明の相違点の象徴である。現在トルコで起きているスカーフを巡る議論は、欧米文明の影響下に置かれ世俗化したトルコ支配階層と、イスラム文明に所属し世俗化していない一般住民(トルコ人+クルド人)の間の対立を深刻化させており、これは欧米とイスラムの二大文明の衝突に他ならない。具体的には、支配階層の多く居住するイスタンブール・イズミル・アンカラの三大都市とその他の地域の対立と言うことになるが、これらの大都市にもクルド人や一般のトルコ人が多数居住していることが問題を複雑化させている。世俗派と宗教原理派の混住というこの現状は、カトリック・セルビア正教・イスラム教の三宗教の教徒が混住していた内戦前のボスニア・ヘルツェゴビナに類似している様に思われる。 以前から述べているとおり、トルコの支配階層はトルコという国を複数(おそらく三つ)に分裂させることを狙っている様に思われる。分裂の理由は一つはクルド人かトルコ人か、そしてもう一つは世俗派か宗教原理派かである。トルコ政府はクルド民族を認めず分離運動を弾圧することで逆にクルド人の分離独立の意志を煽っている様に思われる。近未来にイラク北部に石油で潤う富裕なクルド国家が誕生すれば、トルコ国内のクルド人はその引力に引かれて分裂することだろう。そして、もう一つの分裂は世俗派トルコ人と宗教原理派トルコ人の間で煽られている。これによって、トルコの支配階層はクルド人と宗教原理派トルコ人という二つの不良資産をリストラして、富裕かつ世俗的な支配階層だけから成る小国を作り出すことを狙っているのだろう。 トルコの分裂は旧ソ連の中央アジアとも類似した状況を作り出すと思われる。最も奥地にありペルシャ系のタジキスタンに相当するのがクルド人国家であり、ロシアの影響が強く世俗的なカザフスタンに相当するのが世俗派トルコ人国家、ロシアの影響力が相対的に弱いウズベキスタンやトルクメニスタンに相当するのが宗教原理派トルコ人国家になる。このようにして生まれる複数の国家はキリスト教圏とアラブ圏・ペルシャ圏の間の緩衝国家として有効に機能することだろう。私は、トルコの分裂は欧州(独仏連合)が裏で筋書きを書いており、将来世俗派トルコ国家だけはEUに加盟させることでトルコ支配階層と話がついているのではないかと想像している。 . . . 本文を読む
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とうとうトルコ陸軍が国境を越えてイラク領内に侵攻:ルビコン川を渡ったトルコ

2007年12月20日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコ陸軍がとうとう国境を越えてイラク領内に侵攻し始めた。以前から空爆は継続されており、国境を越えた陸軍の行動も未確認ではあったが報道されていた。しかし、今回はイラク領内への陸軍の侵攻が公式に認められた。更にクルド自治政府系テレビの報道によると、トルコ軍はイラク側の村幾つかを基地にしているとのことで、それが真実であるとすればトルコ軍がイラク領土内に駐留する体制、即ち占領体制が開始されたと想像される。人数・作戦行動範囲ともに小規模ではあるが、トルコ軍はとうとうルビコン川を渡って後戻りのできないイラク北部占領作戦に突入した様に思われる。このトルコ軍の作戦を米国が容認していることも注目される。米国がイラク占領でわざと負けようとしているのと同様に、トルコもまたクルド人及びクルド人居住地域という不良資産を一挙に切り捨てるために泥沼のイラク北部占領作戦を実行して敗北しようとしているのではないかというのが私の想像である。現在のトルコの行動は第二次大戦での日本の作戦にも似通っていると思われる。第二次大戦で日本は米国・英蘭連合・中国の三カ国を敵に回したが、現在のトルコはイラク・北キプロスの二正面作戦であり、近未来にはコソボを巡ってセルビア・ロシア連合をも敵に回す可能性がある。また、日中戦争が宣戦布告なしに拡大し泥沼化したのと同様に、トルコの対イラク軍事活動は宣戦布告なしに空爆→陸軍の侵入・占領と拡大しつつある。日中戦争で重慶の蒋介石政府が停戦交渉対象から外されて停戦できなくなったのと同様に、トルコ政府はバグダッド政府のみを交渉相手としてクルド自治政府をPKK関連交渉の相手として認めておらず、停戦交渉の相手がいなくなっている。私の想像が正しいならば、トルコ軍は今後イラク北部での占領地域を徐々に拡大し、クルド自治政府を「PKKを支援している」との理由で激しく非難して軍事攻撃して泥沼のゲリラ戦に突入することだろう。そして、北キプロスやコソボの紛争にも介入して二正面・三正面作戦に突入し、敗北して国土を切り刻まれることだろう。トルコ政府はその敗北によって不良資産を切り捨てる事に成功し、第二次大戦後の日本のように急速に先進国化することを狙っているのではないだろうか。JJ予知夢のいう「2035年のトルコ大国化」はその様なシナリオが国際社会で既に合意されていることを示している様に思われる。 . . . 本文を読む
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イラン大統領がアルメニアを訪問、アルメニア人虐殺祈念碑を訪れる・・・予定を取りやめ急遽帰国

