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No40「いま、会いにゆきます」土井裕康監督

ストーリーはすばらしい。
テーマもすてき。
セリフも、いくつも書き抜いておきたいような
心に残る名セリフがいくつもあって
いい映画を観たなあ、と思う。
こういう映画がヒットしていることに
心暖まるものを感じる。

中村獅童の演技も、自然体で
役に溶け込んでおり、
これからを期待させる名役者ぶり。
竹内結子の楚々とした存在感も適役。
森の中の空気感、廃工場の雰囲気、湖畔の家と
舞台美術、カメラも美しい。

なのに、
ひっかかったのが、過去の回想シーン。
二人の出会いから恋に落ちるまでの重要なくだり。
ナレーションにあわせて、展開する高校時代の映像を観ていて
なぜか息が詰まった。
映像がセリフに従属しているような気がした。
しかも、それが、
中村の目からと、竹内の目からと
視点を変えて、2回も繰り返されると
さすがにくどいという気がした。
原作に忠実であるためには、仕方ないとしても、
もう少し語り口を考えてはどうか。

子どもが「ママ」と呼ぶ声も、重要なセリフなのだが、
何度も繰り返されすぎで、
もっと大事なシーンでしゃべるだけにしたほうが
より強く心に響いたような気がする。

セリフを削ることで、
もっともっと映像で見せる、すばらしい映画になったのではないかと思えて、
もったいない気がした。

ファーストシーンの運びは見事。
松尾スズキ演じるケーキ職人が
ケーキをのせて、バイクで運転していくシーンの爽快なこと。

それに対して
YOU演じる小学校の教師役は、
一言、二言の「このセリフ」を言うために存在する、というのが
露骨に感じられて、違和感が残った。
これが、演技力の差なのだろう。
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