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No19「スウィングガールズ」矢口史靖監督

やっと手に入れた中古のテナーサックスを
鈴木(上野樹里)が川辺で吹いて、練習していると、
風に乗って、どこかから
ピアノの同じメロディが聞こえてくる。
サックスを吹きつつ、茂みをかきわけて
音のする方へ進んでいくと、
川岸の向こうで
同じ仲間の男子中村(平岡祐太)が電子ピアノを弾いているのを
発見する。
目があう二人。
川をはさんで、二人のスイングが始まる。
なんと映画的な光景だろう。

スイングが、音楽が、始まり出す時のときめきが
映像からも強烈に伝わってくる。
歩行者信号で。
スーパーの表で仲間が加わるとき。
列車の車内で。

クライマックスの演奏を始める前。
はじめて大声で叫ぶ、
関口(本仮屋ユイカ)の緊張した声が、
彼女たちだけでなく、観客の心も一つにする。

皆の呼吸が合わさり、
演奏が始まる。
アップでとらえた彼女たちの姿からは、
エネルギーが漲っている。

あとは、スイングしかない。
自分たちも会場の観客の一員として、
彼女たちの演奏を見守っているかのような気分になる。

矢口監督の巧みな演出、構成力に脱帽。
一つ一つのエピソードが
生き生きしていて、
俳優たちの生身の力を思う存分
引き出している。

お客には、存分に楽しんで、元気になってもらおう、という
矢口監督らしく、
あちこちに、笑いのねたも散りばめられている。
スーパーのエレベータが開くと
そこに、男性マネキンとバイトの高校生たちが・・・の
光景にも、場内、爆笑だった。

帰りのエレベータで
高校生の女の子が「Å列車で行こう」の旋律を
ハミングしていた。
そう、そんな気分にさせてくれる映画だ。
(5点中で4.8点)
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
jun1@panasonico.com (ジュンイチ)
2004-09-18 01:53:26
「なんと映画的な光景だろう」ってすごく良い台詞ですね。

肯定的な意味で使うとすごくステキ。
 
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