2007年10月23日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
イラク北部を巡るトルコ情勢が緊迫する中で、隣接する地域大国であるイランの大統領がアルメニアを訪問する。この訪問で注目されるのは、イラン大統領がアルメニア人虐殺祈念碑を訪問するという情報である。米国下院での決議採択を巡って米国とトルコの関係が緊張を増している現状でイランのこの行動はトルコを激しく刺激するものとなるだろう。また、イラン政府はトルコ軍の越境攻撃に反対意見を表明している。イランとアルメニアの間の天然ガスパイプラインの存在は両国間の安定した友好関係を示唆している様にも思われる。 これらの情報からは、トルコ軍がもしイラク北部に侵攻した場合、イラク北部クルディスタン自治地域からの救援要請に応じてアルメニア軍とイラン軍が介入しトルコ軍と激突するという事態も考えられるだろう。一発の銃声が大戦争の引き金となった第一次大戦と同様、トルコ軍の越境攻撃は中東の広い地域を巻き込む大戦争の引き金になる可能性が高い。今後のトルコ情勢に要注目である。 . . . 本文を読む
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トルコ兵とPKK、イラク国境で交戦 死者40人超:トルコを巡る破滅的大戦争の引金となるか?

2007年10月22日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
このニュースは非常に重大である。トルコ政府は事件が起きたのがイラク及びイランに国境を接する地域であることから、イラク北部のクルド人地区のPKK根拠地からの攻撃であるとしてイラクへの越境攻撃を開始する可能性がある。私は、この事件はトルコ支配階層が自国を破滅的戦争に突入させるためにわざと仕組んだものではないかと想像する。とうとうトルコを巡る破滅的戦争の引き金が引かれたのではないだろうか? . . . 本文を読む
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クルド人問題・アルメニア人迫害問題・キプロス問題:トルコが抱える三つの時限爆弾

