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No87「ウィスキー」監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール

南米ウルグアイの作品。

観終わって、
我々観客が物語を読み取るには、
スクリーンに映っているもの、
それだけ、ということを
あらためて感じた。

だから、
ラストの、靴下を縫う機械の、かたかた鳴り立てる音も
ただの音だけど、
ただの音ではないようにも思える。

朝、出勤して、工場の入り口のシャッターをあけ
電気のスイッチを入れる。
じーっという放電のあと、電気がつくまでのほんの何十分の一秒。
このシーンが3回繰り返される。
繰り返しとずれの妙味。

お話はとても単純。
従業員3人の小さな靴下工場の
工場主の初老の男性ハコボの弟が遠くから訪ねてくることになり
従業員のマルタに、妻のふりをしてほしいと頼む。
そういう話。

余白がたっぷりで、思い出しては、楽しめる。
映像の切り取り方。
画面から大きくはみでた、ハコボの長くて無表情な顔。
なんだか、絵の構図にユーモアがあふれている。

この作品に、何かが起きることを期待してはいけない。
ただ、映像に見入るだけ。
画面を見つめているうちに、
何気ないしぐさや、行動に
日常の人間くさい感情が
たっぷりと織り込められていることを
発見するにちがいない。
寡黙ゆえの豊かさ。

無表情の裏の本当の感情は・・。
日本人好みの作品だと思う。
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