映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No189「あおげば尊し」市川準監督
2006-02-25 / 映画
~「人」、「命」をみつめる無言のまなざしの深さ~
映画のラスト。「仰げば尊し」の歌を聞きながら、一緒に歌いたくなった。
小学校のときの大好きな先生に会いたいと思った。
中学校の卒業式でこの歌を歌わされた時、まるで意味がわからなかった。
とりあえず教えられるままに歌った。
でも、今は、この歌のすばらしさがわかる。
心をこめて、誰かに向けて歌いたいと思う。
あこがれた先生、先輩・・。
その人との出会いに、その人に教えてもらった全てに感謝をこめて、
この歌を歌いたいと思う。
人は、人に教えられ、いろんなことを受け継いで、生きていく。
その尊さ。暖かみ・・。
思い出すだけで涙がこみあげてくる作品。
小学校の教師、光一(テリー伊藤)は、
妻(薬師丸ひろ子)、母(麻生美代子)とともに、
末期がんで死期の近い父(加藤武)を自宅で看ることになる。
担任の生徒が、死体に興味を持ち、斎場にまぎれこんだり、ネットで見たりと、問題を起こす。
クラス全体もざわざわしはじめる。
「死ってなんだろう・・?」
光一は、同じ教師だった父に、子ども達に会ってくれないかと話してみる・・。
テリー伊藤のまなざしの深さ。
無言でじっといるときの、たたずまいのすばらしさに圧倒された。
悩み、迷いながらも、そこにいる。
私はテレビをあまり見ないので、彼を知らなかったが、
テレビでは出さない自分の一面を出した、と彼はインタビューで答えている。
薬師丸のささやき声のリアルなこと。
「お義父さん、なんにもほしいものがないって言うのよ、
何かをほしいって思うこともエネルギーがいることなのよね」と
薬師丸がいいながら、冬の広場で、親子三人、フリスビーを投げ合いながら走っていく
シーンのすばらしいこと。
市川監督は、空気を撮っている。
給食を食べている子ども達の熱い空気、
冬の空に伸びる木々の冷たい空気。
部屋に入る日差しの暖かさ。
げたばこに入れられた靴。
生と死。
冬とやがて来る春。
市川準監督の選んだ映像はまるで詩のようだった。
生と死。
少年が、病床の老人の手をそっと握って、暖かさを感じる。
そのとき少年がもらした言葉。
夫に寄り添い、夫の仕事を信じて、じっと静かに見守る老母のすばらしさ。
「お父さんの最後の授業だね」
この魅力的な女優さん、だれだろうと思っていたら、
なんと、あの「サザエさん」のふなさん役の声優で、映画初出演とのこと。
こんなふうにすばらしく年をとれたらな、と思った。
涙があふれて止まらなかった。
人の心に残る仕事をしたいと思った。
とってもいい映画だった。
テリーの深いまなざしに今もなお、見つめられている気がする。
人生はいつまでも続く。
満足度 ★★★★1/2(星5個で満点)
映画のラスト。「仰げば尊し」の歌を聞きながら、一緒に歌いたくなった。
小学校のときの大好きな先生に会いたいと思った。
中学校の卒業式でこの歌を歌わされた時、まるで意味がわからなかった。
とりあえず教えられるままに歌った。
でも、今は、この歌のすばらしさがわかる。
心をこめて、誰かに向けて歌いたいと思う。
あこがれた先生、先輩・・。
その人との出会いに、その人に教えてもらった全てに感謝をこめて、
この歌を歌いたいと思う。
人は、人に教えられ、いろんなことを受け継いで、生きていく。
その尊さ。暖かみ・・。
思い出すだけで涙がこみあげてくる作品。
小学校の教師、光一(テリー伊藤)は、
妻(薬師丸ひろ子)、母(麻生美代子)とともに、
末期がんで死期の近い父(加藤武)を自宅で看ることになる。
担任の生徒が、死体に興味を持ち、斎場にまぎれこんだり、ネットで見たりと、問題を起こす。
クラス全体もざわざわしはじめる。
「死ってなんだろう・・?」
光一は、同じ教師だった父に、子ども達に会ってくれないかと話してみる・・。
テリー伊藤のまなざしの深さ。
無言でじっといるときの、たたずまいのすばらしさに圧倒された。
悩み、迷いながらも、そこにいる。
私はテレビをあまり見ないので、彼を知らなかったが、
テレビでは出さない自分の一面を出した、と彼はインタビューで答えている。
薬師丸のささやき声のリアルなこと。
「お義父さん、なんにもほしいものがないって言うのよ、
何かをほしいって思うこともエネルギーがいることなのよね」と
薬師丸がいいながら、冬の広場で、親子三人、フリスビーを投げ合いながら走っていく
シーンのすばらしいこと。
市川監督は、空気を撮っている。
給食を食べている子ども達の熱い空気、
冬の空に伸びる木々の冷たい空気。
部屋に入る日差しの暖かさ。
げたばこに入れられた靴。
生と死。
冬とやがて来る春。
市川準監督の選んだ映像はまるで詩のようだった。
生と死。
少年が、病床の老人の手をそっと握って、暖かさを感じる。
そのとき少年がもらした言葉。
夫に寄り添い、夫の仕事を信じて、じっと静かに見守る老母のすばらしさ。
「お父さんの最後の授業だね」
この魅力的な女優さん、だれだろうと思っていたら、
なんと、あの「サザエさん」のふなさん役の声優で、映画初出演とのこと。
こんなふうにすばらしく年をとれたらな、と思った。
涙があふれて止まらなかった。
人の心に残る仕事をしたいと思った。
とってもいい映画だった。
テリーの深いまなざしに今もなお、見つめられている気がする。
人生はいつまでも続く。
満足度 ★★★★1/2(星5個で満点)
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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テレビで見ないほうがいいですよ。
このまま余韻を楽しんで下さい。
あまりつけないようにしてるので、
テリーさん、知らなかったのです。
世の中に乗り遅れてますね。
私も、とくにテリーの演技はすばらしいな、と思いました。
彼に限らず、どの役者もいいですね。
映画サークルの感想でも、女性メンバーによる評価が厳しかったです。
コメントに感謝!
映画解体新書のほうでは、かなり辛口でしたので、
寂しく思っていたのですが、
コメントを読み、うれしく感じました。
演技、本当にすばらしかったですね。
一人ひとりのたたずまいを、映像にうつしとった
市川監督、すてきだと思います。
テリー伊藤は、テレビの世界では、わざと「偽悪」にふるまっているように思いますね。無意識にサービス精神で過剰演技をしてしまう。
彼にとって、この映画に出演したことは、大きな意味を今後に持つことになりますね。