映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No353「十三人の刺客」~侍の意地が画面にみなぎる~
2008-06-04 / 映画
新世界での上映。これまたすごい傑作。
おっちゃんたちからも、画面に見入っている熱気が伝わってきた。
『七人の侍』に設定が似ている。
多勢に無勢の主人公たちが立ち向かう構図。
でも、こちらのほうがニヒル。
戦いの虚しさ、13人の哀しさがより迫ってくる。
黒澤作品には、百姓対侍、というヒューマニズムの要素が入る。
本作は、ひたすら、侍対侍の真剣勝負、知恵比べ、意地の勝負。
権力者たる藩主を相手に、一介の旗本侍集団(13人)が挑む。
クライマックスも音楽は使わない。
剣と剣とがぶつかりあう音、走り、逃げまどう声や音があるだけ。
傍若無人で問題ばかり起こす明石藩主。
将軍の弟ゆえに、幕府の誰もが処罰できず、ますますつけあがる。
何も知らない将軍は、彼を老中に抜擢しようと言い出す。
こんな暴君を要職につけては、江戸幕府の一大事。
筆頭老中が、旗本侍(片岡千恵蔵)に、
参勤交代の帰国途上での藩主の暗殺を命じる。
そして、集まった13人の刺客。
工藤栄一監督、片岡千恵蔵主演、昭和38年の作。
約30分に及ぶクライマックス13人対53騎の殺陣。
藩主の側にも、知恵者の参謀、半兵衛(内田良平)がおり、
千恵蔵との頭脳勝負を楽しめる。
藩主一行は、江戸から中仙道を通って明石へ向かう。
我らが刺客たちは、道中の木曾落合宿に罠を仕掛けて、待つ。
しかし、藩主一行は姿をくらまし、なかなかやって来ない。
いらいらが募る。
千恵蔵と嵐寛十郎は、部下をいさめ、
今動いては逆に敵に悟られると待ち続ける。
そして、ついに敵兵、現われたり。
このご一行の登場シーンがすごい。
細い道を、馬に乗った侍たちが、列をなして
深い霧の向こうから、カポカポと馬のひずめの音とともに、
やってくる。
それを延々とカメラが正面からとらえ続ける。
美しくもあり、不気味でもあり、
じわじわと近づいてくる感じがすばらしかった。
続いて繰り広げられる、クライマックスの殺陣。
仕掛けた罠も豪快で、みごたえがある。
生々しさとむごたらしさで一色に染まる画面。
とうとう藩主を倒したという合図の鐘が鳴り渡る。
この鐘の音がすごい。
戦いが終わったと心ひそかに喜ぶ刺客たちの解放感が伝わる。
しかし、敵兵は、鐘の意味も知らないから、
まだまだ切りかかってくる。
渋さを徹底したアングラ映画だ。
刺客たちも存在感たっぷりだが、
横暴な藩主の自信過剰ぶりもみごたえがある。
賢い半兵衛が、相手の裏をかいて遠回りの道中を忠言しても、
臆病と言われるのが嫌で、危険な道を頑として譲らない。
馬鹿殿の愚かさぶりも見事。
この藩主のために、大切な息子夫婦の命を奪われた老侍を
月形龍之介が演じており、
侍の魂をかけての、通せんぼ、
橋を隔ててのにらみあいもすごい。
これもまた、新世界で上映があれば、
自然、足が向いてしまいそうに、何度でも観たい作品の一つになりました。
おっちゃんたちからも、画面に見入っている熱気が伝わってきた。
『七人の侍』に設定が似ている。
多勢に無勢の主人公たちが立ち向かう構図。
でも、こちらのほうがニヒル。
戦いの虚しさ、13人の哀しさがより迫ってくる。
黒澤作品には、百姓対侍、というヒューマニズムの要素が入る。
本作は、ひたすら、侍対侍の真剣勝負、知恵比べ、意地の勝負。
権力者たる藩主を相手に、一介の旗本侍集団(13人)が挑む。
クライマックスも音楽は使わない。
剣と剣とがぶつかりあう音、走り、逃げまどう声や音があるだけ。
傍若無人で問題ばかり起こす明石藩主。
将軍の弟ゆえに、幕府の誰もが処罰できず、ますますつけあがる。
何も知らない将軍は、彼を老中に抜擢しようと言い出す。
こんな暴君を要職につけては、江戸幕府の一大事。
筆頭老中が、旗本侍(片岡千恵蔵)に、
参勤交代の帰国途上での藩主の暗殺を命じる。
そして、集まった13人の刺客。
工藤栄一監督、片岡千恵蔵主演、昭和38年の作。
約30分に及ぶクライマックス13人対53騎の殺陣。
藩主の側にも、知恵者の参謀、半兵衛(内田良平)がおり、
千恵蔵との頭脳勝負を楽しめる。
藩主一行は、江戸から中仙道を通って明石へ向かう。
我らが刺客たちは、道中の木曾落合宿に罠を仕掛けて、待つ。
しかし、藩主一行は姿をくらまし、なかなかやって来ない。
いらいらが募る。
千恵蔵と嵐寛十郎は、部下をいさめ、
今動いては逆に敵に悟られると待ち続ける。
そして、ついに敵兵、現われたり。
このご一行の登場シーンがすごい。
細い道を、馬に乗った侍たちが、列をなして
深い霧の向こうから、カポカポと馬のひずめの音とともに、
やってくる。
それを延々とカメラが正面からとらえ続ける。
美しくもあり、不気味でもあり、
じわじわと近づいてくる感じがすばらしかった。
続いて繰り広げられる、クライマックスの殺陣。
仕掛けた罠も豪快で、みごたえがある。
生々しさとむごたらしさで一色に染まる画面。
とうとう藩主を倒したという合図の鐘が鳴り渡る。
この鐘の音がすごい。
戦いが終わったと心ひそかに喜ぶ刺客たちの解放感が伝わる。
しかし、敵兵は、鐘の意味も知らないから、
まだまだ切りかかってくる。
渋さを徹底したアングラ映画だ。
刺客たちも存在感たっぷりだが、
横暴な藩主の自信過剰ぶりもみごたえがある。
賢い半兵衛が、相手の裏をかいて遠回りの道中を忠言しても、
臆病と言われるのが嫌で、危険な道を頑として譲らない。
馬鹿殿の愚かさぶりも見事。
この藩主のために、大切な息子夫婦の命を奪われた老侍を
月形龍之介が演じており、
侍の魂をかけての、通せんぼ、
橋を隔ててのにらみあいもすごい。
これもまた、新世界で上映があれば、
自然、足が向いてしまいそうに、何度でも観たい作品の一つになりました。
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