ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

郷愁の下北沢

2013年06月29日 | Weblog

 

先日BSで、下北沢散歩のような番組をやっていたのでついつい見てしまった。実は個人的には、下北沢と言うのは、東京の街の中で吉祥寺と並んで一番馴染みのある街なのである。昔の話であるのだが。どのくらい昔かと言うと、当時丁度「すずなり」が出来て、演劇好きの間ではかなりの人気であるという話題が普段の会話で登場するくらいの昔だ。「レディジェーン」に松田勇作がよく来るという話も普通に聞いた。結局一回行っただけだが、その時も、確かにテレビで見たことのある役者などが普通に飲んでいた。

拠点は古本屋の「幻游社」というところで、南口を茶沢通りに向かう途中にあった。あったという過去形にしたのは、その店も去年閉店してしまったからだ。古本屋の置かれている状況を考えると、残念ながら時代の波という言葉しか浮かんで来ない。そこに行く途中には、カレーパンで有名な「アンゼリカ」があり、このパン屋は当時から結構人気で、偶に買ったりした。「幻游社」の隣には「キッチン南海」という洋食屋があったが、何故か一回も利用したことがなかった。よく行ったのは鰻の「野田岩」。誰かが車券或いは馬券で当たるとここで奢るというのが、我々の暗黙のルールだったのである。お茶しにいくのは、日本茶の「つきまさ」(今でもある)、コーヒーは(今風のカフェの先駆け的な店ができ始めたころ)気取ったときには「トロワシャンブル」「カフェドパルファン」(両方今もある)、そうでないときは「木曜館」(今はない、と思う)などと使い分けていた。夜は、ジャズバーの「裏窓」などが知り合い(と、言ってもいいと思う)で何回か行った。しかし、その「裏窓」もかなり悲しい事情によってとうに閉店している。

と、思い出は尽きない。番組では、今現在進行中の再開発の是非についても触れていたが、きちんと整備された下北沢は当時を知ってる人間からすると魅力が半減である。下北沢は代官山ではないのだから。ごちゃごちゃしたところに、いろんな個性的な店が息づいているというのが下北沢の魅力だと思うが、それも一種の郷愁なのであろうか。ただ、本多劇場がある限り、核となる部分は変らないという気はする。

 

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