2007年10月21日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
私は、トルコ外交に見られるこれらの強硬姿勢はトルコを破滅的大戦争に突入させ滅亡させることになると想像する。そして、自国を滅亡させることで北キプロスのトルコ系住民・イスラム原理主義的で所得の低いアナトリア高原のトルコ人・所得の低いトルコ東部のクルド人などの不良資産を一挙に切り捨てて、世俗主義的で所得の高いイスタンブール地区やイズミル地区に住む支配階層だけから成る小国を成立させることをトルコ政府は狙っており、その為にマスコミを通じて対外強硬論を国民に植え付けているのではないかと想像する。この事態は、事大主義的で集団の利益のために自己犠牲を払うという精神のない朝鮮人や、国際金融資本の支配に迎合するばかりの漢民族といった大東亜共栄圏の不良資産を敗戦によって一挙に切り捨てて日本人だけから成る国家を作るためにマスコミを通じて対米・対中強硬論を国民に植え付けた(と私は想像している)第二次大戦直前の日本とそっくりである。「強硬姿勢をとれば米国は譲歩する」と主張した当時の松岡外相と、「強硬姿勢をとればEUは譲歩する」というMehmet Ali Talat大統領の主張(北キプロスがトルコの傀儡国家であることを考えると、トルコの主張とも言える)はあまりに似通っている。また、イラク北部クルド人国家の存在を認めず、従って交渉相手としても認めないトルコ政府の姿勢は、1938年1月16日に「爾後国民政府ヲ対手トセズ」と宣言して日中戦争での交渉相手を失うことになった第1次近衛文麿内閣の再現である。そして、第二次大戦での日本の悲惨な敗北と、近未来のトルコが被る破滅的敗北もまた似通ったものになるだろうと私は想像する。日中戦争が英国から米国への世界覇権の移動時期に当たっていたのと同様に現在は米国からEUへの世界覇権の移動時期であることも類似点であろう。 . . . 本文を読む
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シリアのアサド大統領がトルコ軍のイラク領内侵攻を支持する発言。その真意は何か?

2007年10月19日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
クルド人はトルコ・イラク・イランの他に少数だがシリア北東部にも居住している。このことを考えると、トルコ・イラン・シリアがクルド分離独立運動阻止で協力関係にあるという仮説が成立するだろう。ただ、私はこの仮説に今ひとつ納得しきれないものを感じる。例えば、トルコ南東部のシリア国境沿いには本来シリアに所属すべきアラブ系住民が居住している。欧米が植民地支配のために引いた国境線が民族の境界と一致していないことが全ての元凶なのだ。この問題を解決しない限り、中東諸国は国内での民族対立を回避できない。民主主義を導入しても民族対立が国政の主要な争点になってしまい、結果的に民主主義が機能しなくなるのだ。ネオコンが主張する「中東の民主化」の為には、民族の分布に一致した新たな国境線の引き直しが必要不可欠であり、米国のイラク侵略はそれを実現することが大きな目的であると私は想像している。また、クルド語はペルシャ系言語である事を考えると、クルド人国家の成立はイランにとって兄弟国家が成立することを意味すると考えられ、国内クルド人の分離独立によって領土が減少することを上回る利益がある、とも考えられるのだ。 このように考えると、シリアやイランのトルコ支持の姿勢は、建前では国内クルド人分離独立運動の抑制という国内事情が理由ということになるが、両国は本音ではクルド人国家の成立とそれに伴う中東の国境線の引き直しを支持していると想像される。そして、トルコの支配階層もまた本音では貧しくイスラム原理主義的なクルド人をトルコ国家から切り捨てることを願っており、PKKの活動を好ましいと考えていると想像する。 トルコのイラク領内侵攻は北イラクのクルド人自治区との戦争を引き起こし、トルコ・イラン・シリアのクルド人の分離独立運動を巻き起こして結果的にクルド統一国家を建国させる引き金になりうると私は想像する。この引き金をトルコに引かせるためにシリアのアサド大統領はトルコ支持発言を行ったのではないか、というのが現時点での私の想像する仮説である。 . . . 本文を読む
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トルコ軍がイラク領内に侵攻することを認める法案をトルコ政府が議会に提出、17日に可決される

