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No18「父と暮らせば」黒木和雄監督

宮沢りえ様

あなたがこんなに演技が上手にならはって
本当に、びっくりしました。
あなたの広島弁は、そりゃあ流暢で、
すっかり見惚れてしまいました。
細腕で、しっかりと
つつましく、ひとりで生活されてきた様子が
あなたの物腰からうかがわれ、
ほんにすばらしかったです。

井上ひさしさんの戯曲を映画にされたそうで
登場人物は、あなたと原田芳雄さん、浅野忠信さんの3人だけでした。
あなたと原田さんの畳み掛けるような生き生きした会話も
父娘が、互いにとってもうれしそうで、すばらしかったです。

あなたが、
頭だけ取れて、地面に落ちている
お地蔵さんの顔をじいっと見つめながら、
何か考えていましたね。
その憂いに沈んだ表情が心にずっと残っています。

そして、原爆の落ちたあの日のことを
二人で語りだしました。
火の粉が迫る中、
原田さんとあなたがじゃんけんをしたことを話しだす。
そのとき、カメラはアップからすうっと遠景にひいて、
離れて立っているあなたと原田さん二人の姿を映し出しました。
お二人の間には、松の木があり、あなたを爆風から救った灯篭が立っていました。
そして、あなたと原田さんは
もう一度、じゃんけんをする。
あのお二人の声に、あの姿に
私は、もう涙が止まらなかったです。
ああ、これは、映画じゃなきゃ、表現できへんって、
強く思いました。

あなたの最後のセリフも忘れません。
とっても澄んだ表情で
あなたは言われました。
「おとったん、ありがとありました」
そのセリフがすうっと、私の胸に入ってきて
言葉にできない思いがあふれました。

ほんとにすてきな女優さんにならはって
次にあなたが出られる映画が
楽しみでなりません。
本当にいい作品をありがとうございました。
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