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No14「16歳の合衆国」マシュー・ライアン・ホーグ監督

16歳の少年リーランドが恋人ベッキーの弟の知的障害者を殺してしまう。
「なぜ?」
少年院で彼の担任となった教師パールとリーランドとの交流を主軸に、
彼を取り囲む家族らの姿を、
事件の前と後と、時間軸を交差させながら描く。

少年の心の奥底はわからない。
しかし、家族をはじめ、
誰もが事件の理由を知ろうとする。
作家をめざしているパールも、事件のことを作品にしたいと
リーランドと面接を始める。

パールは、聖人君子のような善意に満ちた人間ではなく、
欠点もあれば、優しいところもある、ごく普通の人間として描かれている。

リーランドの心の奥底を知ろうとして
対話を続けていくうちに
パールが、自分自身のありように気づき、
少しずつ変わっていくところがいい。

ヤク中毒のベッキーや、
ベッキーの家族、
仕事のために、リーランドのことをろくに構わなかった小説家の父親。
皆、心に闇を抱えつつも、その闇と向き合おうとしている。

監督はきっと、とても心の優しい人なのだと思われた。
ラストのエンディング音楽は、
透明感あふれていて、心洗われるように美しい。
映画のところどころで、流れてくるラジオの音楽も効果的で
監督のきめこまかな選曲意図が、やさしく、ぴたりとはまっている。

空が曇っていても、
その雲の向こうに青い空の存在を信じられれば、
それでいい、
善も悪も抱えながらも、バランスをとりながら、善を信じて歩く、
そういうささやかな希望を感じた。
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