2007年10月18日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
米国下院本会議でアルメニア人虐殺問題に関するトルコ非難決議が採択される可能性が高まっているのと並行して、トルコ議会ではトルコ軍にイラク領内への侵攻を認める法案が提出されており、10月17日に可決された。作戦中に米軍兵士と遭遇した場合の対処を含め、作戦の詳細について関係者は明らかにしていない。最も可能性の高いシナリオとしてターキッシュデイリーニュース紙は、『空軍に支援されたトルコ陸軍がイラク領内で標的となるPKK基地を攻撃した後トルコ領内に戻る』というものを挙げている。 また、イラク国境警備隊の伝えるところによれば、国境沿いに展開したトルコ軍は国境を越えてイラク北部の村を砲撃している。地図で見ると、最新の攻撃対象となった村は国境から30ないし35km程度離れていると想像され、トルコ陸軍は国境を越えていないとしても既にイラク領内深部まで攻撃が及んでいることを示している。 トルコ第三政党の民族主義者行動党が米国への報復としてインジルリク基地の閉鎖を主張し、基地労働者も基地閉鎖を容認するなど、事態は一層混迷の度を深めている。米国下院本会議でトルコ非難決議が採択されればインジルリク基地閉鎖とイラク北部へのトルコ陸軍の侵攻が現実のものとなりそうだ。その場合、イラク北部で活動する米軍部隊とトルコ陸軍が遭遇した場合にどのような事態が起こるかという点が非常に注目される。場合によっては米陸軍とトルコ陸軍が激突するということもあり得るかもしれない。 . . . 本文を読む
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「トルコはユダヤとの同盟を失った」 ターキッシュデイリーニュース 10月15日

2007年10月16日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
米国下院本会議でトルコ「虐殺」非難決議案が採択される可能性が一層高まってきた。この件に関して、トルコの英字紙「ターキッシュデイリーニュース」が「トルコはユダヤとの同盟を失った」と題する興味深い記事を載せている。先週、米国下院外交委員会で27-21で採択されたトルコ非難決議案だが、50名の構成員の内で8名を占めるユダヤ系議員(全員が民主党)のうち7人が決議に賛成し、決議反対議員は1人しかいなかったというのだ。トルコ政府の必死のロビー活動は、ユダヤ系議員達の心を動かさなかったという。また、下院外交委員会の議長のラントス議員(民主党、カリフォルニア州選出、ユダヤ系)が議決を実行し自らも賛成票を投じたことにその場にいたトルコ政府関係者は衝撃と怒りを覚えたという。2000年にこの決議が初めて議決された際にはラントス議員は反対であったが、2005年にはトルコがシリア・イランに再接近したことを理由に「トルコを罰するため」に決議案に賛成したという。その他、同じ10月15日付けでサルコジ仏大統領が賢人会議によってトルコのEU加盟を妨害しようとしている、という記事を「ターキッシュデイリーニュース」が掲載している。この二本の記事は欧州と米国に於けるトルコ外交の敗北を象徴していると思われる。この問題に関する私の見解は従来と変わりない。トルコ・イスラエル両国の支配階層はわざと敗北することで不良資産を一挙にリストラしようとしているのだと想像する。トルコにとっての不良資産はクルド人、北キプロス、アナトリア半島の非世俗的トルコ人であり、イスラエルにとっての不良資産はイスラエルの国土そのものと、中近東出身のアラブ系ユダヤ人たちである。そのリストラのために、両国政府が米国内のユダヤ系議員の協力を得てトルコ非難決議を米国下院外交委員会で採択させ、下院総会でも採択させようとしているというのが真相ではないかと私は想像(妄想)している。折しも、米国金融市場ではサブプライム関連信用デリバティブ(ABX)指数が10月15日に続落し、米株投資家の恐怖心理を反映するVIX指数が急上昇している。米国を中心とする世界的なバブルは破裂寸前であるが、トルコが巻き起こす破滅的戦争がその破裂の引き金を引くことになるのかもしれない。 . . . 本文を読む
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風雲急を告げるトルコ情勢:トルコの破滅的対外戦争の始まりか?

