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ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

TOB

2007年05月08日 | Weblog
NHKで、TOBから自分達の企業を守るというテー
マで、「新日鉄」のドキュメンタリーを放送していた。
始めは見る気も無かったのだが、ついつい引き込まれ、
結局最後まで見てしまった。

鉄鋼業界の再編は、世界的な規模で進んでいて、新日
鉄もいつその波に飲み込まれるか分からないという状
況下で、それを仕掛ける投資グループの総帥「ミタル」
と闘わなければならない。
その新日鉄の闘いぶりを、社長を通してテレビは追っ
ていく。

なんか、このまま映画にでも使えそうな題材だ。
悪の投資家「ミタル」。
名前も、外見もそのまんまで(あまりにはまり役)。
舞台はアメリカ。
映画の内容としてはこうだ。
ある真っ当な企業が買収され、創業者は追い払われ、
その後失意の内に自殺する。
何年か過ぎ、投資会社に一人の美しい女性が秘書とし
て採用される。
彼女は仕事も出来、全幅の信頼を総帥から受けるよう
になる。
そして投資会社は、今までに無い大きな買収計画を密
かに進める。
その買収計画がいよいよ最終段階という、その時、総
帥の今までの悪事と変態振りが、証拠と共に全て明る
みとなる。
一気に地獄に転落する総帥。
今度は、彼が拳銃で自殺する番。
銃声を背中に聞き、忽然と姿を消す美人秘書。
最後のシーンは、自殺した創業者のお墓に花を手向け
る秘書と母親の姿。
ここで観客はカタルシス。
B級映画の完成。

もう一つのシナリオ。
舞台は日本のある企業。
買収されそうになった時、従業員が一致団結し、その
企業のある街も一丸となって抵抗する。
社長は、その人間性ゆえ多くの人間に慕われているの
だ。
しかし、資本の論理の前には無力だった。
抵抗むなしく、買収は時間の問題となった。
そのとき、救いの手が。
かつて社長に救われた町工場の息子が、アメリカで成
功し、別の投資グループを率いていた。
かれが「ホワイトナイト」として登場したのだ。
始めは謎の投資家と訝っていたのだが、その彼の顔を
見たとき社長は全てを理解した。
ここで観客はカタルシス。

まあ、どちらもB級に変わりは無いか。
ドキュメンタリーの方は、全ては経済原理中心で進む
今の世の中の現実を、そのまま写していて、決して「ミ
タル」氏が悪人であるわけではない。
ないが、そう見えるから不思議だ(?)。
投資の世界は、利益を上げることが目的とはっきりし
ているから、分かりやすいと言えば分かりやすい。
昨日の話ではないが、経済活性化というのは、これら
の原理によってお金が活発に動いている状態とも言え
る。
しかし、企業は効率化で収益を上げるだろうが、多く
の人間は職を失い、お金は偏ったところに集中する。
それらの金持ちは益々警備を強化した豪邸に住み、更
なる金儲けをたくらむ。
それに応じて街は荒廃する。
灰色の未来。
資本主義経済の行き着く先は、これしかないのかと、
ミタル氏の姿をミタルと、いや見てると思うのだった。



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