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No15「誰も知らない」是枝裕和監督

前評判が高いのと、
事前に物語の大筋を知ってしまったこともあって、
観ている間は、その淡々とした語り口に
物語を綴っている、という印象を受けた。

しかし、
ラスト近く、
太陽の光をあびて、
きらきら光る柳楽優弥くんのうなじのショットに
どきりとした。ハートをぐいと摑まれたような気がした。
つんざくような飛行機の轟音。
柳楽くんの袖をひっぱる手。
はっと目を落とすと弟の顔。
このシーンの見事なこと。
この瞬間に、今までの物語が、明快に立ち上がり、
子どもたちの心の叫びが、体に入ってきたような気がした。

終わってみて、じわじわと心に染みてくる。
劇場を出て、
街の光景に、他人に、生きている人たちに
優しく接したい、ぬくもりをもって接したい、
そんな感情に襲われた。

スクリーンと向かい合った2時間と数十分。
私も、子供たちの姿を見つめ、彼らの息遣いを感じながら
確かな「手ごたえのある時間」を過ごしたと
確信を持って思えるから不思議だ。

それも、
子供たちの表情を見事にとらえた丁寧なカメラワークと
ゴンチチの美しい音楽ゆえの魔術だろう。

この2時間は、忘れられない記憶となった。
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