2007年10月12日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコ軍がイラク領クルド地域への越境攻撃の構えを見せている。もし本格的な戦争に突入すれば、イラクを占領する米国とトルコが軍事的に激突するという可能性も否定できないだろう。一方で、米国下院ではトルコによるアルメニア人虐殺非難決議が外務委員会で承認され、下院本会議での採択も視野に入っているなど、トルコは対米関係悪化を深刻化させている。このまま本会議でも非難決議が採択されれば、トルコは通告通り米国のイラク作戦に不可欠なトルコ領内のインジルリク基地の使用を拒むかもしれない。それは、イラク戦争継続を困難にさせるだろう。 私は、米国が下院総会でもアルメニア人虐殺非難決議案を採択するというシナリオが組まれているのではないかと想像している。そしてトルコ領内のインジルリク基地の使用拒否、イラク北部へのトルコ軍の侵攻が発生し、その事態に対処するという明目で米国とイラン・シリアとの(表向きの)対立が解消される予定になっているのではないかと想像する。ベトナム戦争の深刻化が米中国交回復に繋がったのと同様のシナリオである。北朝鮮の核支援を受けたシリア・イランが米国の友好国になることでイスラエルの滅亡が確定することになる。 その後はトルコでは、米軍に支援されたイラク領クルディスタンから分離独立軍が大規模に侵入して内戦が激化すると想像する。同時にアルメニア国境、ギリシャ国境、キプロス軍事境界線付近でも領土返還を求める争いが勃発する可能性がある。トルコは周辺国全てを敵に回した破滅的戦争に突入して敗北することになるだろう。 このシナリオでは、米国・イラン・シリアの全てが利益を得ることができる。その代わり、イスラエルは滅亡し、トルコは破滅的敗北を経験することになる。イスラエル・トルコではこの敗北によって逆に活路を開くことを意図する勢力が政権を支配しているのではないかと私は想像している。イスラエルの国家としての先行きの暗さを考えたとき、アシュケナジーが自国の滅亡と引き替えに出身地の東欧への移住を検討するのは当然とも考えられる。また、トルコの支配階層は北キプロス、クルディスタン、アナトリア半島のイスラム原理主義的トルコ人といった不良資産を敗北によって一挙に切り捨てて、世俗的イスラム教徒から成るイスタンブール・イズミル両地区だけの小国を建国することを狙っているのではないか。 . . . 本文を読む
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EUはキプロス問題をどの様に考えているのか?

2007年10月03日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
EUはなぜこれほどまでにキプロス問題でトルコに対して強硬なのだろうか?その答えは、トルコが北キプロスに本土から住民を大量に送り込んでいることにあると思われる。トルコ側の意図としては、少数派のトルコ系キプロス人の人口を増やして交渉を有利にすることが最も考えやすい(移住者にクルド人が多いのは、生活苦で移住を希望する人にクルド人が多いからだろう)。そして、キプロスをトルコ系北キプロスとギリシャ系南キプロスの連邦国家に変身させることで、EU国内にトルコ系住民から成る主権国家を作り出すことが最大の狙いなのだろう。それは、トルコ本体をEUに加盟させるための工作の一環とも考えられる。 しかし、EUの側から見るならば、多数派のギリシャ人と少数派のトルコ系住民が共存していたキプロスに軍隊を送り込んで北キプロスを占領し、そこに本土から住民を大量に送り込むというトルコの行動は絶対に許せないものだろう。これを放置すれば、将来トルコ系住民がキプロスで多数派になり、キプロス全体がトルコに乗っ取られるという事態も起きかねないだろう。EU域内でありながらEU政府の権限が及ばず、トルコ政府が大量に移民を送り込んでいるという現状は非常に危険なものである。不法移民対策に躍起となっているEU政府を現在のトルコ政府は刺激し続けているのだ。 では、EUはトルコや北キプロスについて一体どの様な状態を理想と考え、どの様なシナリオを立てているのだろうか?JANJANに紹介された『ヨーロッパは中世に100年にわたって十字軍戦争を戦い、ギリシャのあるバルカン半島は16世紀から400年近くオスマントルコの支配に苦しんできた。今は移民(イスラム教徒が多い)問題を抱える。対立の歴史は長く、今にまで及んでいる。EUのある委員は「トルコは中東とのバッファ(緩衝地帯)となるためにも外にいてもらいたい」とさえ言う。ものは言いようだが、トルコには加盟してほしくないというのが欧州諸国の本音だろう。』という部分がEUの本音、理想ではないだろうか。 . . . 本文を読む
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