ricetta della vita

イタリア料理教室「COMODO」主宰 
美味しい話をしましょう

“おいしい”の基準

2015-02-22 | 日記・エッセイ・コラム
イタリアでしばらく過ごして日本へ戻ると、とてつもなく舌が敏感になっていることがわかる。化学調味料の味が舌に残るとか、喉の奥に残るとか…食に関わってあちこちでいろいろなものを口にするようになってからは特にそう感じています。当然といえば当然なのですが、でも、ちょっと待って。日本人は昆布やかつを節といった出汁の味で育っているから、微妙な味の違いはわかるよね。じゃあどうして敏感になったと感じるのかしら?


それって、おそろしいけど、知らず知らずのうちに、味覚が操作されているのかもしれない。日本では季節に関係なく野菜や果物も出回っている。懐にやさしい価格で外食も食べられる。スーパーコンビ二に行けばなんでも売っているし、そんな中で日本人は暮らしている。


例えば、お持ち帰り惣菜って便利だし、材料に何を使っていてどこで作られたかなんて気にしない。それより手早く食べられた方がいい。とか、パスタソースを作るなんてめんどくさい。それよりスーパーで安く売っているからそっちで十分。なんて思ってついつい出来合いのものやインスタントなもので済ませてしまってはいないですか?


残念ながら、現代の日本で時間もお金も限られて生活している私たちにとって、それらをすべて排除してしまったら、もしかして生活が成り立たないかもしれない。もちろん、それらを全否定しているわけじゃないけれども、手に取った加工食品の原材料名を見ると、私たちは自然のもの以外のものをこんなにも摂取しているのだと気付いてしまう。日本食が外国で認められたり、日本の食べ物が美味しいと言われてうれしいけれども、複雑でもある。


「おいしいものは糖と脂肪でできている」どこかのCMで流れいてるこのキャッチ、そのとおりだなあと思う。ま、私的には「ちょっと手をかけておいしいものが作れるんだよ🎶」と言い続けたい!



※オレンジの皮をすりおろしただけのリコッタチーズ 脂肪はあるが糖はなしよ!

外国人と和食を食べよう その3

2015-02-08 | 日記・エッセイ・コラム
外国人のご飯ステイも3回目となりました。3回目ならだいぶ慣れただろうって?いえいえ、全くそんなことはありません。当日はお迎えに行くまでバッタバタです メニューは決めているし、それをお渡しできるようプリントアウトしてあるにもかかわらず、どうしてもいろいろと作りたくなっちゃうので、今回は急遽メニューを追加したのですが、それが面白いことに…
さて、今回のゲストはベルギーからのお父さんと息子さん。日本は初めてで、スポーツや旅行が好きだというアクティブな親子でした。メニューは手巻き寿司、ふろふき大根の肉味噌がけ、ほうれん草のおひたし、山芋の梅肉和え、けんちん汁など。以前にベルギーで食した寿司はオリジナルの日本スタッフじゃなかったこと、一度だけ行った日本食屋さんはとても高かったと事前のメールに書いてあったので、あまりひねらないメニューにしようと決め、築地でマグロ、イカ、玉子焼きを仕入れました。


 ※あ、肝心のマグロが写っていない(^^;

箸使いに苦労しながらも、和食を楽しんでもらえたようで、準備した甲斐があったとほっとしました。しかし、何が気に入りましたかとたずねたところ、一番は日本酒ですって(笑)本当に気に入ったようで、お土産で何本か買って帰ったようです!それから、マグロ、それとイカの内臓とゲソで急遽作った炒め物が気に入ったようです(酒の肴にはもってこいの絶品でした!)。ええっ、それはメニューには書いてないからね!

今回はお父さんとmaritoの年齢が一つ違い、奥さんと私は同じ歳ということで、そのあたりの安心感があり、話もし易かった。初めての国で口に合わないものもあるかもしれないけれど、日本の家庭でごく普通に食べられているものを味わってほしいという意図が伝わったかなぁと感じた。

さて、ここでひとつ疑問が。いくらでもという感じで日本酒を飲んでいた彼らですが、ベルギーはチョコレートが有名ですよね。ということは、甘いものは苦手という男性はいないのでしょうか?(今回、1kgのチョコレートをいただいてしまいました!ひゃ~)イタリア人もそうですが、男性が甘いものを頬張る姿というのは、日本人的には驚きですね。


 ※1kgって重い!

最後にお出ししたいちご大福に反応が芳しくなかった(ひとつ前のブログで書きましたが)ので、これは難易度が高かったのかと思いきや、銀座で買って帰ったよとの報告が!美味しいなら美味しいって言ってよ~!やっぱり甘いもの好きなのね~(^0^)


豆を食べる人

2015-02-03 | 日記・エッセイ・コラム
節分ですね。豆まきなぞ、実家を離れてからやったことがない優先順位の低い行事だわ(笑)
もう少し年中行事に関心持った方がいいかしら(^^;

いや、そうでもないな。今月は豆を使ったパスタがメニューだから、季節感もちゃんと押さえてるじゃないのよ。ふふふ!

で、見ていただきたいのはこちらの絵。

 ※画像をクリックすると迫力ある大きさになります

アンニーバレ・カラッチの「豆を食べる男」です。豆は栄養価が高く保存がきくため、イタリアの食材としては欠かせないものです。古代から食べられていたひよこ豆、年越しには欠かせないレンズ豆、ペコリーノとの相性ぴったりのそら豆、そしてこの絵ではインゲン豆を食べていますね。いかにも、滋養に富んでいて力が湧いてきそうな庶民の食事という風情です。あ、本物はローマのコロンナ美術館にあるそうです。ローマへ行かれる方は、ぜひこの彼に出会ってみてください。正面から見たらお腹が空いてきそうですね!

それはそうと、豆と言ったら日本は甘味でしょうかね。私はイタリア人と“豆が甘い”ことについて話した経験はないのですが、「どうして豆が甘いんだ!」と違和感あるらしいです。先日も、外国人(イタリア人ではありません)にいちご大福を食べてもらったところ、大福部分には無反応でした(^^; あんこと餅の説明を省いたのがいけなかったか!


岡埜栄泉の大福。程よい甘さがなんとも上品!